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2014年06月14日 イイね!

有頂天ニコルその2――感動の極みの先にあるもの

この記事の続きです)


BMWF30世代の3シリーズをベースにしたアルピナは素晴らしいクルマだ.


B3の素晴らしいエンジンフィーリングとエグゾースト.D3の上質でありながら湧き出るような太いトルク.わかりやすく目を見張るものがたくさんある.スポーツモードでの足回りはまさに理想的であり,デフォルトでコンフォートになる設定が惜しいほどだ.


ブレーキとハンドルのフィーリングなどはまさに驚きだと言いたい.カーブの入り口でブレーキを残しながらハンドルを切り始めるときに明らかになるそのリニアさ.しかもコーナーの出口でハンドルを戻すときもやはり同じようにリニアだ.さらに,ハンドルとブレーキがそれぞれ滑らかに連動していながら,それぞれが独立したリニアリティを保っている.作法には反するけれど,例えばハンドルを切り増している最中に,ブレーキを踏み足しても,驚くほどハンドルの感触が変わらない.まさに感動だ.感動の極みだ.





見た目も良い.ローターが大径化され,キャリパーが塗装された現行のアルピナ3番のエクステリアは,さらにインチアップしたホイールともあいまって,上質なスポーティネスを体現している.インテリアは相変わらず素敵だ.それでいて,どこかで3シリーズらしいDセグメントらしさというか,簡素な雰囲気のようなものも残っているところがさらに好印象である.





オーディオが改善されていたのもうれしい誤算だし,ヘッドアップディスプレイやアクティブクルーズコントロールが「アルピナとしては適切な価格」でつけられるのも自分には魅力だ.


それなりの走行距離を走っていた試乗車のB3では,ロードノイズが割と気になった.けれど,車の性格上20インチのミシュラン製スポーツタイヤを履いているのである程度は仕方がないだろう.5シリーズになるとボディの遮音性が格段に上がるのでおそらくもっと静かなのだろうが,やはりサイズとして3番にしておきたいという僕の思いを変えるほどでもない.一方で,慣らしが終わったばかりのD3に乗ってみると,エンジンも(良くも悪くも)ぐっと静かで,タイヤが新しいからか19インチだからかは分からないが,今度はロードノイズもまったく気にならない.



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でもどこか腑に落ちない.ディーラーに三回も訪れ,B3とD3の合計で三時間は試乗させてもらったと思うが,それでもこのクルマがどういう素性なのか分かったという気にあまりなれない.


スポーツモードにしてみたりマニュアルモードでシフトアップシフトダウンを試してみたり,キックダウンして加速してみたりエンジンブレーキで減速してみたり,いろいろやってみるのだが「なんとなくまだ先がありそうな感じ」が残る.「まだまだ僕の素性は明かせませんよ」と車に言われているような気がする.


それは時々あるような,「ドライビングインフォメーションが希薄」ということではない.むしろ,路面の状況や前後加重の具合やGのかかりかたなどをとてもナチュラルな潤沢さで伝えてくるクルマだと思う.


「クルマとの一体感に乏しい」というのでもない.むしろ,ほとんど遊びがないと思わせるほどドライバーの操作に対してピタっとあとを付いてくるような挙動を示すクルマだと思う.


「速いけれどエモーションがない」というのでもない.むしろ,純度の高いエモーションをごく控えめながらはっきりと持ちあわせているクルマだと思う.


ただ,色々試してみてもどこか本性をまだ隠しているのではないかと思わせるような雰囲気が残る.



つづく
Posted at 2014/06/14 22:08:24 | コメント(3) | トラックバック(0) | アルピナ | 日記
2014年06月10日 イイね!




免許を取ってから,ようやく四年と半年が経った.去年,免許の色が緑から青に変わったばかりだ.免許を手に入れた僕は自分のクルマが欲しくなり,今の車を買った.それから数えるとちょうど四年.車を手に入れたら,もっと車のことが知りたくなってみんカラを始めた.それからだと二年と少し経った.

