昨日は、「ボルボ V40」に始まり、「アウディ A3スポーツバック」「アウディ A7スポーツバック」「メルセデス・ベンツ CLA180」「メルセデス・ベンツ C180ステーションワゴン」に乗ったところですが…。
先日、試乗のお誘いのお電話を頂いていたので今日思い付きで行ってきました。
そのクルマがこれです。

フォルクスワーゲン ゴルフGTI
ゴルフは今年の夏前にフルモデルチェンジで7代目になったわけですが、待望の走りの“GTI”が追加されました。
ちなみに発売直後に1.4Lターボエンジンを搭載した上級グレード「TSIハイライン」には試乗しています。
自動車のスタンダードともいえるゴルフですが、このクルマがスタンダードならば世界のクルマはもっと良くなってもいいと思えるほど、中身がずいぶん魅力的なクルマでした。
一方で、最先端テクノロジーを搭載し、話題の自動ブレーキやレーンキープアシストなども搭載しており、非常に魅力に映った一台でした。
まず乗り込んでみて感じたのが、スマートキー式のプッシュスターターであること。ふと思い出してみると、やはりこのGTIから採用された装備だそうです。
直列4気筒2.0Lインタークーラー付ターボエンジンを搭載し、6速のDSGが組み合わされた“GTI”です。

最高出力は4,500~6,200回転で220馬力、1,500回転~4,400回転で35.7kgmという最大トルクを発揮するものでした。
車両重量が1,390kgですから、「速い」の一言です。
1馬力あたり6.3kgしかしょっていません。
このパワーは正直なところ日本の公道では持て余すものですが、中高速域からの加速はスムーズで大変気持ちいいですし、速く走りたくなる衝動に駆り立てられます。
そして、こんなスポーツモデルでもアイドリングストップ機構が装備されていました。
ブレーキにはホールド機能もついていました。ブレーキを一旦踏んで停止してから、ブレーキペダルを離してもブレーキを保持しておく機能です。そのままアイドリングストップも作動しています。
パーキングブレーキも電気式で、もうありとあらゆるところがハイテクです。
DSGの変速速度の速さは魅力的ですね。気持ちがいいです。
シートはやはりスポーツシートでサポート性の高いシートになっています。サイズは大きめで窮屈感はさほど感じませんでした。
このクルマには「アダプティブシャシーコントロール(DCC)」というオプションが装着されていました。以前乗ったハイラインにもオプションで装着されていましたが、ダンパーの減衰力や電動パワステの特性を変えるものです。
最初走っていた際にはゴツゴツしてると気になっていました。「スポーツ」というモードになっていてサスペンションがハードなものになっていました。これは街中ではあまりお勧めしたくないモードで、ワインディングを走るときにはいいかもしれません。その後、ノーマルとコンフォートにしてみましたが、街中ではコンフォートにするとゴツゴツ感はなくなり気持ちのいい乗り味になりました。
ただ、これは1.4Lの時も話しましたが、メインスイッチがシフトレバーの左側についているため、扱いにくいのが残念です。右ハンドル向けには右側にしてもらいたいと思います。
ステアリングの印象はノーマルのゴルフと明らかに異なり、非常にクイックです。スポーツドライビングにはかなり楽しいハンドリングですし、個人的にはかなり好きな味付けでした。直進性も非常にいいです。
このゴルフGTIには標準装備で今各社で話題のレーダーとカメラを使用した、自動ブレーキ機能や追従機能、そしてレーンキープアシストがついています。こんなスポーツモデルでもそのような機能がついていることに驚かされました。
前車に追従して速度調整を行ない、最終的に完全停止まで行なう機能は他車でも最近はよくチェックしていますので、今回はレーンキープアシストを試してみました。
このゴルフのレーンキープアシストは65km/h以上でないと働きません。メーター内のインジケーターがグリーンになると作動するという意味だそうです。
フロントガラスについたカメラが、車線の白線を読み取りステアリングを補舵します。ここで手放しだとどうなるかと、実験してみたらやはり手放しを10秒ほど続けるとアラーミングを起こし、その機能は解除されます。完全自動運転ではありませんという意味でしょう。しかしこれは非常に有効な機能だと思います。ちょっと借りて、長距離を走ってみたいです。

他にもフォグランプがLEDになっていたり、オプションで大型のスライディングルーフが用意されていたり、なかなか魅力的なクルマでありました。
いいクルマなのですが、どうも速く走りたくなってしまう嫌いがありました。しかし山道などではとても楽しいクルマだと思います。
今日はGTIの試乗のみの予定だったのですが、ちょうど1.2Lターボの一番ベーシックなゴルフの試乗車があり、お店の方のご厚意でぜひ乗ってみてくださいということで引き続き乗せていただきました。
ただ、「GTIに乗った後に一番安いのか…。乗る順番逆にすればよかった…。」と思っていたのですが…。

