こんにちは!
久しぶりの更新になりますが、先々週末ついに3年ぶりに日本に帰ってきた"WEC(World Endurance Championship)"日本ラウンド"6 hours of Fuji(富士6時間耐久レース)"を観に行ってきたので、その模様を2回に分けてレポートします!
※毎度のごとくレース観戦記は超大作となりますので、お時間のある時にご覧ください^^;
2022年9月9日(金)深夜
東北道を南下し、一路富士スピードウェイを目指します。
栃木県に入った辺りで夜が明けてきました。
2022年9月10日(土)
無事、富士スピードウェイに到着!
西ゲート近くにはハイアットが開発を進める"富士スピードウェイホテル"が、新しくそびえたっていました。
Rossoをダンロップ横の駐車場に停めると、すでに到着していた大学時代の後輩kimu_ninety氏との再会を喜び、グランドスタンド裏にパドックパスの引き換えにやってきました~
まずはグランドスタンド裏の出展ブースを見てみましょう!
ディアーナ オートモティブ(Diana Automotive)
WECのトップカテゴリー"LMH(ハイパーカー)"クラスにはアルピーヌが参戦していることからか、市販モデル"アルピーヌ A110 リネージ GT 2021(ALPINE A110 LINEAGE GT 2021)"と"ルノー8(Renault 8)"が展示されていました。
トヨタ ガズーレーシング(Toyota Gazoo Racing)
お膝元トヨタのブースは今回も大盤振る舞いで歴代ルマンカー3台の展示です。
トヨタ GR010 ハイブリッド(Toyota GR010 HYBRID)
トヨタ TS050 ハイブリッド(Toyota TS050 HYBRID)
トヨタ TS010(Toyota TS010)
また今回は"TS050 ハイブリッド"に採用されていた主要部品の展示もありました。
前後MGUやエンジンブロックなど、なかなか見ることのできない部品を間近で見られて面白い展示です。特にフロントMGUは単独で前輪の駆動と回生を行うユニットなので、MGUと共にデファレンシャルギヤらしき部品が収まるケーシングの造形があるなど、興味深いです。
プジョー(Peugeot)
ついにWECにトヨタ以外のワークスチームが帰ってきました!
車両の展示はハイパーカー"9X8"カラーの"508"が展示されていました。
グランドスタンドに陣取ってフリープラクティスを観戦しますが・・・
久々のモータースポーツ観戦なので、まずは"錆びついた流し撮りスキル"のリハビリをします・・・汗
#92 ポルシェGTチーム 911 RSR-19(Porsche GT Team 911 RSR-19)
今シーズン限りで見納めのLMGTEクラスの911RSRが走ってきました。
デビュー当初に話題をさらった"ミッドシップ化された911RSR"も、現行型992にはスイッチせず延命が図られました。
#52 AFコルセ フェラーリ488 GTE EVO(AF Corse Ferrari 488 GTE EVO)
こちらも今シーズン限りで見納めLMGTEクラスの"フェラーリ488 GTE EVO"。
フェラーリも市販モデルは"F8トリブート"へとモデルチェンジしていますが、ここ数年は"488 GTE EVO"を延命させることで参戦を続けてきました。
来シーズンのGTクラスは、ステファン・ラテル率いるSROが推し進め、昨今のGTカーシリーズで飛ぶ鳥を落とす勢いの"GT3"規定をベースにした車両で争われます。
#94 プジョー 9X8(Peugeot 9X8)
昨今のWECで最もホットな話題といえば、この"プジョー9X8"のデビューではないでしょうか。参戦カテゴリーはトップカテゴリーの"LMH(ハイパーカー)"クラスの車両ですが、同じLMHの"トヨタGR010"とは全く異なるコンセプトで開発されており、"リヤウイングを持たない"ことが特徴のマシンです!
#8 トヨタ GR010 ハイブリッド(Toyota GR010 HYBRID)
2000年代初頭のアウディR8よろしく、久しく強力なライバルの居なかったWECで孤軍奮闘していたトヨタ。"ハイパーカー(LMH)"レギュレーション第1号といえる"GR010"が日本でレースをするのも今回が初めてです。
ちょうど"プジョー9X8"がピットインしてきました。
この現代にまさか"リヤウイングがない"ルマンカーが出てくるとは思いませんでした!