それが今だ.


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先日,はじめてポルシェを運転した.そのことで,自分の夢にはじめて一歩近づいたような気がする.


いつか911のカレラSを新車で買うというのが僕の夢だった.好きな色に塗って,欲しいオプションを全てのせてオーダーしたい.以前からずっとそう思っていた.基本的には新車志向は無いつもりなのだけれど,911に関してだけは別だ.できることなら新車で買いたいと思う数少ないクルマのひとつだ.

そして,買ったらあとはもうひたすら一生乗りたい.車の運転が出来なくなるまで.

911は五十年という長い期間ずっと製造され続けているモデルだ.ポルシェはいままで製造された全てのクルマを合わせても,その四分の三がまだこの世に現存しているという.要するにそれだけ長く乗れるクルマなのだろうし,オーナーもそれだけ長く乗りたくなるクルマなのだと思う.






かつてから,ポルシェには並々ならぬ興味と敬意をもっていた.

けれどもじつは,単純に自分の意思だけでポルシェに近づくということは,気持ちのどこかで避けてきたのだった.ポルシェについてみんカラで何かを詳しく書くこともたぶんあまり無かったと思う.それは「自分にはまだ早い」という思いがあったからだし,逆にふさわしい時期になれば自然とその時が訪れることになると思っていたからだった.

折に触れてざわめく水面のような自分の気持ちをなだめるように眺めながら,僕は長い間それを待っていた.


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免許を取得してから今日に至るまでのこの四年間は,奇しくも自分にとってとても重く,代えがたい多層的な四年間だった.いろんなことを経験して,いろんな人と出会い,いろんなクルマに乗って,いろんなことを思った.だから,そういった経験をミルフィーユのように重ね合わせたものが今なのだと思う.そしてその記憶のミルフィーユの表面がつくる曲線が描く軌跡の先に,偶然の必然でポルシェが通りがかって,先日の僕とはちあわせた.そういうことなのだと思う.


そしてもちろん,短い試乗ではわかることは限られていた.それでもなお,そこで得た印象と体験は自分にとって愛しい輝きを持ったものだった.人間の記憶というものはかならずいつか消えてしまうものだ.だから,その思いが色あせる前にこうして記しておきたい.そういった意味では,この記事は純粋に自分のために書いている.いつかの未来の自分が読むための記事だ.十年くらいして,あの時大げさにまじめにそんなことを考えていたなあと思うための記事なのだ.


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一昨年くらいのBRUTUSに載っていたと思うが,その記事によると「暮しの手帳」編集長の松浦弥太郎さんは,あるとき「もう乗れないから」と高齢の知人から911を譲り受けたのだそうだ.それは,マニュアルミッションを搭載した1978年製のポルシェ911SCだという.「ジャケットを着てネクタイを締め身だしなみを整えてから乗り込む」「自分は運転が上手くないから,少しでもポルシェに認めてもらえるようにと思って向き合っている」といったような趣旨の記事だったと思う.






松浦さんはいま五十歳くらい.文面からは,それまでさほどクルマに強いこだわりをもってきた方ではないように思えた.それどころか,彼はこれまでクルマとはあまり関係のない世界で生きてきたのではないかと思う.そこで,彼にしか出来ない仕事とずっと向きあってきた.その結果,節目を前にして911に乗ることになった.それも半ば必然的に.

たまたま出会って偶然にバトンを受け取ったとも言えるかもしれない.けれども記事を読むにつけ,彼はそれにふさわしいように思えたし,それからも彼は引き継いだストーリーの続編を彼独自の文体で丁寧に書き続けているに違いないのだ.


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確かに,松浦さんのように人から託されるということは,並大抵のことではない.まあでも,自分にとって人生の必然として手に入れた911であればそんなことはどちらでもいいのかもしれないとも思う.極論すればそれが新車でも旧車でも構わないのだろうし,人から貰ったモノであっても自分で買ったクルマであっても,本質的な違いはないのかもしれない.