フォルクスワーゲン ゴルフ TSIトレンドライン ブルーモーションテクノロジー
これで7代目のゴルフに用意されたパワーユニットにはすべて乗ったことになります。最初に乗った1.4Lターボ(気筒休止エンジン)、GTIの2.0Lターボ、そしてこの1.2Lターボです。1.2Lターボには2グレード用意されていますが、これは安い本当にベーシックグレードです。
しかし、ベーシックグレードとはいえ、ステアリングは革巻、追従機能まではないにしても緊急自動ブレーキ機能は標準、電気式のパーキングブレーキ、ホールド機能ブレーキなどは装備されており、ヘッドランプがハロゲンであることや、パドルシフトが装備されていないこと、エアコンがマニュアルになることなど多少物足りない装備もありますが、しかし普通に考えれば大きな不満は出ないと思います。
もっともオプションでキセノンライトも選べますし、追従機能やレーンキープアシスト機能付きのものにもできます。
さて、それでは実際に走り出してみると一番の驚きがとにかく静かなことです。GTIは明らかにエンジン音がアイドリング時にも聞こえていましたが、このクルマは本当に静かなのです。わかりやすく言えば、アイドリングストップをしている状況からわざとエンジンを再始動させたその瞬間はエンジンがかかったことがわかりますが、そのあとはまたとても静かになります。本当に静かなのです。アイドリングストップをしていると勘違いして、タコメーターを見たらエンジンが回っていたということが何度もありました。この遮音性は相当なものです。
そして走り始めれば、1,400~4,000回転で17.8kgmを発生する最大トルクを見ればわかる通り、普通の2.0Lクラスと変わりない動力性能です。
そして、驚くのはやはりDSGというトランスミッションです。タコメーターの動きがもう完全にスポーツカーのような動きで、変速速度の速さに驚かされます。これは7速のDSGですが、このトランスミッションがいかに小さなエンジン能力を引き出すのに役に立っているのかということがよくわかります。
パドルシフトは備わっていませんが、シフトレバーでマニュアルモードにすればかなり活発に走らせることができます。そして、そのシフトのタッチフィールが何ともいいのです。フニャフニャ感のないカチッとしたフィーリングが何とも上質感を感じて気持ちがいいのです。
中速域からの加速は4,500~5,500回転で105馬力という数値からわかるように、伸びにはもう少しパワーが欲しいなと感じることもありますが、日常ではまず不満は感じないでしょう。
むしろ、このクルマはエンジンを使い切ることができる楽しさがあります。実は、日本で乗るにはGTIよりもこれくらいのほうが使い切るという意味からすると楽しいかもしれません。
ステアリングの印象はGTIほどクイックではありませんが、昔の電動パワーステアリングのいやなフィーリングは完全に影をひそめ、ドライで気持ちのいい、そして直進の取戻し性能が抜群のステアリングでした。
乗り味は大変しなやかな足で気持ちいい乗り味です。硬くもなく柔らかくもない絶妙な味です。
今はずいぶんクルマは贅沢な装備がつくようになりましたが、逆にそれでごまかせるというところもあると思います。
今回はゴルフの一番ベーシックなグレードのクルマに乗り、このクルマの良さに本当に感激しました。GTIよりも実はこちらの方の出来の良さに驚かされたのです。
そして、何もない素の状態で249万円というのはバーゲンプライスだと思います。
発売当初はまだ間に合わなかった純正のナビゲーションと車両の機能設定などを操作できるディスプレイがつけられるようになったことで、ゴルフは完全に鬼に金棒になったと思います。
同じプラットフォームを有する「アウディ A3スポーツバック」に昨日乗って、あちらもいいクルマで気に入りましたが、やはりバリュー度はこのゴルフが高そうです。ブランド力が欲しいというのならば、フォルクスワーゲンよりもアウディだとは思いますけれども…。クルマの出来は「アウディA3」同様、この「ゴルフ」相当いいです。
これが世界のクルマのスタンダードというのならば、まだまだよくなってほしいクルマはたくさんありますよ。
今発売のCセグメントで個人的には「ボルボ V40」が一番だったのですが、「フォルクスワーゲン ゴルフ」が一番に躍り出てしまいましたね。デザインはV40が一番好きですが、しかし装備や価格などを考慮するとゴルフのほうが欲しいクルマになりました。自動ブレーキから追従装置、レーンキープアシストをゴルフにも装備するとV40に十分対抗できます。
乗り味のしなやかさも考えると、ゴルフが一番になったと思います。
ぜひぜひ、この素のゴルフ乗るチャンスがあれば乗っていただきたいと思います。