十数年ぶりに、というか人生二台目のクルマ候補として興味がつきないアルファロメオ4Cですが、3月のジュネーブモーターショー発表を前になかなか確定した情報が出てきませんので少し整理してみたいと思います。
・ディメンジョン
>全長4m、全幅200cm、全高118cmで、ホイールベースは2.4m以下
というのが先日のフィアット・クライスラーのプレスリリースにあります。
ライバルと目されるロータス、エリーゼは
全長3.8m、全幅172cm、全高113cm、ホイールベース2.3m
ポルシェ、ケイマンは
全長4.38m、全幅181cm、全高129.4cm、ホイールベース2.475m
であり、この中で最も気になるのは気になるのはクルマの性格を決めるホイールベースと全幅でしょうか。
全幅200cmというのはこのクラスはもとよりフェラ-リをはじめブガッテー、ヴェイロンやケーニグセグCCRといったハイパフォーマンスカーよりショートホイールベースかつワイドトレッドという事になります。
サイドミラー込みの誇大寸法だと思いましたがプレスリリースで発表された上面の絵で見ると縦横比は1215:610であり、全長を4mだと仮定すると横幅はほぼ2m(サイドミラー除く)になります!
全長3.8mの場合でも全幅190cmであり、恐らくハンドリングマシンとしての最適なホイールベースから全幅を割り出した数値だと思われます。
・エンジン
>新しい4気筒(4 cylinders)、排気量1750 ccのアルミ合金製ガソリンターボエンジン
これはジュリエッタQVや159TB、フィアットグループの他社にも供給されている直噴デュアルバルブタイミング1742ccエンジンユニットをベースにしたものでしょう。
この1750TBiは最大馬力235HP@5500rpm、最大トルク340Nm@1900rpmというもので4Cにそのまま搭載されたとしても850kgと合わせるとパワーウェイトレシオ4kg/HP未満を達成できます。
最近スクープされたインテリアからタコメーターのレッドゾーンは6500rpmから目盛られているのが読み取れ、これはジュリエッタとも同じです。
どの程度チューニングされるか分かりませんが「最適化された専用の吸気・排気システムを装備」するそうです。
アルファロメオは後述のAlfa Romeo D.N.A.システムに「Race」モードを追加すると言っていますが搭載がアナウンスされているTCTトランスミッションの受容最大トルクは350Nmなので大幅なパワーアップはされず、以前に240HPという噂がありましたが、ここらへんが一番現実味がありそうです。
スポーツカーとしてはいささか最大回転数が控えめですが回転馬力で最大馬力を稼げば低回転はスカスカで常用域では神経を使うことになります。
それなら排気量を2Lに拡大すればいいのでは?とも思いますが、厳しくなりつつある欧米の排出ガス規制に長く適合させるためにあえて排気量を絞ってきているとも考えられます。
・トランスミッション
>Alfa TCTデュアルクラッチオートマチックトランスミッション
最初に発表されるモデルはATのみでMTは無いようです。
このATユニットはMitoやジュリエッタにも搭載されている小型6速乾式ATでコードネームC635の"C"はイタリア語のトランスミッション、続く"6"は6速、"35"は受容最大トルク350Nm(35.69kgfm)を表します。
最大トルク340Nmの1750TBiエンジンユニットとベストマッチではありますが、かつてのアルファロメオのセレスピードではギアがニュートラル以外でスタックしてエンストすると身動きがとれなくなるトラブルがあり後に改善されましたがこれがイカれると完全に立ち往生なので出力向上版のためにも3ペダルのMTモデルを出して欲しいと思います。
・統合制御システム
>「Race」モードが付いた新しいAlfa Romeo D.N.A.システム
これまでのアグレッシブなD(ダイナミック)、市街地など普段乗りのN(ノーマル※本国仕様ではナチュラル)、雨天でのA(オールウェザー)に加え、サーキットなどを前提としていると思われるR(レース)モードが追加されます。
パワステのアシスト、エンジン出力特性、横滑り防止装置などの効き具合が変化します。
コスト的に電子制御式可変ダンパーの採用は厳しいでしょうか。
・カーボンモノセルシャシー
>耐力・構造機能 を持つカーボン製のシャシー
ハイパフォーマンスカーではもはや常識となったカーボンコックピットのモノセルを採用、軽量化に大きく寄与するようです。
これはマセラティMC12やKTM X-Bowのカーボンファイバーモノコック開発・制作を請け負ったダラーラによって制作されるようです。
・エクステリア
先日のプレスリリースで配布された画像やロードテストのスパイフォトからモーターショーで展示されていたコンセプトモデルとの相違点は
バイキセノンとLEDのコンビネーションヘッドランプ
テイルランプやターンランプはMitoとの共用化?
ドアノブやドアミラーは一般的なものへ変更
各所に配されたカーボンパーツの削減
リアデッキにエアアウトレットの増設
ここまでが公式ステートメントから読み取れる事で以下は噂からの推測になります。
・デリバリー開始時期
3月のジュネーブモーターショーの発表後、モデナのマセラティ工場で製造が開始されるようです。
これにより、早ければ今年中ごろ、遅くとも年内には販売が始まるようです。
日本への導入時期はこれよりさらに遅れると思いますが、日本固有の設定に拘らず本国仕様のまま入れればそれほど遅れることは無いでしょう。
逆に言えば日本ディーラーが特定の仕様に拘った場合、一年かそれ以上遅くなる可能性もあります。
・価格
海外での噂をまとめると
ヨーロッパでは最低価格40,000ユーロから(約500万円)
スイスではトリムレベルに応じて56,000~64,000ユーロ(約700万~800万円)
北米予想価格は60,000USD(約560万円)
BBCトップ・ギアでは45,000ポンド(625万円)
GTAと呼称されるモデルは50,000ポンド(約725万円)
※執筆時点の為替相場1USD=93円、1GBP=145円、1EUR=125円
スイスの物価が高いのとトリムレベルが不明なので分かりませんが日本導入時は同程度かそれよりは安くなると仮定すると相場によりますがベーシックモデルであれば550万~600万円、フルオプションの上級グレードでは800万円程度といったところでしょうか。
・生産数
クーペ、ロードスターそれぞれ1000台ずつで今年はクーペボディのみでロードスターは来年からと言われていますので今年は500台、来年は2000台でしょうか。
問題はこれが年間生産数なのか、それとも総生産になるのかという事です。
年産2500台で5~7年間は生産されるという見方をしている海外情報サイトもあります。
・バリエーション展開
クーペ、ロードスター以外にレース用の"Racing"バージョンと公道用の"Stradale"の展開が以前から噂されています。
既に1750TBiエンジンは296HPまでスープアップされているようです。
Alfa Romeo 4C powered by 1750 TBI with 296 hp
http://www.autoedizione.com/alfa-romeo-4c-powered-by-1750-tbi-with-296-hp/
もしこの296HP版1750TBiエンジンを市販バージョンのストラダーレに搭載してしまうとレーシングバージョンはさらに強力にしなくてはなりません。
ターボなので多少信頼性を犠牲にして過給圧を上げればリッターあたりの出力は160HP/Lでも180HP/Lでも搾り出せますし、そのレベルで販売している自動車メーカーやチューナーも存在します。
しかし搭載が決まっているTCTトランスミッションの受容トルクを超えてしまうでしょうから3月のジュネーブモーターショーで発表されるのは235~240HPの1750TBiがストラダーレで、後に300HP前後に高出力化したレーシングバージョンが限定生産のような形で出てくるのではないでしょうか。
いずれにしてもあと二週間ほどでこれらの疑問のいくつかに答えがもたらされることになります。