ともかく,いつかそうやってなにかの必然で誰かの物語を受け継いでゆける存在になりたい.人生の色々な物事がそれなりにうまくいって,その時たとえば自分がポルシェオーナーになっていたのだとしたら,まず最初にこの記事を読み返したい.初めて手に入れた911で走り出す前にこの日記を読みかえしてから,それを確かめるように走り出したいと思う.




それが僕の夢なのだし,この記事はそのための布石なのだ.
Posted at 2014/06/10 01:33:12 | コメント(6) | トラックバック(0) | 雑感 | 日記
2014年06月10日 イイね!

初めてのPORSCHE

先日,縁があってポルシェのディーラーを訪れた.僕が新しいボクスターのことを少し口に出したところ「それならば」ということで,とあるみん友さんが伝を辿ってディーラーでの試乗をアレンジしてくれたのだ.



ちなみにタイトルは「もう買いましたよ」みたいな雰囲気にちょっとなっていますが,まったく買っていませんのであしからず.


ともかく,自分としては初めてディーラーに足を踏み入れた記念すべき日となった.現行のボクスターSとケイマンを試乗させてもらったのだが,もちろんどちらも初めて運転するモデルだ.



それではいってきまーす(←真似)



短い試乗でも,それぞれの持つクルマの雰囲気のようなものは比較的しっかりと感じられた.やはり元が濃いクルマだからなのか,十五分ほど乗っただけでもその野性味のような気配はベールに包まれることなく乗り手に伝わってきた.



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今までは遠吠えを耳にするたびに「あ狼だ」と思っていた程度だった.ある日,山のふもとを散歩していたら,ばったりと狼に遭遇した.挙句にふと目線が合った.少し怖いイメージがあったけれど,実際に出くわした彼は意外にもフレンドリーだった.そして,そのまっすぐな目で僕を誘う.




「ちょっと一緒に遊ぼう」
「ついてこれる?」


初めて見ると,半ばむき出しの野性の目つきにすこし恐ろしくもなるが,同時にそこに垣間見える知性の輝きのようなものは僕に安心感も与える.



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高性能なスポーツセダンなどはしばしば「羊の皮をかぶった」と表現されることが多い.一方で今回乗ってみたポルシェは「なにも被っていない狼そのもの」にいまだかなり近いのではないだろうか.本質的には危険な存在だけれども,トリックや偽装は無い.彼が何者であるのかは目に見えて明らかであり,とてもシンプルだ.扱い損じると簡単に大怪我をするけれど,逆に普段はクルマが何を考えているのか分かりやすいのかもしれない.その明快さは,なにかほっとするような安心のようなものすら与えてくれるほどだ.

「怖いけれど安心」

これはそんなクルマなんじゃないだろうか.





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ちなみに実は,ALPINA B3 BITURBOに試乗したときとは正反対といっても良い印象を持ちました.B3の生い立ちは,ポルシェとは違ってたぶんとても複雑だと思います.複雑に産まれたものを,慎重なエラボレーションで丁寧にひとつのシンプルな形に仕上げてあるクルマ.そして僕にとっては,「安心だけれど得体が知れなくて怖い」.似ているようで真逆のクルマなのかもしれない.その話は長くなるのでたぶん後ほど.



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街中でそのエンジン音を聞くたびに「あポルシェ」と思っていた程度の遠い存在から,こうして実際に運転したことで少しだけ身近な存在に変わった.


そのせいか,さっそくコンフィギュレーターで色々と設定を変えてはあーでもないこーでもないとやったりしている.




夢のボクスター.





まだ現実に近いボクスター.考えられないほど広いトランクのおかげで,二人でキャンプに行くのは楽勝もいいところだと思う.でもこれは二人乗りだから,四人家族の今はこのクルマの実現はかなり難しい.


