そして日曜日午前中、10LAPの決勝です。
”結果はどうであれ早く終わって楽になりたい”という
心が折れそうな澤圭太と
”マカオをこんな状況で走れるなんて幸せだ!
充分この切羽詰った状況を楽しまなければ!”という
楽天的な澤圭太が既にグリッド上で戦っております(笑)
でもグリッドでTVのインタビューに英語で答える冷静さも
まだありました・・・(笑)
Asia-GT3はローリングスタート方式ですが
FIAルールと違って
シグナルがグリーンになったらコントロールラインの手前でも順位の
入れ替えはペナルティではない・・・という解釈が私に味方をしました。
通常のFIAルールではフライングになる位の絶好(!?)のスタートでした。
ダリル君はきっと私の車にプレッシャーを与えようとこちらに近寄ってきていたので
その間合いを調整する為にシグナルから一瞬目を離していたんでしょう。
スターターの”おっさん”は中国や香港/マカオで絶大な人気を誇るダリル君のもしかした・・・
いやきっと”アンチ”だったかもしれません・・・(笑)
これは人気者の宿命ですから仕方が無いですね・・・
私はフォーメーションラップでシグナルから目を離さないままDISPLAYの車速表示を見つつ
ルールとなっている時速70~90KMの一定速度で最終コーナーをクリアしたら隊列を整える・・・
という状態を維持する練習を、予選中に一度最終コーナーからの立ち上がりで
周りの安全を見て、黄旗でアタック出来ない状況時にしてましたから・・・
最終コーナーをクリアしてシグナルが見えてからは片時もシグナルからは目を離してませんでした。
そうして狙い通り、一瞬出遅れたダリル君をよそ目に1コーナーをトップで通過しマンダリンへ
マンダリンからリスボアまでの加速が一番の心配でしたが
ダリル君は極端にはダウンフォースを削って来てない様子で
リスボアのブレーキングも難無く1位でクリアしました。その後は後ろを気にせず・・・と言ったら
嘘になりますがトップだからこそのリスク・・・例えばオイル処理や状況の変化などに対して
トップで進入する訳ですから細心の注意を払いつつ予選モードで
1LAP1LAP、1コーナー1コーナーを処理していきます。
ただ残念な事に後続のクラッシュが原因でSCカーが出動になりました。
新品タイヤでスタートしている上位陣もタイヤにとっては良いタイミングで一旦休憩なので
後半のタイヤのタレを心配する量が少し減ったと思います。
しかしマカオの場合は右回りで左タイヤは温めやすいのですが右側は温めづらい・・・
SCカーが退去してからのリスタート後の1コーナーは左コーナーですから
ブレーキと加速を繰り返しながら特に左側タイヤを冷やさないように注意です。
← これは車載映像を見れば技が見れるはず・・・
あとはSCカー退去のタイミングとリスタートのタイミングが重要です。
最終コーナー手前にフィッシャーマンズベントという90度3速コーナーがあるので
その立ち上がりでとあるマジックを使って(秘密)牽制して
2番手のダリルをちょっと引き離す状態で最終コーナーを立ち上がってリスタートをする事が
出来ました。
しかし精神状態は必ず追う側が有利なはず。ダウンフォースレベルはダリル君やはり大きくは削って
来てませんが1コーナーを目一杯コース幅を使ってガヤルドのスリップに入ってきます。
ガヤルドは予選以上に1コーナーはダウンフォースのお陰で踏めるようになったのでスリップから
抜け出すまでには至らずマンダリンへ・・・
マンダリンからリスボアの再加速では再度スリップを使われるが
リスボアのブレーキングガヤルドの方がブレーキ開始が奥なので抜くに至らず・・・
そんなちょっとしたことがキッカケで形成が一変してしまうギリギリの戦いが
残り5LAP続けられたのでした。
でも決勝は何度も言いますがポジションレース・・・ダリルの前でゴール出来れば1位なんです。
山側はリスクを負う必要はありません・・・ミスをしない限り抜けないのですから・・・
だから相手をじらす位ゆっくり走っても良いわけです。実際は私も予選モードとまでは行かないけど
余裕をこいている訳ではない・・・でもダリルはプレッシャーを掛け様と山側は特に迫ってくる・・・
こんな駆け引きがTV放送で見られたシーンなんですね。
私が集中していたのは最終コーナー、1コーナー、マンダリンの立ち上がりと
リスボアのブレーキングのみと言っても過言ではありませんでした。
そこさえ常にミス無く100%で走れば何LAP走り続けても抜かれる事は無い!
