3月にエキシージを購入後、ずっと悩んでいたことがありました。
うちのエキシージ、年式は新しく(2011年式)走行距離も2万キロほど。
塗装状態もよく、非常にきれいな個体というのが一番最初の印象です。
程度もよく、良い出会いだったと思っています。
ただ、やはり走行距離が少ないとはいえ、FRP外装ですから、新車並みのコンディションというわけにはいきません。
飛び石の跡がフロントバンパーに、数は比較的少なく、目立たないとはいえ、細かいものも数えれば20か所くらいはあります。
また、リアバンパー、というか、カウルの運転席側、TIRさんでアライメントをとる際に車をリフトアップしているのを後ろからみたら、塗装の割れを発見。
当初はクリア層の割れかと思いましたが、段差になるほどですから、下地から割れているようでした。
間近で見ないとわからないレベル。
おそらくは前のオーナーさんも気が付かないまま売却されたのではないかと思います。
それくらい目立たない。
ただ、見つけてしまったからには気になる。俺のA型の神経質な血が騒ぐ(笑)
FRPはどうしても走れば走るほど傷ついていきます。
これはFDのエアロを何度も塗装しなおしたので経験上よくわかっています。
FD並みに車高の低いエキシージですから、激しく走ればそれなりに傷ついていくだろうと予想していたため、今回はみん友さんの勧めもあり、プロテクションフィルムの施行を考えています。
そうなると、せっかくフィルムを貼るのだから、塗装状態も良くしてから貼りたいと考えてしまいました。
前後の気になる箇所はどちらもフィルムをばっちり貼る予定です。
ただ、FRPの補修は一般的で、お安い板金では荷が重く、キレイに直そうと思えば高レベルのお店で直すべきと考えましたが、やはり板金費用は数万というわけではいかないことも予想できます。
エキシージという車、というよりもロータス全般かもしれませんが、走りに非常に特化していそうで、実は手を抜いている箇所がそこかしこにある不思議な車だということが所有してみるとわかります。
サーキット専用車みたいなたたずまい、新車からSタイヤを履いているような車なのに、色々と突っ込みを入れたくなるような箇所があるのです。(ここではあえてどことは言いません)
この車を本当の意味でスポーツカーに仕立てるために、皆さん、独自の考え、ノウハウで色々と手を入れているようです。
なので、私としても本来板金使うお金をそっちに使うべきなのでは・・・とさんざん悩みました。
大して目立ちもしないし、、と。
実際、今回板金屋に見積もり相談で5件回りましたが、フロントの修理を勧めたお店は0件。
リアについては1件。それも、まあ、やるならば・・という程度。
費用対効果を考えるならばお勧めせず、もっとひどくなってからが良いと皆がいうのです。
私もおそらくフィルムを貼らない前提ならばリアはともかく、フロントは考えなかったと思いますが、せっかくフィルムはるのに、飛び石のところに気泡ができてもいやだな~と考えてしまったんですねえ。
もうそれこそ、板金をする直前まで悩みました。
最後はこのお店の素晴らしい板金技術で、さらにこのお値段で直してもらえるならば・・ということが背中をおして修理することを決めました。
さて、悩み始めると同時にエキシージの板金について色々とネットで情報収集しました。
が、情報が少ない。
というよりも、ほぼ情報がない。
板金=カウル交換、みたいな感じで、部分補修をしたという情報がほとんどありません。
飛び石を埋める程度の板金ならまだしも、塗装が割れてしまって、下地から作るような板金についての情報がまったくない。
ノウハウのあるショップさんにお話しをきいてみると、どうやらエリーゼの部分補修というのは、長期間にわたってよいコンディションを保つのは非常に難しいようです。
なぜなら、エリーゼはS2から大量生産にむく成型スピードや品質の向上を目的として、SMC工法によって成型されたFRPを使っているのです。
