
並行輸入車と言いますと新車並行(本国等のディーラーからナンバーが付く前の新車を輸入した物)と中古並行(外国で登録し走行した中古車を輸入した物)の2つにわかれました。
新車並行はあまり当たり外れが無いのですが(例外は後ほど)中古並行に関しては輸入し販売する会社の考え方から品質に雲泥の差が有りました。
特に町田近辺の販売会社は凄かったですね。イギリスの王朝みたいな車屋さんに行ったときです。外でM3もどきのBMWを見ているとつなぎ姿のお兄ちゃんがやってきました。「ここじゃ買わない方が良いですよ」
メーター改ざん、事故車を無事故車として売るのは当たり前。即納車有りますと言って金をもらいその金で外国で買い付けるため納車が6カ月後とか・・・その筋の方も多かったのでこんな事当たり前田のクラッカー状態でした。
当時はヨンオートでも新車が輸入しずらくなった時期に数社で中古並行車50台ほどを輸入しました。
輸入した車を確認すると面白い事に気が付きました。走行キロ数が年式ごとに決まっているんです。1986年式ならば30000km前後、1987年式ならば22000km前後と。そうですメーター修理?して日本に送ってきたのです。
お客様の中には自分からオドメータの走行距離を少なくしてから納車して欲しいと言う方もいたのであまり気にならなかったですね。
1990年当時の外車オークションに行くとどんなポンコツベンツでも走行キロの上限は9万キロに行かないのです。
そのような時プロがチェックするのがハンドルでした。ウレタンハンドルの場合5万キロを超える位から表面のごつごつがなめらかになり10万キロを超えるとツルツルになってしまうのです。それとシートの状態を見れば大体の走行キロが想像できましたので大失敗して中古車を仕入れる事は無かったのです。
Aさんと言うお客様は不動産業を営んでいた関係で1年で5万キロ位走行します。
どこからかメーターを修理する事が出来る事を知ったAさんが小生に頼んできました。
「1年点検の前にメーター修理して4万キロ位無くして欲しい」と。
最初は断りましたが工賃以外に手間賃として諭吉先生を3枚くれると言う甘い誘いに負け毎年修理していました。
また23区内に有った大統領みたいな会社にはメーターを修理する機械を作っちゃた人がいたのです。
メーター修理と考えると大体の方はピンセットや精密工具を使い逆に回すのではないかと考えます。
ただ、この方法の場合、メーター自体が壊れる事が有るのです。
そこでその会社の社員が考えた機械とは・・・マブチモーターをメーターの回転軸に取り付けモーターを回すだけ。ベンツのメーターは100万キロを超えると・・・アーラ不思議!・・・0キロになっちゃうんです。
10万キロのメーターに機械を取り付け1晩、回しておくと翌日には3万キロ位になっているのです。
その社員には社長賞として金一封が送られたとか送られなかったとか。
さて販売方法で凄い事を考えた方が2人いました。
1人はその筋の一番トップの方なのですが息子さんに外車輸入販売会社をやらせました。
勿論輸入したのはベンツ560SEL、ベントレー等の高級外車です。それを下部組織にディーラー価格で販売するのです。それも現金で。しかも無保証。流石その筋のトップの方の考えは違うと思いました。
2人目はヨンオート近くの自動車輸入会社の社長です。貸金業を営んでいたのですが車が好きで車業もサイドビジネスとして始めたのです。当時ヨンオートの場所の関係から東武レパードの選手がヨンオートから多く購入されておりました。(苫篠さんや伊東さん以下約10人位がお客様でおりました)
ある時、プロ野球選手Bさんから車両入れ替えの話しが持ち上がり560SECロリンザー仕様の見積もりを自宅へ持参しました。
他からの見積もりもあると聞いていましたので商談を続けて行くとBさんが「なんで200万円も違うの!」相手の見積もりを見ると・・・車両価格が原価なのです。インボイスも付けているので間違いありません。
そこで支払い条件を聞いてみました。
すると「アドオン方式12%の60回払い!頭金もいらないって。得でしょう」
即座に計算すると1600万円×0.12×5年=960万円!(金利=利益)
「でも金利が~」と突っ込むと「金利は経費で落ちるから大丈夫」脳味噌まで筋肉質とは聞いていたが・・・
バブル崩壊とともにその会社も不良債権が多くなり過ぎつぶれてしまいましたが、金貸しの考え付く最高の車販売方法でした。
続く
Posted at 2012/08/26 17:34:13 | |
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