スズキ スイフト XG-DJE

ちょっとここ最近、あまりにも趣味的なクルマの試乗が多すぎましたので、久しぶりにまじめに…。
7月にマイナーチェンジされた「スズキ スイフト」。外観や内装は小改良にとどまっていますが、今回注目すべきは新しく搭載された「デュアルジェットエンジン」です。

カタログによれば熱効率を徹底的に高めたエンジンということです。ガソリンエンジンってこれほど車に搭載されてるから素晴らしきもの!と思いがちですが、実際にはよくても30%ほどしか使えておらず、それ以外は熱などとしてエネルギーを多く捨ててしまっています。
それをいかに減らすかということで、このデュアルジェットというのはその名前の通り、1気筒当たり、2本のインジェクター(燃料噴射装置)で燃料を噴射するシステムだそうです。
それ以外にも機関内でいろんな改良を施すとともに、軽自動車で採用の「エネチャージ」も採用することで、26.4km/Lという燃費を達成したようです。
今回試乗したのはこのデュアルジェットエンジンを搭載した、最廉価グレードに無段変速機(CVT)が組み合わされたものでした。
スイフトは現行モデルが発売された時も試乗させていただきましたが、コンパクトカーの中ではかなりいいクルマであると思った覚えがあります。
今回のこのクルマも乗り味などはヨーロッパ風で、値段の割にはいい乗り味です。サスペンションの味付けは少し固め。でも、ゴツゴツさは感じさせません。締まった印象です。
話題のエンジンですが、1.2Lと思えないほどなんの不満もなく、CVTがうまく制御しながらおいしいトルクを引き出して走っていきます。ただ、急加速をしたい時などアクセルをパッと踏んだ時に、リニアな加速が得られないのが何とかなりませんかねぇ。CVTのクルマは多くがそうなんですが、改良を望みたいところです。

写真のようにドライバーのアクセルワークによってメーターの色が変わります。緑色はエコ運転時です。燃料消費の多い運転をすると青い色に変化します。
いつもスズキのクルマに乗って気になるのは電動パワステのフィーリングです。
特に中低速域での、直進性に不満を感じます。微小な舵角を切って手を放したら、まっすぐクルマには走ってほしいのですが、そうなりません。これはワゴンRでも同様の印象でした。電動パワステのフィーリングは昔はどこのメーカーもイマイチなものが多かったですが、スズキのはいまいち熟成されていません。
それから、アイドリングストップがこのクルマも採用されていますが、13km/h以下という速度域で停止します。それはなかなか面白くていいのですが…。
ある程度、免許証を取って時間のたった、運転に慣れたドライバーなら、完全に停止するときにクルマがカックンとならないように、止まる直前で軽くブレーキを離すと思いますが、そうするとこいつはエンジンがかかっちゃうんですよ。これも、絶妙なさじ加減で慣れればうまくいくのかもしれませんが、私の試乗中では何度もせっかくエンジンが止まったのに、クルマが完全停止したときに、再度エンジンが始動してしまっていました。

それ以外は本当にコンパクトカーとしてよくできたクルマだと思います。
実用的で、コンパクトで乗りやすくて、安っぽくないという雰囲気はなかなか絶妙だと感じました。
三菱 アウトランダーPHEV G セーフティパッケージ

ずっと乗りたいと思っていたクルマにやっと乗せていただきました。
ノーマルのガソリンエンジンのアウトランダーもなかなかいいクルマでしたが、それをプラグインハイブリッド仕立てにして、バブル期の三菱のようなとにかくありとあらゆる新しい技術を満載したクルマになりました。
ニュースにもなっていた通り、発売直後不具合が起きましたが、生産工程での不具合ということでそれも解決し、リコールも出され一件落着し、生産が再開されました。
楽しみなクルマだったので、非常に残念でしたが、なんとか生産が開始されホッとしたところです。そして、乗ってみると、これは今、国産車の中で傑作と呼んでもいいクルマだと私は思いました。

まず、プラグインハイブリッドですから充電も可能なハイブリッドカー。試乗開始時にはさほどバッテリーには多く電気は貯まっていませんでしたが、全くエンジンはかかりません。もう、まさに電気自動車なのです。
とにかく、いろんな仕掛けがついていてとても説明が大変なのですが、とりあえずドライバーが自分の意志で「エンジンを発電してバッテリーに充電できる」スイッチ(チャージスイッチ)がありますので、押してみます。もうエンジンがかかったかどうかなんてわかりません。しかし、エンジンは作動して発電しているようです。これが静かなのが感心なのです。

今、動力や発電がどうなっているかという表示はメーター内に表示されますので、見ていても本当にエンジンがかかったかどうかの切り替えがわかりません。先日乗ったアコードHVもそうでしたが、日本のハイブリッド技術は本当に目を見張るべきところがあります。
ある程度高速になって、モーターよりもエンジン動力のほうが効率がいいと自動車が判断すると、エンジン動力に自動的に切り替わります。しかし、今回の試乗では70km/hより上、80km/h近くないとエンジンは動力としての仕事をしていないようでした。
面白い。
アクセルを強く踏んで、急加速をしてもトランスミッションがなく、リニアにどんどん加速していく様はまさに電気自動車です(電気自動車ではないのですが)。
駆動方式は4輪駆動。それも前輪と後輪それぞれ独立したモーターが搭載されています。
それにさらにLOCKモードが搭載されていますので、ぬかるみやすべりやすい雪道などでは威力を発揮するでしょう。
次のハイテクは自動ブレーキ&追従システム&レーンデパーチャーウォーニング。
これはここ最近、いつも取り上げているので割愛します。ガソリン車にもついていました。
前方レーダーで前車を認識、自動でブレーキをかけたり、渋滞時や高速道路などでほぼ自動で速度調整をして前方車両を追従してくれたり、白線を超えそうになるとアラームする機能です。
さらにハイテク。S-AWC(スーパーオールホイールコントロール)という、ランエボなどで採用されている統合制御装置も標準でついています。ヨーを感知して、各車輪を制御しながらコーナーを曲がっていくというものです。
とにかく面白い。

地味なところで感心したのは、ガソリン車と同じようにエンジンブレーキ(このクルマの場合、回生ブレーキですが)をマニュアル風に利かせられるところです。それも6段階で効かせることができるのは素晴らしいですよ。
それじゃ、これだけハイテクを積んで、走行性能はどうかといえば、これまたなかなかよくできているのです。
乗り味はバッテリーが低いところに置かれているから、乗り味は重厚感があり、固くもなく柔らかくもない、大変気持ちのいい乗り味。路面の凹凸を感じさせないとまではいきませんが、しかし長距離も快適であろうと予想できる乗り味でした。
電動パワステの嫌なフィーリングはありませんでした。

不満点を言うならば、ガソリン車とさほど変わらない見た目と、黒しかないインテリアカラー。それと、ここまでハイテクなクルマなのに試乗車には「雨上がりの毒キノコミラー」がついていたことです。カメラをドアミラーにつけて、ディスプレイで見せる方法を最上級グレードだけではなく、全車につけてほしいです。
最上級グレードにガラススライドルーフをオプションで装着すれば、あっという間に僕の理想カー第2弾が出来上がってしまいました。