つづく
Posted at 2014/06/10 01:32:09 | コメント(5) | トラックバック(0) | 試乗 | 日記
2014年06月07日 イイね!

AUDI CAMP EVENT 2014

アウディのキャンプイベントが山梨で開催されるようです.




とりあえず申し込んでみました.キャンプとしてはちょっと高いですが食事つきなので,当選すれば楽チンセレブキャンプ(笑)を楽しんでこようと思います.ご興味のある方は明日6/8が締め切りなのでお急ぎください.みん友さんなどでいらっしゃる方は,直前とかでもいいので良ければメッセージをくださいね.



以下引用です.

http://www.audi-sales.co.jp/jp/brand/ja_audi_japan_sales/Special_Offer/Campaign/audi_camp_event_2014.html

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Audi Camp Event 2014 7/26 Sat. - 7/27 Sun.

子供から大人まで楽しめるイベントでご家族と、ご友人と、アクティブに過ごす休日。

テント設営からノウハウまでアウトドアの基本を学びながら、キャンプの王道BBQや花火大会他、バームクーヘン作りなど楽しいイベントが盛りだくさん!キャンプ道具のレンタルもご用意していますので「キャンプは初めて」という方もご安心ください。自然の中で味わう地元ならではの食材や、作りたての新鮮食材をお楽しみいただけます。ご家族やご友人とふるってご応募ください。

実施概要

日時:2014年7月26日(土)〜7月27日(日)

集合時間:7月26日(土)11:00

解散時間:7月27日(日)11:00

場所:早川町オートキャンプ場
〒409-2713 山梨県南巨摩郡早川町保1751
TEL.0556-20-5055

食事:7月26日昼食、夕食、7月27日朝食付き

参加費:17,000円(税込)

キャンプ道具:持ち込み又はレンタル(有料)

レンタル品:8,000円(税込)
テント、BBQコンロ、グランドシート、寝袋(人数分)、イス、テーブル、アイスボックス

応募締切:2014年6月8日(日)

発表:6月中旬
※抽選で60組が参加いただけます。当選発表は事務局から当選者の方へのみ、ご連絡させていただきます。

キャンセルについて:実施日10日前までのキャンセルにつきましてはご返金いたします。但し、支払方法によって振込手数料を差し引かせていただきます。


イベント内容

・テント設営講習:テント設営からノウハウまでプロが指南します。
(歴史・自然ガイド・キャンプインストラクター 室野孝義)

・アウトドア写真教室:大切な思い出を美しい写真で残しませんか?撮影のコツ、教えます。
(リコーイメージング株式会社)

・バームクーヘン作り:バームクーヘンの作り方ってご存知ですか?くるくるまわして生地を焼いて、楽しみながら作りましょう。

・アウトドアクッキング教室:アウトドアでの簡単でおいしい料理をご紹介します。
(野外料理・焚き火評論家 ボビー・坂田)

・アウディー生き物探検隊(夏):キャンプ場に集まる大きな虫から小さな虫まで探してみましょう。
(日本野生生物研究所 奥山英治)

・こども花火:都会ではできない花火体験。思う存分お楽しみください。

・オフロード試乗体験:Q3、Q5等で未知のオフロードを体験、ゆっくり進んで安全に悪路を走破します。

※プログラムは一部変更になる場合があります。
Posted at 2014/06/07 16:54:55 | コメント(3) | トラックバック(0) | キャンプ | 日記
2014年06月04日 イイね!

Audi A4 avant 2.0T

車検の代車でA4のワゴンがやってきた.妻を助手席に乗せて走っていたところ,しばらくして彼女はボソッとひとこと呟いた.

「タワーマンションのようなクルマね」

たしかにそのとおりだと思った.ほかのどんな車もそうであるように,このクルマにはこのクルマにしかない良さと欠点がある.その長所と短所を簡潔に言い表すとそうなるかもしれない.そして,ほかに付け足すこともとくには無いような気すらした.




