6月9日(日)、
まさかこんな日になるとは思いもしませんでした。
今までで最高の、1日で
10車種試乗。
楽しかったですが、さすがに疲れました。
そんなわけで、一気に10車種行ってしまいます。
①プジョー 208 シエロ

「208」は先代の「207」よりもダウンサイジングを行ない、若干コンパクトになりました。エンジンは1.6LのNAで組み合わされるのは4速AT。メカニズムとしてはこれまでにあったものと同じものなのでさほど驚くことはありませんし、実際に乗ってみても何か新しさを感じるところはありません。しかし、NAでも低速からいいトルクを感じることができて乗りやすいです。ただ、4速ATがもうさすがに古すぎます。相変わらず3速までで走ることが多いようで、4速目になかなか入らないのが少し歯がゆいです。これは同グループのシトロエンC3でも同様に感じました。
乗っていて気持ちいいのはやはり乗り味。このサイズのコンパクトカーでこういう乗り味を提供するのは本当にフランス車らしいところ。大変、しなやかで気持ちのいい乗り味でした。
普通のクルマはステアリングの内側からメーターを見るわけですが、この208は極端に径の小さい楕円のステアリングでその上からメーターを見るというレイアウトです。メーターの位置は高めになり、視線移動が少ないというメリットがあるようです。これが実は乗る前に心配でした。やはり個人的には径が小さすぎる印象です。

これまでのプジョー車の多くは広大なガラスルーフでも、Aピラーが大きく後掲していたため、前席に乗っていてもさほどそのありがたみを感じることが少なかったわけですが、この208ではAピラーが立ったのか、はたまたAピラーの上端が前方へ来たからなのか、前席でのガラスルーフのありがたみを感じることが出来るようになりました。
なにかここが素晴らしい!というところはありませんが、非常に角を丸く、すべてうまくまとめてあるような印象のクルマです。万人に勧めらますし、ちょっと地味な車に乗っている人はこれに乗ることで毎日がちょっと楽しくなるような気さえするクルマでした。
②シトロエン DS4 シック

個性派シトロエン「DS」シリーズの中核をなす「DS4」です。今までにもパッセンジャーとしては乗ったことがありましたが、ステアリングを握るのは初めてです。
エンジンはもうPSAでおなじみの1.6Lターボで、もう数えきれないほどこのエンジンのクルマには乗りましたから、いまさらああだこうだいうことはなく、非常に低速からトルクの出るいいエンジンです。それに変速ショックを全く感じさせないアイシン製の6速ATが組み合わされているのですから、走りはもう問題なしです。
乗り味はこれもなかなかのしなやかさで、気持ちのいい乗り味でした。道路の凹凸をうまく吸収してくれます。
フロントのガラスルーフが大きめで気持ちいいというのですが、C3やC4ピカソのそれを知っていると全然物足りません。
これは試乗車がこういう色だったからなのかもしれませんが、内装が黒々としていてフランス車らしい華やかさに欠けるのが少し面白くなかったです。ただ、メーターはブルーから白へ明かりの色を変えられたりするのは面白かったですが。
シートにランバーサポートを活用したマッサージ機能があるのが楽しいです。C5などにも採用されているので、これしかないわけではないですがちょっと効かせたくなる機能でした。
デザインが気に入ればいいのですが、それ以外になにか強いアピールポイントに欠けるクルマでした…。私ならちょっと頑張って、DS5を買うかと思います。
③プジョー RCZ RHD

マイナーチェンジで顔つきが変わりましたが、中身はどうなのか乗ってみました。初期モデルは近しい方が乗られているのでしっかり比較が出来ました。

結論から言ってしまうと、中身はさほどの進歩はなさそうです。ただ、ステアリングの径が小さくなったことで、舵の印象が敏感になったような気がします。さらに、これは気のせいかどうか…、ステアリングが重みを増したと感じました。よりスポーティな印象になったと言えばいいでしょうか。
乗り味も他のプジョーから考えると驚くほどの硬さで、やはりこれもスポーティなのかもしれません。もちろん、ゴツゴツという味ではありません。かなりドイツのスポーティカー風です。

エンジンもトランスミッションもおなじみ1.6Lターボ+6速ATの組み合わせですから、滑らかに走ります。

メーター周りのデザインが少し変わったようですが、それ以外は本当に小変更と言っていいと思います。
④シトロエン DS3 シック

DS3に関しては今回で3回目。でも過去2回は「スポーツシック」という1.6Lターボエンジンに6速MTが組み合わされたものに乗せていただきました。このDS3スポーツシックの楽しさはかなりのもので、欲しいクルマの一つでもあります。そんななか、ベーシックな1.6LのNAモデルに乗ったことがなかったため、今回乗せていただきました。
印象としては、208と同じメカニズムなので、走り味はまさによく似たものです。乗り味は208よりほんの気持ち締まった印象ですが、しなやかで気持ちがいいのは変わりません。