このSMC工法、従来のハンドレイアップという修理方法(FRPを張り付けて成型していく)では修理ができないんだそうです。(このできないというのはお店の考え、ノウハウもありますので、あくまでも一情報として聞いてください)
SMC工法でできたFRPはFRPの繊維を細かく砕いたものをプレスした素材を元に作られており、FRP補修時、従来のやり方ではFRPが貼りつかず、特殊なやりかた(強度は出せないようです)もしくはパテで成型しなければならない。
一時的には綺麗になりますが、すぐに経年劣化でパテがやせてきたりで、補修跡が目立つようになるようです。
ところが、エキシージは板金が可能です。
エキシージはエリーゼに比べて売れている車ではありませんから、エリーゼS1が採用しているVARI工法という従来のやり方で十分製造数の確保ができたようです。
要するにエリーゼS1が売れてしまったので従来のやり方では対応できなかったので大量生産に適したSMC工法をS2から採用していたが、エキシージはそれほど売れなかったので費用対効果に合わず、従来のやり方で作っているということですね。おそらく、現行のエキシージもVARIだと思います。実はS2エリーゼでも一部、ロットによってはVARI工法だったりするようで、そのへん、ロータスの適当さがわかるというもんです。。
で、VARI工法ですと、補修時、従来のハンドレイアップでFRPを貼り付ける修理方法で対応ができるようです。
本当の意味でクオリティを求めるならばカウル交換するのが一番です。
また、塗装も、部分塗装ではなくカウル一本ぬる、バンパーも全面塗るのが良いようです。
部分塗装ですと、境目がわかる可能性があるのと同時に、一時的には綺麗でも数年後に、保管や乗り方次第ではあるけれども塗装の境目が浮かび上がる可能性があるのだそうです。
しかし、たかが飛び石の修理でフロントカウル塗装で50万とか、あまり目立たないリアの傷ためにカウル交換100万ドーンとか、バンパー一本塗装で30万とか無理。
それこそ、車両保険使用となるでしょうが、等級ダウンを考えると・・
いっそ前後、大破していた方が諦めがつきますが、このていどで保険を使うのは・・と躊躇してしまいます。
板金屋さん、今までの付き合いのあるところから、ロータスの有名処など全部で5件まわりましたが、見積もりは様々。一件は修理をギブアップ。
残り4件もあまりお勧めしない・・・という回答で、見積もり金額それこそばらばら。
その中で唯一現実的なお見積り金額を出してくれて、さらに技術的にもここならば・・というお店がありました。
お店の名前はテクニカルショップ ハッピーさん。
ロータスでは超有名処ですね。
エリーゼで初めて筑波1分切りを果たしたりしていますが、ハッピーと聞くと筑波56秒をたたきだした47GTを作っているお店、ヨーロッパ、エスプリなどの比較的古めのロータス車のボディメイク、FRP修理で有名と考える人が多いのではないでしょうか。
実は、10年ほど前からいつかはロータスに乗りたい、ロータスを買ったらこのお店にお世話になりたいと考えていたのがハッピーさんでした。
皆さんはBOLTS & NUTS!という漫画をご存じでしょうかね。
田中むねよし先生がロータスエランS3を所有した経験を面白おかしく紹介した漫画ですが、その中で田中先生がエランを大幅なレストアした際にお世話になったお店として実名で登場していたのですね。
私はそのころはロータスのことなど、その漫画に出てくることくらいしか知りませんでしたが、いつかロータスとなったらハッピーで・・と漠然と考えていました。
なので、今回、色々とお店選び、予算で悩みましたが、最終的にハッピーさんにお任せできたのは嬉しかったな~。
お値段は・・・お店に迷惑かかりますからここでは伏せますが、技術、仕上げり、かかった日数を考えたらありえない数字だったと思います。
板金屋は値切らないが鉄則だと思いますが、私は予算を提示しました。
