三年間～涙～

先日、長男の三年間の中学野球が幕を閉じた。

地区の決勝で勝てば県大会だった。

この三年生達は進級時に監督、顧問がともに転勤になってしまうというアクシデントに見舞われながらもなんとか決勝までたどり着いた。

うちの長男は十番目の男で試合には出たりでなかったりで、時に腐りそうになりながらも、休むことなく部活動を頑張っていた。

負けたら引退のトーナメントで彼の出番は準決勝に来た。

その日はスタメン、フル出場。試合を決めるタイムリーを打った。

決勝戦。彼はベンチスタートだった。

緊迫の投手戦。彼は途中から自分のポジションにつき精一杯の声を出し、逆転を信じて戦った。

結果は残念ながら２対１で惜敗。

子供達は涙にくれた。

しかし、人一倍涙脆い長男は泣くことはなかった。

「なんで俺は泣けなかったんだろう？」

と訪ねる息子に私はこう言った。

「きっとお前は準決勝で自分の三年間を全てぶつけられたんじゃないのかな？やりきったんだよ。」

「そうなのかなあ？」

「きっとそうだよ。」

きっとこの三年間はこれからの彼にとってとっても大事な時間だったということをいつか気が付くことだろう。

レギュラーでなくても一つのことをやり遂げた息子をとても誇りに思えた日であった。