こんにちは~
前回は“Typ 356”から“911”登場までのポルシェロードカーの歴史を振り返った“欧州自動車博物館巡りの旅 2014⇒2015 ポルシェミュージアムII”ですが、今回はいよいよ“911”登場以降のモデルについて、レポートしていきたいと思います♪♪(今回は“911”以降、様々なヴァリエーション展開により魅力的なモデルをラインナップに追加してきた60~80年代のロードカーについてレポートしていますが、相変わらず長編となってしまいましたので(笑)、お時間のある時にどうぞ~( ^_^)/)
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1967年 ポルシェ 912 クーペ(Porsche 912 Coupe)
1965年、ポルシェは“911”の低出力仕様モデル“912”をマーケットに投入しました。“912”は水平対向6気筒エンジンの代わりに、“356”用の1.6リッター,90馬力の水平対向4気筒エンジンをリアエンドに搭載していました。
内装についても“911”より控えめな装備となり、インスツルメントパネルには“911”の5つのメータの代わりに、ベーシックな3つのメータが備えられていました。
この“912”は“クーペ(Coupe)”と“タルガ(Targa)”のボデースタイルで、1969年の夏まで生産されました。
パワーユニットは前述のとおり、1,600cc,90馬力の空冷水平対向4気筒OHVエンジンを搭載して、最高速度185km/hを実現しました。
ポルシェミュージアムの車両解説を見ても、“911”の廉価版としてナインナップされたことが書かれていて、“911”よりもグレードダウンしているような印象の“912”ですが、“911”に比べてリアエンドのパワーユニット重量が軽く、搭載位置も前方に積まれることからグッドバランスとも言われています♪
1969年 ポルシェ 914/8(Porsche 914/8)
1960年代後半、長きに渡るポルシェ(Porsche)とフォルクスワーゲン(Volkswagen)の関係は、スポーティで手頃なモデル“VW‐ポルシェ 914(VW-Porsche 914)”の開発に繋がりました。
この使い勝手の良いミッドエンジン車には、VWのための4気筒モデルのみならず、6気筒エンジンを搭載したモデルもポルシェのために生産されました。
また、レース用の8気筒エンジンを搭載したモデルも2台造られ、そのうちの1台は、フェリー・ポルシェ(Ferry Porsche)の60回目の誕生日にプレゼントとして送られました。
この展示車両はその2台のうちの1台で、パワーユニットはレース用に開発された2,997cc,300馬力の空冷水平対向8気筒DOHCエンジンを搭載して、最高速度は250km/hに達したそうです。
もはやポルシェミュージアム名物となった感のある“914/8”ですが、幅の広げられたリトラクタブルヘッドライトで通常の4気筒,6気筒モデルと識別することが出来ます。このロードゴーイングな出で立ちの“914”にレース用フラット8の組み合わせは、是非とも公道で乗ってみたい魅力的なクルマですね♪
1967年 ポルシェ 911 2.0 タルガ(Porsche 911 2.0 Targa)
“世界初の安全なカブリオレ”、これはポルシェが1965年に初めて“911 タルガ(911 Targa)”を発表した際に示したモットーでした。
この新しいモデルのネーミングを考える際に、ポルシェはステンレス製ロールバーの乗員保護機能にヒントを得ました。この“タルガ(Targa)”というネーミングは、シチリア島で行われる伝説的なレース“タルガ・フローリオ(Targa Florio)”でのポルシェの成功を連想させるとともに、“targa”はイタリア語で“盾”という意味でもありました。このような保護シールド付きのカブリオレは、このクルマ以前には存在していませんでした。
この展示車両のパワーユニットは、1,991cc,130馬力の空冷水平対向6気筒SOHCエンジンを搭載して、最高速度200km/hを実現しました。
ポルシェミュージアムの“targa(タルガ)”と言えば、以前はブルーメタリックの1970年式の個体が有名ですが、今回はショートホイールベース(SWB)の'67年式が展示されていました。
タルガボデーとショートホイールベースの組み合わせにより、ショートホイールベース独特の後方に張り出したボデーが、より一層際立って見えます♪
1973年 ポルシェ 911 カレラ RS 2.7 クーペ(Porsche 911 Carrera RS 2.7 クーペ)
このクルマは当時ドイツ最速の市販車で、一般的には“ダックテイル(ducktail)”として知られる特徴的なリアスポイラーを備えていました。
ポルシェは、このような空力デバイスを市販車に使うことを広めた仕掛け人(トレンドセッター)でもあります。
最小限に抑えられたインテリアを持つこのクーペは、“軽量な部品へ置き換えることによる重量軽減(軽量化)=高出力化”という方程式を完全に具現化しました。
また“RS 2.7”は、古典的なロードレース“カレラパナメリカーナ”に由来する“カレラ(Carrera)”の名称が与えられた最初の“911”でもあります。
パワーユニットは2,687cc,210馬力の空冷水平対向6気筒SOHCエンジンを搭載して、最高速度240km/hを実現しました。
言わずと知れた“911”マニア羨望の“73カレラ”ですね^^;
この車両解説を読んで意外に思ったのが、それまでの市販車にはスポイラーのような空力デバイスが採用されていなかったということですね。
1974年 ポルシェ 911 ターボ Nr.1(Porsche 911 Turbo Nr.1)
“911 ターボ(911 Turbo)”は、ターボチャージャーを用いて出力を高めたポルシェ初の市販車で、当時としては途方もない260馬力を発揮し、すぐさまポルシェのフラッグシップモデルとなりました。
