今回は白熱電球について。
では、どうぞ。
2.白熱電球
【構造】
「フィラメント」「ガラス球」「口金」で構成。ガラス球の中は真空または不活性(アルゴン、クリプトン)ガスを封入。真空の場合を真空電球(フィラメントの昇華が大きい)、不活性ガス入りの場合をガス入り電球(フィラメントの昇華防止に不活性ガスを封入。ガス入り電球は真空電球よりも寿命が長いか明るい)と呼ぶ。
尚、ガス入り電球は軟質ガラス(加工性は大変よいが硬質ガラスよりも脆い)のため、大気圧よりも低いガス圧に設計。
【原理】
導入線でフィラメントが固定されており、フィラメントに電流を流すことで電気抵抗が生じる。この抵抗によりフィラメントの温度が上昇(2200~2700℃)し、高温となることで白熱化して光る。そして、白熱化によりフィラメントは昇華する(→昇華したタングステンがガラス球内に付着しガラス部が黒くなる=黒化・・・可視放射効率低下の原因)。
やがてフィラメントは小さくなり、終には切れる。フィラメントが切れる(導入線とつながらなくなる)ことで電気が通らなくなり、点灯しなくなる。
【タイプと分類】
『タイプ』
●金属口金タイプ・・・口金が金属
●ウエッジベースタイプ・・・全体がガラス
車内照明や信号灯(ストップランプ・テールランプ・ターンシグナルランプ)等に使用。
また、使用目的が同じであっても、数多くの構造が違う電球を設定しているのは、灯具の仕様が異なり、適用にあわせて使い分けているため。
『ガラス球の分類』
●水泡形(B) ●なす形(S) ●洋なし形(RP) ●管形(T) ●丸形(G)
形状を示す記号及びガラス球最大部直径の標準値の組み合わせ
“S25”: なす形の形状で最大外径が25mm、“T10”:管形の形状で外径が10mm
『口金の分類』
―電気接点の数―
s・・・1個(Single Contact:シングル コンタクト)
d・・・2個(Double Contact:ダブル コンタクト)
t・・・3個(Triple Contact:トリプル コンタクト)
q・・・4個(Quadruple Contact:クアドラプル コンタクト)
●差込口金(バイヨネット口金)
口金側面のピンの位置関係、口金の外径および口金底面にある電気接点の数を表す記号の組み合わせ
―ピンの位置関係―
BA・・・平行 BAY・・・段違い BAU・・・角度位置違いで平行
“BAY15d”:口金側面のピンが段違い、外径15mm、口金底面の電気接点が2個
●定焦点口金(ツバ付き口金)
形状記号(P)、口金外径または取付け上の重要寸法および口金の底面にある電気接点(はんだ接点または端子)の数を表す記号の組み合わせ
“P20d”
●両口金
形状記号(S)および口金の外径の組み合わせ
“S7/7.5”
●エジソン口金
形状記号(E)およびねじ部の外径の組み合わせ
“E26”
●ウエッジベース口金
形状記号(W)、厚さ、幅および電気接点の数の組み合わせ
“W3×16q”
【着色電球と光色の法規制】
『着色白熱電球』
ターンシグナルランプ及びサイドマーカランプの目的でガラス球に着色。
『光色の法規制』
道路運送車輌の保安基準により、規定された用途と光色の組み合わせ以外の光色の場合、周囲の誤認による事故を誘発するおそれがあるために、法規違反となり、車輌検査規定にも抵触する。
【特性】
供給電圧が上昇すると明るくなるが、寿命は短くなる。一般に電圧が1割上昇すると寿命は1/3になり、2割上昇すると約1/10になる。ヒューズの付け間違い及びリレーやハーネスの追加などで電圧が変わる場合がある。
寿命末期には電球のガラス部が黒化する。特に白熱電球の場合は、使用状況によっては著しく黒化する場合もある。黒化が進んだ電球は、安全運転のためにも即交換が望ましい。
※電球の寿命は、電球の種類・用途及び点灯消灯の頻度によっても変わる。基本的にはJIS規格で定められている寿命時間を参考にして設計及び製造。但し特別な理由で明るさを重視するために、寿命時間が短い種類もある。
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灯火類 | クルマ
Posted at
2015/12/24 21:37:47