この「シック」は見た目訴求で、中身は何か新しいものを感じるところはありません。誰もが普通に乗って、オシャレに乗りこなせるクルマとしてはいいのかもしれません。同じクルマでも「スポーツシック」は別のクルマの様に印象が違いました。クルマ好きの人は「スポーツシック」を知ってしまうと、この「シック」は全然物足らないかもしれません。
⑤レンジローバー イヴォーク ピュア

話題の「レンジローバー イヴォーク」。世界でヒットしているクルマのようです。試乗したのは最も安い「ピュア」というグレードです。
走り始めると、四方八方に設置されたカメラで周辺状況をモニターに映し出します。計5個のカメラが設置されているそうです。
しかし、久しぶりでこのような着座点の高い位置のクルマに乗るとなかなか気持ちいいものでした。全幅も1,900mmもあるにもかかわらず、そのサイズ感をあまり感じさせないのが不思議なところです。もっとも、先に挙げたカメラがあるので、このサイズでも幅寄せなどが容易なのはうれしいところでした。
さて、走り始めるとこの大柄なクルマが大変スムーズに走ります。エンジンは直列4気筒2.0Lにターボで過給をし、最高出力240馬力、最大トルクは1,750回転という低回転で34.7kgmも発生します。それにアイシン製の6速ATが組み合わされています(ただ2014年モデルで、世界初のZF製9速ATが搭載されるらしいです)。このエンジンも相当いいエンジンだと思いました。回しても安っぽいエンジン音は聞こえてきません。それに何の不満もないというよりか、十分に速いエンジンでした。
乗り味は「ランドローバー」のイメージを抱くと「硬め」と感じるかもしれませんが、よく考えて乗ってみるとなかなかしなやかな気持ちのいい乗り味です。もっとも、私のイメージしていた乗り味はエアサスのランドローバーの乗り味でしたので、メカニカルばねでこの乗り味はなかなか気持ちのいい乗り味の一つと言えるでしょう。
これくらい背の高いクルマのコーナリング性能は…と言いたいところですが、街中でのっただけですのでそのあたりは味わえませんでした。
これはいいと思うのはやはり内装の印象でした。イギリス車の「高級」の演出づくりが、時代が変わっても相変わらずうまいです。最も安いグレードで、本革などを使っていませんが、なかなかどうしていい印象で仕上げてあるインテリアでした。
小休憩。

このチェアが欲しいのですが…。どんなふうにしても非売品らしいです。。。
⑥フィアット パンダ イージー

パンダの3世代目。ベースはフィアット500で、ちょっと前に登場した「クライスラー イプシロン」とも共用が多いこのパンダですが、独自の演出が出来ているのが面白いところです。
ただ、ツインエアのエンジンはやはり乗っていて楽しいです。トルクもありますし、乗りやすい。オートモードでもイプシロン同様、少しコツをつかめばうまく変速するようになりました。

乗り味は、思ったより柔らかかったように感じます。2代目パンダはシートがふにゃふにゃしていましたが、今回は固めのシートに変わりました。
はっきり言って安っぽい内装です。しかし、ここまで吹っ切れているとこれはこれでいいかなという気がします。妙な形のステアリングも操作上何の問題もありませんでした。なんでも、「しかく」と「まる」を組み合わせた「角の丸い四角」がデザインモチーフらしいです(なんとかっていってましたが、忘れました)。

乗ってみた印象はやはり「イプシロン」に似ています。乗り味もきわめて近く感じましたが、微妙にパンダのほうが柔らかいような気もしました。エンジンやトランスミッションの印象は全く同じです。
サイドブレーキがスティック型ではなく、順手で引くような形は力が入りにくいのではないかと少し心配になりました。
⑦フィアット 500S ツインエア

乗り始めた最初から、笑顔がこぼれたクルマ。結論から言って、こんなに楽しいクルマがこんな時代にあったのかという驚きがありました。例の2気筒ツインエアエンジンにこれまでは半自動のMTしか組み合わせたものがなかったのですが、5速MTと組み合わせたものが日本に導入されました。

乗っていて、とにかく楽しいのです。速いわけではないはずなのですが、楽しいのです。シフトフィーリングだって、ぐにゃぐにゃでスパッと決まるシフトフィーリングの気持ち良さなど皆無です。でも、なぜか楽しいのです。なんで楽しいのかわかりません。これこそイタリアンマジックなのかもしれません(笑)

こんな2気筒のエンジンでトルクが細くて、さぞかし乗りにくいのだろうと思っていたのですが、これも本当にクラッチが繋ぎやすく驚かされました。

これまでMTといえば、硬派な「アバルト」ブランドのほうにしか用意されていなかったわけですが、これは確かに速いけれども、乗り味もゴツゴツで自分の足にはさほどしたいと思わせるものではありませんでした。
しかし、この「500Sツインエア」は足がしなやかで、これほどホイールベースが短いのにもかかわらず、気持ちよく走るのです。
停止して、クラッチペダルを離せばアイドリングストップも効きますし、エコロジーで楽しいという非常にユニークな二面性を持たせたクルマでした。