大手デベロッパーが建てた新築のプレミアムタワーマンション.時代の最先端の雰囲気を身にまとい,トレンドのスペックを押さえてある.さらに一般の戸建などでは実現できないようなゴージャスなエントランスなど,ファサードの良さも魅力だろう.結果として,ある程度以上の収入がある世帯の一部にはとても人気がある住宅だ.


まさにそんなクルマ.その後,数百キロは走ったけれど印象は特に変わっていない.


アウディは世界で一番美しい実用ワゴンを作るメーカーだと僕は思っている.同じ価格帯で比べれば,内装もピカイチと言いたくなる.エンジンもパワフルで走りも十分だ.けれど…….


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Audi A4 Avant 2.0T (MY2013) 非S-line

主要諸元

全長    4720mm

全幅    1825mm

全高    1440mm

車両重量 1590kg

総排気量 1984cc

エンジン  直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ

最高出力 132kW (180PS) /4,000-6,000rpm

最大トルク 320Nm (32.6kgm) /1,500-3,900rpm

ミッション CVT

駆動方式 FF

タイヤ   ピレリCP7 17インチ


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走り
FFモデルのアウディの走りは,基本的に悪くない.そして,このクルマももちろん同様だ.軽快に良く走る.


ダウンサイジングターボ
軽い4気筒ターボエンジンを収めたフロントボンネットは鼻先が軽く,上質に躾けられたフロントのマルチリンクサスペンションに支えられて,ハンドルを切ればクルマは軽やかに曲がっていく.自然吸気で言えば3Lなみのトルクを1500rpmから発生するため,コーナーの出口ではアクセルを軽く踏むだけで軽やかに加速する.最近のトレンドはしっかり押さえている.


燃費
ダウンサイジング業界をリードするアウディVWグループのターボエンジンだけあって,がんばれば燃費も良い.60km/hで定速走行した場合,メーター読みだと20km/Lを軽く越えてくる.クルーズコントロールが付いていれば,さらに上を目指せるかもしれない(それが楽しいかどうかは別として).

ただし都内で普通に走るととたんに燃費は8km/Lくらいに落ちてしまう.このエンジンは,踏むとそれだけパワーが出るが,それ以上に燃費の悪化が激しい.踏まなくていい状況では,同程度のスペックを持つ自然吸気エンジンは相手にならないレベルの燃費をたたき出すが,踏まないといけない状況では,同等かそれ以下になってしまう.もちろん「踏まなくてはいけない状況」なんて,基本的には存在しないのだが.

時代の趨勢ではあるが,良し悪しである.



ガソリンダウンサイジングターボの中途半端さ
そもそもハイオク指定である時点で,「燃費が」などとぼやいてもしょうがないのかもしれない.いくらダウンサイジングターボで低回転からトルクがあるといってもしょせんはガソリンであって,ディーゼルターボにはトルクでも燃費でもまったくかなわないわけなのだ.

ならばとフィーリングについて言及すれば,確かにディーゼルエンジンよりはフィーリングが良いかもしれないけれども,けっきょく多気筒の自然吸気エンジンには敵わない.軽いという利点があるのも確かだが,ひどい言い方をすればそれ以外の点に関してはガソリンのダウンサイジングターボは中途半端な面がある.


そんなことを考えると,ダウンサイジングターボってなんなの?ということになってしまう.意味あるの?と.


4気筒ダウンサイジングターボの成功例
そうは言ってももちろん意味はある.あります.

例えばアウディでいうとA1やA3など,Cセグメント以下の比較的軽量で小型のモデルには合っている.実際にA3スポーツバック1.4T(いまや先代モデルになってしまった)に乗ってみると,クルマにマッチしていて好印象だった.エンジンだけでなくボディも軽いので中低速の加減速を繰り返しても燃費の悪化は少なかった.DSGの2ペダルMTとの相性もよく,キビキビとよく走った.