そう言い聞かせて集中して走ってました。ここまで来ると”マカオマイスター対抗ガマン大会”です(笑)
強いて言えば、SCカーラン後のリスタートでサンフランシスコ登り直線後の左右のコーナー出口で
ちょっとアンダー気味で出口で引っ掛かりオーバーを修正した際にこの4年で初めて本格的に
壁(しかもここはガードレールでなく本当に石壁です)と熱烈な接吻を交し左ミラーを綺麗に
飛ばしてしまった事・・・その後2秒間くらい焦りました。
でも今思えば右回りのトラックで左ミラーだったのは不幸中の幸い・・・
きっと勝利の女神が”ミラーばかり見ては駄目よ前を見なさい・・・ウフッ!”と
言ってくれたんでしょう(この辺の発想はやはりB型です)
その後も集中していたのでラップタイムも残り周回も気にしてなく、
所謂”ZONE”の状態だったと思います。
(田中ミノル先輩!何か下さい・・・笑)
気が付いたら最終ラップの1コーナーでした。
でも何だか先にバックマーカーが見えたな~と思いつつ
最後の海側の攻防を無事終えます。リスボアで残り2~3LAP黄旗が出ていたのも味方でした。
でもバックマーカーは凄い勢いで追いつきます。でも何故だか良い所で抜ける・・・
ダリルはちょっと引っかかってロスしているようでした。でもそれでマカオは終わらない・・・
最後のメルコヘアピンを前にして2台のバックマーカーが再登場。
1台目の処理に手間取りダリルがぴったり付く状態でフィッシャーマンズベントへ・・・
後から考えればここが一番危なかった・・・(笑)
その後2台目のバックマーカーは最終の手前でラインを譲ってくれた!
これで飛び込む感覚でフィニッシュラインへ!
チェッカーが振られ、ピットウォールの全ての人が手を振ってくれている前を通過~!
この映像は今でも目から離れません・・・その後は・・・完全に別人でした(笑)
ゆっくりマカオの景色をレーシングカーから見れるなんてこの瞬間しかありませんから
リスボアの観客のスタンディングオーベーションや
各ポストのマーシャルが全員手を振ってくれる姿を
目に焼き付けながらのウィニングラン。
ゆっくり走っていてもドアを半開きにして手を振るとドアは重たい・・・
(これは皆さんへのアドバイスです)
ピットに帰ってくるとダリル君とワッツ君と表彰台へ・・・
結局”いつもの顔ぶれ”ですが真ん中の一番高いところは最高です。
正面のスタンドでは日の丸を振ってくれる人が居たっ!
各TV局やメディアの取材も一通り済ませてピットに帰ってくると・・・
皆祝福してくれる・・・ランボルギーニのエンジニアは
”マカオでガヤルドをドライブした日本人がダリルを負かすなんて最高だぜ~っ!”
と抱きしめられた(笑) やっぱり居るのねアンチが(笑)
まずはLKMの社長にミラーを無くした事をまず謝って(笑) おもむろにドリフトボックスと
車載映像のデータをラップトップにコピー(意外と冷静です)
皆で記念写真を撮って・・・余韻に少し浸って・・・皆に握手をしながら挨拶をして・・・
汗が引いて軽く食事をしたら・・・歩いてホテルに戻てきます。その時の安堵感と言ったら・・・
取り急ぎ家族や近しい人々へ電話で報告・・・
そしてあのブログのアップです(笑) ←
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こんなにコメント頂いて嬉しいです!でも返事は待ってください(笑)
→ 今年の年明けの”○ねば良いのにね~”事件ブログを超えたコメント数・・・ こちら