お昼になりお腹もすいてきたので、今回一緒に観戦する3名(kimu_ninety氏とその同僚H氏)で、"WEC 6 hours of Fuji"名物の"おフランス物産コーナー"でお昼ご飯を調達します^^;
今日はこちら↑のキッチンカーでラクレットをGETしました。家で食べるスライスしたラクレットチーズではなく、その場で熱した半円形のラクレットチーズをトロ~リとかけてくれます♪
グランドスタンドで久々のWECの雰囲気にテンション↑になる3人♪
お腹も満たされたのでピットウォークに参加します。
2年前のS耐シリーズ富士24時間耐久レースの時はパドックにすら入れなかったので、こういったところでも徐々に通常営業になってきているのを実感します。
今回、ボクは特に"推し"のドライバーもいなかったので、H氏が推すドライバーのいる"リアルティーム by WRT(Realteam by WRT)"で出待ちします^^;
その"推し"とは↓
フェルディナント ハプスブルク-ロートリンゲン(Ferdinand Habsburg-Rothringen)
名前からわかる通り、あのオーストリア-ハンガリー帝国の君主"ハプスブルク-ロートリンゲン家"の当主でもあられる王子なのです!
H氏がツーショットを撮りたいとご希望なので、この2年半ろくに使っていなかった錆びついた英語で王子と接見し(笑)、見事H氏そしてボクとのツーショットに応じていただきました!
「写真お願いします!一緒のフレームに収まりたいで~す!」って声を掛けたら、王子自らご起立頂いてこの対応です。気さくな人柄で一気にファンになりました^^;
王子との接見に満足したので、他のピットも散策していきましょう!
#83 AFコルセ オレカ 07 - ギブソン(AF Corse ORECA 07 - Gibson)
長年フェラーリやマセラティのGTカーを走らしてきたAFコルセですが、来シーズンLMHクラスに50年ぶりに復帰する"フェラーリワークス"とのジョイントプロジェクトを見据えてか、今年はLMP2カーを1台走らせています。
#71 スピリット オブ レース フェラーリ 488 GTE EVO(Spirit of Race Ferrari 488 GTE EVO)
こちらはLMGT-AMクラスのフェラーリ 488 GTE EVOですが、カラーリングがルイジ・キネッティが創設した往年の"NART(North American Racing Team)"カラーをオマージュしていてカッコイイですね!
#93 プジョー 9X8(Peugeot 9X8)
待望の"プジョー9X8"近接撮影です。フロントカウルは外されているものの、工具やら測定器具などでうまく隠されており、フロントの空力処理が判りにくいです・・・汗
#8 トヨタ GR010 ハイブリッド(Toyota GR010 HYBRID)
鳴り物入りで立ち上げた"ハイパーカー"規定、やれ"ブガッティが参戦する"だの"アストンマーチンがヴァルキリーで参戦する"だの、"なんか911ルックなシルエットが公開される(笑)"などと、かつての"GT1"規定の再来を思わせるプロモーションに酔いしれるも、実際に"ハイパーカー"初年度にカタチにしてきたのは、ニュル24hで名を馳せた"スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(SCG)"とこの"トヨタ"のみでした。
ここでフロントカウルの開いているプジョー#93号車とトヨタ#7号車のフロントセクションを比較してみましょう。
まずぱっと見でわかるのが、フロントのタイヤハウス内の空力処理が異なっていますね。GR010はレギュレーション上1つだけ設けることが許されている可変空力デバイスはリヤウイングですが、9X8はリヤウイングレスのためフロントグリル内のウイングが可変できるようになっているようです(由良さんの解説より^^;)
このためか、GR010に比べて9X8の方がフロントの空力を貪欲に利用してやろうという設計なのかもしれません。
久しぶりのWECに久しぶりのパドックの雰囲気。
香水、タイヤ、排気ガスなど様々な"フレグランス"に包まれたこの独特の空気感が、日本にいながら欧州のレースシーンを感じられて"やっぱりコレだよね~"となる瞬間でもあります♪
予選は"GRスープラコーナー"で観戦します。
ここで参戦車両を紹介していきます。
まずはLMGTEクラスから予選が始まりました!