ディーゼルにも自然吸気にも負けるダウンサイジングターボは中途半端とも言えるが,もちろん言葉をうら返せば「ディーゼルよりもフィーリングが良く,自然吸気より燃費とトルクがよい」という魔法のようなエンジンとして祀り上げることも可能なのである.実際に,市場ではそういったコピーをつけて売られている.それは嘘ではないし,Cセグメント以下でのケースなど,場合により完全に自然吸気を淘汰するポテンシャルがあるのも確かだ.


Dセグメントにふさわしいドライブトレイン
ただしDセグメントの場合,ちょっと微妙なラインだと思う.Dセグメントに求められる質実剛健さと上質さのバランスという意味で,簡単には4気筒ターボを歓迎できないところがある.クアトロモデルでは,同じ2.0Tでもさらに高性能にチューンされているし,そもそも四輪駆動なので十分にキャラが立っている.だから(?)まあ4気筒ターボで大丈夫だと思う.

けれどもFFモデルだと,他に走りの質に関しては極論すれば取り柄も無いので,エンジンフィーリングに上質さが欲しくなってくるところなのだ.けれども,非力バージョンの2.0Tだとそこが厳しい.非力バージョンでも4気筒としてはとてもよいエンジンだけれど,やはり4気筒ではある.

メルセデスのC200も4気筒が問題になる.クルマは全体的に非常に良く出来ているけれど,その完成度と比べるとエンジンのフィーリングが雑で逆に目立ってしまう.BMWの320iは,A4 2.0T(FF)やC200と比べると,やはりエンジンのフィーリングが生き生きとしている.のだけれども,同社の以前の自然吸気直列6気筒(E46 320i)や直列4気筒(E90 320i)と比べると,優等生的な薄味になったとも言いたくなる.

こう考えると,各社ともよりによってDセグメントの一番売れ筋モデルで,ダウンサイジングターボに手を焼いているように思える.アウディはAWDで,メルセデスは中庸さで,BMWは走りの強度で,それぞれ付加価値をつけて市場に打って出ているのが現状ではないだろうか.


自然吸気多気筒エンジンはどこへゆくのか
アウディの6気筒や8気筒は,非常に上質なエンジンが多い.BMWのような骨太さやドラマティックなダイナミズムにはやや欠けるかもしれないが,滑らかに回るエンジンが多いように思う.S5のV8も素敵だったし,現行A6のV6も小気味良いし,現行RS4のエンジンは間違いなく史上最高のV8エンジンのひとつだ.

そしてアウディの多気筒エンジンは,音が綺麗なものが多い.BMWの自然吸気エンジンにはアイラ島のウイスキーのようなクセとパンチがあるのだとすれば,アウディの自然吸気エンジンはどことなく日本酒のような上品さがある.メルセデスの自然吸気エンジンについてはまともに長距離を乗ったことが無いので,黙っておく.

以前はA4にも3.2LのV型6気筒が載っていたけれども,今はすべてチューニング違いの4気筒ターボに入れ替わった.現在のアウディのラインナップでは,自然吸気のマルチシリンダーエンジンはA6にある2.8LのV6モデルを残すのみとなってしまった.これも,過不足ない性能と滑らかなフィーリングを誇るよいエンジンだ.BMWは3シリーズどころか5シリーズでも自然吸気の6気筒をやめてしまったけれど,最後の6気筒モデルの523iに搭載されている6気筒はやはり素敵だった.

ともかく,Dセグメントでまともな多気筒エンジンを載せているのはメルセデスのC350(もうすぐラインナップから消える)とか,LEXUSのIS250/350くらいしか思いつかない.