インパネの装飾がこれまでは外装色と共色でこれもよかったですが、この500Sはシルバーのなかなかシックなパネルでした。外観もアメリカ仕様のバンパー等を採用しているようで、少し大人な印象を醸し出している点も気に入りました。

たった一つ気に入らないのは、これのコンバーチブルモデルもしくはガラスルーフモデルがないことです。
⑧アバルト 595Cツーリズモ

不思議なことに屋根が開いたりすると、細かいことが気にならなくなります。だから、このクルマの印象で気になる部分というのが今となってはほとんど思い出せません(笑)

半自動のMTですが、変速はパドルのみで行い、オート・マニュアルの切り替えやバックへのギア操作はスイッチで行ないます。この点に関しては、従来のシフトレバーのほうがありがたいと感じました。レバーで操作したい時もあるんですよね…。

このクルマの何よりいいのは、走りながら開け閉めできることです。両脇にピラーが残ることで開放感はどうなのかと思っていましたが、普通に気持ちのいいオープンカーでした。

アバルトということで、1.4Lターボにハイチューンの仕掛けがすでについているそうです。160馬力をこのサイズで出すわけですから、もう速いに決まっています。音の演出もわざとなのかいい音が聞こえます。
スポーツモードというスイッチを押すと、トルクが2kgmほどアップします。坂道でスイッチを入れたり切ったりしていましたが、この2kgmというのはかなり大きいもので驚きました。

でも、このクルマはあまり速さよりも、風を楽しみたいと感じさせるクルマでした。
⑨アバルト 500 エッセエッセキット装着車

ノーマルのアバルト500は135馬力ですが、「エッセエッセキット」というのを装着することでパフォーマンスが向上するようで、試乗車にもこれがついていました。

中身は先に乗った595Cと同じですが、変速機がこちらは5速MT。これも扱いやすい、低回転から太いトルクが出るエンジンということがわかりました。実は、アクセルを踏まずにクラッチペダルだけ、丁寧につなぐとうまく発進します。それくらいこのクルマはトルクがあるエンジンのようです。

これもやはり「スポーツ」モードにした時にはかなり豹変します。ノーマルモードでは「シフトアップ」タイミングを大きなインジケーターで見せるため、少しうっとうしいですが、スポーツモードにするとそれは消えます。
乗り味は少し硬い。スポーツモデルだからというのはわかりますが、ちょっと個人的には硬すぎるかなという印象です。

ステアリングの印象は595C同様、スポーツにすると重みを増します。ただ、油圧のステアリングのような自然さには欠ける印象でした。この点はのちに乗った「プント」のほうがずっと気持ちよく直進性を取り戻し、ハンドリングにもしなやかさを感じさせるものでした。

どうもこのクルマに乗ると、速く走りたい気持ちに駆り立てられて、ちょっと常におまわりさんの顔をうかがっていないといけないあたりがすこし疲れるかな、という印象でした。これをサーキットへ持って行って走るのならば、なかなか楽しいと思います。
⑩アバルト プント

アバルト500に比べると、見た目は地味ですが、実際に乗ってみて本当にバランスが取れていると感じたのはこの「プント」のほうでした。

ただ、左ハンドル+MTという組み合わせは万人には勧められないものですが、しかし本当にクルマが運転するのが好きで、毎日の運転を面白いものにしたいと考える人にはこれは一押しのクルマと言えると思います。
これもスポーツモードとノーマルモードがあり、スポーツモードを押すとずいぶん豹変します。
直進安定性が非常によく、これは長距離走行でも疲れにくいクルマだと思います。もちろんサイズも違うから比較するのも酷ですが500とは比べ物にならないかと思います。それは乗り味にも言えます。スポーツモデルでもゴツゴツさせずに、しなやかな足でスポーツを演出しているのですから、素晴らしいと思います。それも4mそこそこのサイズでこの印象は相当いいと思います。

一方でなぜかアバルト500にはない「アイドリングストップ」がこのプントには装着されていました。頻繁にエンジンストールし(停止して、クラッチペダルを離すと停止。クラッチペダルを踏むことで再始動)、エコロジーにも気を使っているのも面白いところです。
これも決してシフトフィーリングはいいとは言えませんが、どこへシフトが入っているかわからないようなことはないので、まずさほど問題にはならないかと思います。
しかし、残念なことに日本の排ガス規制の問題で、このクルマはもう日本へは入ってこなくなってしまうそうです。地味だけどいいクルマ。残念です。
以上です。
ありがとうございました。
実は今週、夢の「あのクルマ」に試乗予定です。
今から楽しみで仕方ありません!!