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2023年12月11日

執念と奇跡を見た天国と地獄を往復した日

執念と奇跡を見た天国と地獄を往復した日 先月のMEC120 岡山戦に続いてMEC120 茂木戦(最終戦)でした。

引き続きG-TECHチーム / OOKA選手とJointしての参戦。

岡山戦では予選でしっかりタイムを出せず、決勝の自分のスティントの内容的にはTopまで上がって行って自分の良い部分が出たけど、黄旗無視やらガス欠でのコース上停止など色々と皆さんのお手本となるべき立場なのに、やらかしてしまった部分もあり、なによりSCによってピットinタイミングを逸してしまってのガス欠という悪夢によって大切な選手権のポイント獲得が出来ずにDNFとなってしまったのが痛かった。

あれから3週間、個々のワンスマ業務をしながら、ずっと悶々とする日が続いてました。

ドライバーはレースの借りはレースでしか返せないので、茂木戦ではああしよう、こうしよう、、、というのが募った状態で茂木を迎える感じでした。

岡山戦の反省点は元々路面のµ(ミュー)が低いコースで非常に低温であった事、そして週末雨(一時は雪)が多くて路面も出来上がらない中で1Dayレースの日曜日を迎え、朝の予選で全車が一斉に新品タイヤを使う急激な路面変化にセットアップもドライビングもアジャストしきれなかった事が要因でした。

岡国戦の午後の決勝はマシンのバランスも良く、OOKA選手も含めて好ペースで走れた事が結果的にはガス欠となりましたが、それまではTOPまで行けた要因。

今回の茂木は決勝のバランスの良さは維持し、気温が前回の岡山戦ほど低くなく、茂木の路面が日頃から岡国ほどは低µではないので、予選の路面変化は岡国程ではないであろうと予測しつつも予選用のセットアップ面も岡国戦の際はMEC120レース自体、そんなに重箱の隅を突く様なセットアップをしてないだろうと悪い意味で楽観視していたのが、全然そんな感じではなく各チーム、各ドライバーがvGranzもVITAもレギュレーションの中で凄く走らせ方を研究しセットアップも追及している雰囲気だったので自分の中での『本気のレースのスイッチ』をしっかりONにして戦わなければ、、、という意識を強く持っての茂木入りでした。

まずは茂木に入ってチームとMTG、前回の岡国戦での自分の非の部分をお詫びし、チームとして今回に向けての課題点や練習走行でのやるべき事を整理していたので伝え、金曜土曜はやるべきことをしっかりと進められたと思います。

自分が『やってしまったなあ』と反省するレースは長くやっていると必ずあるもので、次のレースを迎えるまで凄くなんか嫌な感じなんですよね、でもミスは認め、迷惑をかけた人には声掛けし、レース運営の人たちとも話をし、、、そういう自分の環境づくりの為のコミュニケーションは良い時も悪い時も必要だから、金曜土曜はそちらにも意識を持ちながら週末となりました。

セットアップはリアスタビ、フロントの車高とショックを調整してOOKA選手のフィーリングも確認しながら慎重に進めました、新品タイヤでの予選向けセットの方向も見つけつつ、決勝はOOKA選手がいいリズムで走れることを重視したバランスに設定しました。

OOKA選手はレースを始める前のサーキットデビューの頃から自身の86やポルシェでワンスマのプログラムに通って頂いていて、そこから公式戦(Porsche系のレース、VitaやGranzのレース等)をここ1-2年で多岐に高頻度で参戦されていて、非常に練習熱心、走行の合間もデータや車載を私の隣で一生懸命観ていて、走行毎のアドバイスの時間を確保していても、それ以外でも何かわからない事があれば常に質問を絶やさない、、、いわば上手くなって当然の模範的ジェントルマンDrの1人だと思っていて、昨年の秋にOOKA選手の初の公式戦表彰台獲得となるVita耐久戦がここ茂木で私と組んで出走した時だったので、約1年経ってレース経験も表彰台経験も、優勝経験のしてきて、更に成長したOOKA選手と組んでのvGranz MEC120のこの2戦は私としても非常に意義深く楽しみにしていたレースでした。

しかし、OOKA選手は開幕2戦(FSW、鈴鹿)と自身も走り込んでいるコースであり、一緒に組んだ三宅プロ、佐藤(公也)プロもとてもいい走りをして2連勝でシリーズチャンピオン独走の状態で私がバトンを受ける、、、というプレッシャーが大きかった(笑)

岡国戦は予選はしくじったけど決勝はガス欠さえなければ勝ててたレースだったろうから、あそこで3連勝(少なくとも表彰台の一角にさえ登れていれば)、今回の茂木はプレッシャーフリーで臨めたとも思うんですが、そうはレースの女神さんもさせてくれないのが『レースは人を鍛える』とこのシリーズを見る福山アドバイザーにもそう言わせる所以なのでしょう。