この技術は、トライ&テストを重ねたレーシングテクノロジーに由来します。
1974年9月、フェリー・ポルシェの姉 ルイーゼ・ピエヒ(Louise Piech)は、一番最初の“911 ターボ”を70回目の誕生日にプレゼントされました。
このユニークな“911 ターボ”は、幅の狭いボデーとチェック柄のインテリアという特徴を持っていました。
パワーユニットは2,687cc,240馬力の空冷水平対向6気筒SOHCターボチャージドエンジンを搭載して、最高速度は250km/hに達しました。
1976年 ポルシェ 924(Porsche 924)
1970年代のエネルギー危機(オイルショック)を受けて、フォルクスワーゲンは新しいスポーツカー開発の共同プロジェクト“EA 425”を立ち上げました。それを受けて、ポルシェは“924”を設計し、自身のエントリーモデルとしてラインナップさせることを決定しました。
“924”のスタイリングで最も特徴的なのは、その大きなグラスウインドウのハッチバックスタイルといえます。
フロントに搭載される水冷式エンジンとトランスアクスルを持った“924”は、1976年にドイツ国内のネッカーズルム(Neckarsulm)にあるアウディの工場で生産が開始されました。
パワーユニットは1,984cc,125馬力の水冷直列4気筒SOHCエンジンを搭載して、最高速度200km/hを実現しました。
近年、価格高騰の著しい空冷ポルシェの陰に隠れがちなFRポルシェですが、トラディショナルな“911”に対し、先進的な設計でトランスアクスルを採用して重量配分を最適化するなど、世界中のFRスポーツカーのベンチマークとされる傑作車となりましたね♪
1977年 ポルシェ 911 S 2.7 クーペ(Porsche 911 S 2.7 Coupe)
この“911 S”は、ポルシェ 911“G-モデル(G-model)”の1台です。“オリジナル 911”と“G-モデル”の特徴的な違いは、この新しい世代に装着されている大きなバンパーにあります。このバンパーは前世代の物よりも大きく、蛇腹を備えていました。
また、ポルシェは1976年から“911”のボデー構造部材に亜鉛メッキ鋼板を使用することで、ボデーの錆に関して6年間保証するサービスの提供を開始しました。
この“G-モデル”から、すべての911のエンジンは2.7リッターに置き換えられました。
パワーユニットは2,687cc,165馬力の空冷水平対向6気筒SOHCエンジンを搭載して、最高時速220km/hに達しました。
通称“ビッグバンパー”や“930(本来930はターボモデルのコードNo.)”などと呼ばれるこの世代の“911”ですが、ポルシェとしては“G-モデル”という呼称を使っているようです。
昨年(2013年)はサーフボードが乗っていたこの“911 S”ですが、今年はクリスマス用?のツリーが載っていました^^;
このキャリア↑も当時物のようで“LUPA”というロゴが書かれたモノでした。
1981年 ポルシェ 928(Porsche 928)
当初、“928”は“911”の後継車として企画されました。しかし、その計画は早い段階で修正され、別々のモデルとして歩み始めました。
マーケットに投入されたちょうど1年後の1978年、“928”はスポーツカーとして初めて、“カー・オブ・ザ・イヤー(European Car of the Year)”を受賞したクルマとなりました。
“928”の設計は、トランスアクスルギヤボックスや軽合金製水冷式V型8気筒エンジン,アルミニウム製サスペンションアームなど、“911”とは根本的に異なるものでした。
パワーユニットは4,420cc,240馬力の水冷V型8気筒SOHCエンジンを搭載して、最高速度230km/hを実現しました。
1981年 ポルシェ 924 カレラ GTS(Porsche 924 Carrera GTS)
ツッフェンハウゼンで造られた最初の“924”は、単にレース用車両としての小規模な開発プロジェクトの一環でした。
ヴァルター・ロール(Walter Röhrl)は、このスポーツカーのドライビングを気に入り、特にラリーで成功を収めたようです。
この“924 カレラ GTS”は、いくつかの点検をパスできれば公道で使用できる認可が得られます。しかし、快適性は期待しないで下さい。このクルマに備えられたレーシングシートは“935”から、そしてホイールとブレーキシステムは“911 ターボ”用が奢られています。
パワーユニットは1,984cc,245馬力の水冷直列4気筒SOHCターボチャージドエンジンを搭載して、最高速度250km/hに達しました。
様々なヴァリエーションのモデルが造られたポルシェですが、個人的にはこの“924 カレラ GTS”のようにレース車両とロードカーの明確な線引きがないのが、この時代のポルシェの魅力なように感じます。
自分の“ベック 550 スパイダー”も、“914/4”用のリヤブレーキディスクローターやナローのレース用Φ23mmマスターシリンダーなどに換装していますが、自分のクルマでも部品さえ交換すればその仕様を造ることが出来る、高年式の部品を組み合わせることで当時はなかった独自のクルマを作ることが出来る、こういった状況は自分でクルマをカスタムするユーザーにとっては、この上なく魅力的な素材だと思います♪
“911”以降、様々なヴァリエーション展開をしてきたポルシェロードカーの歴史をレポートした“欧州自動車博物館巡りの旅 2014⇒2015 ポルシェミュージアムⅡ part 3”ですが、ボクが感じているこの時代のポルシェの魅力を語ったところで(笑)、一端区切りにしたいと思います。
今回も長文になりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございますm(_ _)m
次回は、80年代後半から始まるポルシェロードカー技術革新の歴史をレポートしたいと思います♪