ハンドリングとブレーキ
全体的に軽快に走るのだが,電子制御が利きすぎているハンドリングや初期制動が強すぎるブレーキなど,ところどころに違和感がある.けれども,それがそのまま他の車と比べるときに大きなディスアドバンテージになるというわけでもない.メルセデスのCクラスにしても,BMWの3シリーズにしても,そういった同世代のライバルたちも多かれ少なかれ同じ欠点を持っているからだ.そして,どれも乗ればそのうちにそれなりに慣れてしまう.



クアトロじゃないアウディ
さて,世の中には「クアトロじゃないアウディなんて」と揶揄する人も居るようだが,僕はそうは思わない.クアトロシステムには,利点も欠点もあるのだ.

クアトロの利点は,悪天候時の走行安定性を挙げれば十分だろう.欠点はと言えば,重さや燃費のわずかな悪化もあるが,意外と指摘されていないのが走行ノイズだ.クアトロモデルは最新世代のものでも,そこそこうるさい.例えばA6 2.8 quattroでそれなりの走行した場合,安定性としては申し分ないのだが車体下面からのメカニカルノイズが結構気になる.ノイズだけでいえば,二世代古くてしかも幌車のA4カブリオレ(FF)よりもうるさいくらいだ.もちろん風切音はA6の方が静かだけれど.


静かなクルマ
一方で,現行A4 2.0T(FF)は驚くほど静かだった.もしかしたらF世代の5シリーズより静かかもしれない.風切音も少なく,走行ノイズも少なく,ボディの遮音性もかなり高い.速度をそれなりにまで上げても走行のフィーリングが変わらないばかりか,風切音やロードノイズなどの走行時の騒音がほとんど増えない.もちろんエンジンも静かだ.100km/hで1600rpmも回らないくらいだ.そして2500rpmくらいまで回ってもやはり静かだ.このクルマはDセグメントとしては,とにかく静かだと思う.


そういえばA6にもFFモデルが復活したけど……
最近A6にFFモデルの2.0T(FFのA4と同じエンジン)がランナップに追加された.いまさらなんでそんなものを?と思ったが,このFFのA4に乗ってみてハっとした.A6 2.0Tは非力バージョンの2Lターボエンジン+CVT+FFなので,代車のA4 2.0T Avantとまったく同じドライブトレインが乗っていることになる.そこに最新のEセグメントのシャーシの安定感と,ボディの遮音性が追加される.とすると,さらに静かで快適になるはずだ.移動手段としてはかなり極楽なんじゃないだろうか.まあ自分は欲しくないけれど,ちょっと乗って確かめてみたい気はする.



エクステリア


十分カッコいい.


インテリア


コストダウンは簡単に指摘できるが,それでも十分以上にモダンで上質であることを褒めるべきだ.




A6以上でしか選べなかったファイングレインアッシュのデコラティブパネルがA4でも選べるようになったのは地味に嬉しい.つや消しのウッドトリムがおしゃれだ.


オーディオ
標準としてはそんなに悪くない.ただし自分ならB&Oを付けたい.



結論
Dセグメントのワゴンというのは,プラグマティックに考えれば我が家にとってベストチョイスのはずだ.なので代車としてこの車がやってきたときは「きっとこれで良いはずだ」という気持ちで,確かめるように乗ってみた.けれど,どこかしっくりこない.なぜだろうと思って結構真剣に考えてみた結果がこの記事だ.


この車の良いところはいくつもある.トレンドに即した作り.美しい見た目.高速走行時での高い静粛性.定速走行時の燃費.嫌われる要素の少ない,良い車なことは間違いない.やはり,出来の良いプレミアムタワーマンションのようなクルマだ.


さて,自分はタワーマンションを買わないのだとしたら,どうしたものだろうか.
Posted at 2014/06/04 22:50:47 | コメント(4) | トラックバック(0) | 試乗 | 日記

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「@sky315 めっちゃかっこいいじゃないですか笑 色もナイス!」
何シテル?   12/11 14:14
ようやく免許も青色になりました. A4カブリオレは20年乗ってヴィンテージ化を目指します.
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