茂木戦での予選はあと最低でもコンマ3~5秒は欲しいとは思いつつ、自分の中で想定して目標としていたタイムは出ていて、3列目6位を獲得できたのは一安心。

しかし全然トップのタイムが見えない(2分00秒1)、結構自分でも色々と研究して今回はセットアップもいい方向になっているハズなのに01秒3、完璧に走れたとしても01秒フラット位だから1個順位が上がるかどうか?あと1秒いったい何をすればいいのだろうか??って感じ。

決勝は午後の季節外れの高い気温(路温)でのスタートだったので想定ラップペースを設定し3列目以内からなら安心のレースがOOKA選手も出来るだろうと送り出しました。

順位もそうですがトップからの差を最初のスティントは40秒以内に設定し、燃費的に大丈夫であれば(残り2stint澤-OOKAの継投を満タンでフルスティント走れる分をキープしておけばOK)早めにPitもあり得る体制でしたが、OOKA選手も序盤の高温&満タンの難しい状況でコンスタントに5秒台を維持し、予定通りのタイミングでPit in / 澤への交代となりましたが、しかしpit-outして計測1Lap目の5コーナーで突然悲劇が起きます。

突然のアクセルワイヤー切れ、、、直ぐに何が起きたか右足のペダルの感覚で分かったので岡国の際の二の舞にならぬ様に芝生にクルマを入れてオフィシャルポストの近くまでアイドリング状態の1速で進んで停車、万事休すかと思ったのですが車には通信用にiPhoneを搭載していたのでチームと通信して車の状況を伝え、何とか車を再始動してピットに戻れる方法がないか?20分ほどクルマと格闘しました(走らせての格闘ではなくアクセルワイヤーとの格闘でした)、途中でマーシャルの方がドライバーをピットまで、と助けに来てくれたんですがそれも状況を説明して丁重に断って、、、シートの裏にあるエンジンのスロットルシステムがハーフスロットルになる様にシートベルトの不要な部分を束ねてシートの裏に入れてある部分を出して、解いて、スロットルのストッパーの部分に挟めないか?目視ではなかなか見えない部分になるので狭い所に手を突っ込んであーでもない、こーでもない、、、格闘し何とかエンジン始動したら高回転を維持できる方法を編み出し、自分で5点シートベルト締め、エンジン再始動、登りで芝生の上だからアイドリングでは1速で発進が出来ないであろう部分をクリアし、無事発進&2速でコース内に戻り、そこからもヘアピンまでは登りが続くので3速では速度が落るので2速維持、下り坂は速度が上がる様にクラッチを切って90度コーナーは後続が来ない事を確認してOut-in-Outでその後のピットイン部分の登りで停まってしまわない様に助走を付けて無事ピットまで戻ってこれました。

何でも自分で出来る事ってこういう時に助けてくれるし、コースを熟知とまでは行かない茂木でもこういう時にアップダウンやレイアウトを理解している、くるまの構造を最低限理解しているって言うのは活きると思いました。

執念によって奇跡の1個目(アクセルワイヤーが切れているクルマでピットまで戻る)は完遂したのですが、そこからメカニックさんがものの10分ほどで切れたアクセルワイヤーを交換するプロの技を見せてくれて、残り45分になる時間だったのでOOKA選手に最後のスティントに行って貰う作戦に変更しました。

チャンピオンを争う9号車は我々が勝負権が無くなると5位以上になればポイント的に逆転できるという計算で、まさしくその5位とか6位辺りを走行していて我々は相手の不幸を望んではいけないのは分かっていても前後の車両とのペース差やギャップの変化を気にしてしまうもの、、、実は9号車はミッションに不具合を感じていた様でペースが上がり辛い状況だった模様、結果的には8位でゴールとなり2連勝の後の2戦ノーポイントながら辛うじてポイントリーダーを維持してG-TECHチームとOOKA選手はシリーズチャンピオンを獲得することになりました。

ピットに戻って修復してチェッカーを受けること自体、チャンピオン獲得には影響ない事ではありましたが、チャンピオンの可能性がある限りは最後まで走る!がレース(耐久レースは特に)ですから、OOKA選手にチェッカーをしっかり受けて貰った意義は私は凄く大きいと思うし、この諦めない戦う姿勢はOOKA選手にとっても凄く今後のレース活動にも活かしてもらいたいと思う部分です。

私個人としてはこの2レースでノーポイントだし、何も役に立ててないと結果的には見えてしまうのが残念なので来年リベンジしたい!(笑)

1年を振り返るとGWCA戦の鈴鹿のPP獲得と土曜日レースのレースリードの前半パートで全ての運を使ってしまったような1年でした。

でも運は自分が撒いてきたものの現れなので受け入れて前に進むしかない。

逆にOOKA選手に代表されるワンスマを通過してジェントルマンDrさんたちがレースで結果を出してくれた1年でもあったのもそれはそれで今の私やワンスマを象徴した1年だったとも言えるので、来年はその両軸が4輪駆動の様に前進させてくれる様にしていきたいと思うレース後の明け、月曜朝でした。

皆さん、茂木戦に限らず1年の御支援ありがとうございました。

写真:平井様 提供
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Posted at 2023/12/11 09:30:50

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