今後のことかんがえるとここまでが限界という予算があったので、それを伝え、もしそれが難しかったら今回は板金は諦めそのまま乗ろうと思っていました。
最終的にハッピーさんからは、かなり厳しいけれど、今回は・・・ということでひきうけてもらえました。
作業結果や、途中行程を知ると正直、この値段では本当に申し訳なかったと後で反省しましたが。。。
途中行程実施中にお店にお邪魔したり、作業中のデジカメ画像をいただいたり、話を聞いたりするとそんなに手間がかかってるんだ!と驚きました。
私もサラリーマンで、普段お客様に見積もりを出す立場ですから、かかる工数から、これくらいないと割に合わないという数字はわかりますが、今回の件はとてもとても・・・。
板金歴50年、御年69歳の板金仙人いわく、本当は部分補修はお勧めしない。
ただ、保険を使わない以上、自腹で出す大変さはよくわかる。
部分補修でも、全力を尽くす。
やるからには与えられた条件(予算)で完璧を目指す、と言ってくれました。
こちらのしつこいくらいに聞く質問にも丁寧に答えてくれました。
先日、板金中の車を見に行った時にはすでにフロントは仕上がっていましたが。そこで板金仙人いわく、もしどこからどこまで塗装したかわかったらお金はいらないよ(笑)と。
もちろん冗談もはあるでしょうが、それだけ作業に自信があるのでしょう。
私も過去にはほめられたもんじゃありませんが、数多くの板金歴を持つ男です。。。
プレミアムメーカーのディーラーが使うような高レベルの板金屋から、ガソリンスタンドの板金まで、車の価値や状態、金銭状況で色々と使いましたが、大抵はどこを塗装したかってのは日の下でよーく見ればおよそわかります。
微妙に艶が違ったり、光の反射が違ったりしますが、今回は本当にわからなかった。
というか、今でもわかってません(笑)
職人の意地、気持ち、お客さん目線にたつ姿勢からか、完璧な仕上がりです。
元々綺麗だった車がさらに綺麗になり、まるで新車のよう。
実は、フロントのアンダースポイラー?
車高調を取り付けた際に、誤って車高を低くしすぎて、下回りを擦っていたんです。
お店に入れる時に、もし塗装する際、可能であればこの擦り跡も、ただ塗装するだけでいい、下地まで整えなくていいからついでに塗装してくれないかとお願いしました。
結果、まるで擦り跡なんてなかったようにきっちり下地まで整えた上できれいに塗装されてました。
感動しましたね~。さすが職人、プロだと。
数年後に境目が出たり、パテが痩せる可能性があるかも聞きましたが、どちらも大丈夫と答えていただきました。
日常で使うことなく、ほぼ屋内駐車場に入ってる訳ですから、劣化も少ないでしょうし、もしそうなったとしてもまた直せばいいやと思ってます。
作業がたまたま空いた、私が今回、初回の入庫だった、色々とお店側にも考えはあったと思います。
これを読んでハッピーさんに行っても同じような金額、結果が得られるかはわかりません。
ただ、私はこれからも長くお世話になりたいと思えるそんなお店でした。
今回、いろんなお店に話を聞きましたが、どのお店も親切に対応してくれました。
できないと率直に言ってくれたお店、費用対効果に合わないといってくれたお店、
予算内では満足する仕事はできないと言ってくれたお店、すべて、真摯に対応していただき感謝しています。
今回、私はハッピーを選んで正解だったと思っていますが、どのお店を選ぶかはその人次第、考えや予算によって選べばよいと思いますが、もしFRPの補修で悩んでいる人は候補の一つにあげ、
話を聞くだけでも損はないはずです。
一般整備から、チューニングについても高レベルでお話してくれるはず。
遊びにいくだけ、話を聞くだけでもロータスファンならばと歓迎してくれるでしょう。
※ロータス以外もウエルカムのようです。
さんざん悩んだ板金ですが、今後長い間、エキシージに乗っていくうえで気持ち的にすっきりしました。
もし直さなかったら、きっとずっとどこかひっかかかったまま乗っていたはず。
やって良かったと今は思います。