#91 ポルシェGTチーム 911 RSR-19(Porsche GT Team 911 RSR-19)
先ほども少し触れましたが、991型"911"のアッパーボデーに"ケイマン"のアンダーフロアを組み合わせて作り上げた、"Mide in Flacht(フラハト)"の力作"911 RSR-19"です。
"GT3"規定より改造範囲の広い"LMGTE"クラスならではの車両で、90年代後半にルマンやBPRグローバルGTシリーズで活躍した"911GT1"以来の"ミッドシップ911"です。
4.2リッター水平対向6気筒ガソリンNAエンジンをミッドシップにマウントして、近年では珍しい快音のNAサウンドを奏でてくれます♪
#91号車はジャンマリア・ブルーニ(Gianmaria Bruni)/リヒャルト・リーツ(Richard Lietz)組がドライブしています。
#51 AFコルセ フェラーリ 488 GTE EVO(AF Corse Ferrari 488 GTE EVO)
こちらも市販ピッコロフェラーリ"488GTB"をベースに"LMGTE"規定で製作された車両で、4.0リッターV型8気筒ガソリンターボエンジンを搭載しています。#51号車はアレッサンドロ・ピエール・グイディ(Alessandro Pier Guidi)/ジェームス・カラド(James Calado)組がドライブしています。
#64 コルベット レーシング シボレーコルベットC8.R(CORVETTE Racing Chevrolet Corvette C8.R)
5.5リッターV型8気筒ガソリンNAエンジンを搭載しています。伝統のロングノーズ・ショートデッキスタイルのFRスポーツカーだったコルベットが、その伝統をかなぐり捨ててミッドシップスポーツカーとして生まれ変わった"C8"型をベースに開発された"C8.R"です。エンジンもフェラーリなどのV8エンジンと同じシングルプレーンのクランクシャフトに変更するなど、抜本的な改革を行ったコルベットですが、排気音には勇ましいアメリカンV8的な野性味がまだ残っています!
#777 D'Stationレーシング アストンマーチン ヴァンテージAMR(D'Station Racing Aston Martin Vintage AMR)
市販モデルと同様にAMG製の4.0リッターV型8気筒ガソリンターボエンジンを搭載しています。アストンマーチンのワークス(LMGTE-Proクラス)参戦は終了しているので、LMGTE-AMクラスにのみ参戦している"アストンマーチン ヴァンテージAMR"。#777号車は日本からWECシリーズに参戦している"D'Stationレーシング"の車両です。
スーパーGTやスーパー耐久シリーズでもおなじみの"D'Stationレーシング"ですが、あちらは"GT3"車両なので"LMGTE"車両が見られるのはWECシリーズのみになります。
続いてLMH(ハイパーカー)及びLMP2クラスの予選が始まりました~
#7 トヨタ GR010 ハイブリッド(Toyota GR010 HYBRID)
680馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒ガソリンツインターボエンジンで後輪を駆動し、190km/h以上になると272馬力のMGU(モータ・ジェネレータ・ユニット)により前輪にも駆動力が追加されます。
#94 プジョー 9X8(Peugeot 9X8)
こちらも680馬力を発揮する2.6リッターV型6気筒ガソリンツインターボエンジンで後輪を駆動し、272馬力のMGUにより190km/h以上でフロントを駆動します。
この辺りはレギュレーションで定められているので、スペック的なものは統一されていますね。シャシ開発にはフランスのレーシングコンストラクター"リジェ(Ligier)"がかかわっているようです。
#36 アルピーヌ A480 ギブソン(ALPINE A480 - Gibson)
LMHクラスとしては異色の成り立ちなのが、この"A480"です。
ブランド名に"アルピーヌ(ALPINE)"とあるものの、実態はLMP2で一大勢力を築く"オレカ 07(ORECA 07)"をベースに開発されたLMP1カー"レベリオン R13(REBERION R13)"をアルピーヌが受け継ぐ形で参戦しています。
立ち上げ当初の閑古鳥のなくLMHクラスを盛り上げるため、ACOが特例で2021,2022シーズン限定で出場できるようにしたことから、旧態依然としたLMP1カーでLMHクラスにエントリーしています。
LMP2クラス
#41 リアルティーム by WRT オレカ07 ギブソン(Realteam by WRT ORECA 07 - Gibson)
4.2リッターV型8気筒NAガソリンエンジンをオレカ製のクローズドシャシ"オレカ07"に搭載して後輪を駆動します。WECのLMP2クラスは、実質この"オレカ07 ギブソン"のワンメークとなっています。ちなみに#41号車は"王子"ことフェルディナント ハプスブルク・ロートリンゲン含む3名のドライバーがドライブする車両です。
予選終了後にパルクフェルメに佇む"アルピーヌ A480 ギブソン"
"GR010 ハイブリッド"が車検を終えて出てきました。
あわよくば"プジョー9X8"も・・・
と思いきや、シャッターが下りてきました・・・
日本のレースファンは全員"由良が切る"のごとく研究熱心なのがバレているのか。。。プジョーワークスのガードが堅いようです^^;
この日のレーススケジュールは終了なので、kimu_ninety氏とH氏の3人で"富士八景の湯"に疲れを癒しに行きます。
今宵は"中秋の名月"
やはりレース観戦の夜にはBBQは欠かせないですね!
久々の再会ということもあって、車談義の尽きないまま夜も更けていきました♪
後編(Part2)へつづく