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2014年04月29日

LSDロック率の計算 まとめと応用

計算が嫌いな方も多々いるかと思いますが、僕も好きでやっているわけではありません。
計算しないとちゃんと理解できているかどうか確認できないから計算しているだけです。

昨日のダラーラ設定との比較も計算したからこそできたのであって、計算なしでは比較ができません。
実測したとしても計算結果と比較がなければ、測定結果そのものが合っているのか間違っているのかもわかりません。

ということで、LSDのロック率に関する計算式のまとめです。

まずは記号の説明

C:ロック率

T:リングギアトルク

Tl:左側タイヤトルク
Tr:右側タイヤトルク

Tlf:左側差動制限トルク
Tfr:右側差動制限トルク

計算式

1、左右タイヤトルクと全(リングギア)トルク
 T = Tl + Tr              ・・・①

2、ロック率と差動制限トルク 
 C=(Tlf+Tlf)/T         ・・・②

3、ロック率と左右トルク差
 Tl-Tr=C・T            ・・・③

ここで、実際の計算をしてみます。
LSDの差動状態を示す絵などで、左右のトルク差がある状態がかかれていることがあります。
例えば、左側はアスファルトで右側は氷の上に乗った状態とか。

具体的な方がわかりやすいので、Tl = 50(Nm)、Tr = 5(Nm)として、このときの差動制限力を計算してみましょう。(右側は5(Nm)を超えるとスリップする)

まず、リングギアトルクは①より
 T=50+5=55(Nm)

ロック率を50%として②より差動制限トルクを求めると
 Tfl+Tfr=55×0.5=27.5(Nm)

一方、左右のトルク差は
 Tl-Tr=50-5=45(Nm)

この場合、左右トルク差よりも差動制限トルクの方が小さいので、差動制限できません。
差動制限できないということは、実際はトルクをかけることができないので、左側のトルクは50Nmまで上がらないということを意味しています。

ここで、この路面でかけられる最大のトルクを計算してみます。
まずわかっているのは、右側タイヤの最大トルク5(Nm)とロック率50%だけです。
そこで、①をTlの式にして、③式に代入します。

Tl=T-Tr
T-Tr-Tr=C・T

T=2Tr/(1-C)
 =2×5/(1-0.5)
 =20(Nm)

つまり、このような状態では、リングギアトルクは20(Nm)までしかかけることができないということです。
一応確認してみましょう
 差動制限トルク左右合計:Tfl+Tfr=20×0.5=10(Nm)
 左タイヤトルク:Tl=T-Tr=20-5=15(Nm)
 左右タイヤトルク差:Tl-Tr=15-5=10(Nm) 
 Tfl+Tfr=Tl-Tr=10(Nm)となり差動制限できている。

こんな計算式いつどこで使うのか?と思いますが、こんな感じに使います。
例えば、コーナリング中に左右輪間に荷重移動が発生し、右側の接地荷重が下がったとします。
もともとは50:50だったものが、80:20まで変化したとしましょう。

仮に路面とタイヤ間の摩擦係数が1だったとします。
通常時の1輪荷重を3000(N)として、タイヤ直径を635(mm)とすれば、この右側のタイヤにかけることができる最大駆動トルクTrは
Tr=3000×1×0.635/2=952.5(Nm)

コーナリング中はこれが2/5まで減少するので
Tr=952.5×2/5=381(Nm)

ロック率50%のとき、リングギアにかけることができる最大トルクは
T=2Tr/(1-C)
 =2×381/(1-0.5)
 =1524(Nm)

例えばS2000が2速で加速するときを想定すると、
2速ギア比;2.045
ファイナル:4.756
エンジントルク:200(Nm)

リングギアトルク=200×2.045×4.756=1945(Nm)

となり、エンジンが発生するトルクよりも、タイヤから路面に伝達できるトルクの方が小さいため、ロック率50%のLSDではタイヤがスリップすることがわかります。

ちなみに僕が使っているクスコMZは片側プレート摩擦面数が10箇所で、カム角が35degなので
プレート摩擦係数を0.1とすればロック率は

C=0.1×10/tan35°=1.43

つまりロック率143%なので
十分どころか、過剰な設定なようです。

計算が間違っている可能性もありますが、ダラーラの設定が摩擦面6箇所、カム角30degで68.5%というところからすると、僕のLSDのロック率が100%オーバーなのは間違いなさそうです。

ということは、カム角をもっと大きいのに交換してロック率を下げても全然問題ない気がしてきました。
クスコからは35degのほかに45degとか55degのものが売られているので、そのうちこれを試してみたいと思います。
ブログ一覧 | LSD | 日記
Posted at 2014/04/29 11:55:05

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この記事へのコメント

2014年4月29日 21:04
一応CUSCOのLSD(1WAY)の車に乗ってる者です(^_^;

油温や油圧でもロック率はかわるんでしょうか?

冬場朝一ハンドル切ってスタートすると「ガガガガッ」って効いて前に進まないんです。
スロットルで人力トラコンやっても微妙です。

あと、例えば「ガガガガッ」ってなる間隔を短くする事って出来ますか?もっと細かく効けば振動を抑えられると思うんです。
コメントへの返答
2014年4月29日 21:23
むむっ、めずらしく真面目なコメント。

冬の朝一番ってのは、夜の間にプレートが密着していて(これは夏も同じ)、さらにオイル粘度が高い(これは冬特有)のでプレート間に入りずらいのです。
入らないので、プレート同士が直接擦れやすくてゴリゴリ効くわけです。
しかし、そのうちオイルが中に入って効きが弱まります。(という説が有力です)

ガガガガッってなるのは、滑りと固着を繰り返すスティックスリップ現象です。

なので、プレート表面材質を変えるか、ランプ角を変えるか、プレート枚数を変えて、そもそもの効きを落とすしかないと思います。

運転方法ではどうにもならないので、ガマンして乗りましょう!
2014年4月29日 22:41
計算は大事だよ、っていうのと、実際にこんなふうに使えるよ、っていうのが分かりやすくていいですね^^

飲み会でときどき空回りするのですが、ロック率を上げれば空回りは抑えられるでしょうか?
コメントへの返答
2014年4月30日 15:36
飲み会でのロック率がいまいちわかりませんが、
飲みすぎの場合は、ロック率(氷の割合)は高めがいいと思います。
2014年5月2日 4:13

はじめまして,大学でレーシングカー製作をしているものです.

年度初めごろから後輩への引き継ぎ資料作成のために駆動の勉強をしてまして,
AutoSportsの記事等々を読んで勉強していたのですが,(私的に)超タイムリーな記事に出会い非常にありがたく読ませて頂いてます.


今回の記事を読んでいて気になったのですが,ロック率は100%を超えることはありうるんでしょうか.
ロック率100%で
外輪駆動力=内輪駆動力で,
それ以上だと
外輪駆動力>内輪駆動力になると思うのですが,どうなんでしょう?
コメントへの返答
2014年5月2日 9:56
はじめまして!
コメントありがとうございます。

質問の件ですが、実用上はあり得ないのですが、右と左を逆方向にトルクをかけた場合(スピンしたときとか)は、Tl-Tr>Tという状態になるので、100%以上もあり得ます。

が、通常走行中にこういう状態になることはないので、100%以上のロック率に意味はないと思います。

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サーキットで車を速く走らせるために必要なこととはなにか?を研究するのが趣味です。 日光、TC1000、茂原、を毎年走行してます。 2010年まではもてぎで開...
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