
PPAPぢゃありませんよ。
特定のガンにすごく効果のある抗がん剤の話です。
ちょっと深刻な話かも…
出典:この
記事
曰く、
「こんなすごい抗がん剤なら、なぜ保険薬にならないのだろうか。」
<中略>
「保険薬にするには製薬会社が関わる必要がある。ところが、P-THPに使われた抗がん剤は、古い抗がん剤で薬価も決まっているから、何千万という高額な値段をつけられない。つまり、企業にとって大きな利益をもたらさないということである。」
だから保険薬にならない!!!???
いったいどうなってんぢゃい!!!
副作用なく効く理由、
曰く、
「抗がん剤はなぜ効かないか。なぜ副作用があるのだろうか。そのことがわかれば、逆にこのP-THPが、通常の抗がん剤よりも治癒効果が高く、副作用がない理由も理解できると思う。
まず副作用だ。血管は閉鎖系といって出口はなく、その中を血液がぐるぐる巡っている。いわばドーナツのようなチューブだ。そのチューブに小さな穴が開いていて、ここから酸素や栄養素が漏れて体の細胞を維持している。
ところが、低分子の抗がん剤もここから漏れてしまうのである。猛毒の抗がん剤は漏れたところの細胞を壊死させるので、これが副作用となってあらわれる。
また多くの抗がん剤は、がん細胞が休みなく分裂するのを利用して、分裂するときにDNAの合成を止める仕組みになっている。つまり、分裂できなくして殺すのである。
ところが、がん細胞と同じように激しく分裂している細胞は他にもたくさんあり、そこがやられると副作用があらわれる。たとえば毛根だ。毎日のように細胞が分裂しているから、抗がん剤にやられて髪の毛が抜けるのである。
腸管上皮や胃の粘膜もそうだ。骨髄もやられやすい。つまり、がん細胞と一緒に正常細胞もやられることが副作用なのである。
そんな副作用がありながら、なぜ抗がん剤でがん細胞を殺せないのだろうか。
抗がん剤を点滴しても、がん細胞に到達したときは、点滴した量の100分の1以下に薄まっていることがその理由の一つだ。
では、薄まってもいいように、最初から100倍投与すればどうか。
こんな実験がある。抗がん剤が、がん細胞を殺す量はわかっているので、その量が腫瘍に届くように投与したらマウスはすべて死んだという。人間も同じで、がん細胞が死ぬ量を投与して、人間が耐えられる抗がん剤は存在しない。
つまり、どんな理屈をこねようとも、理論的に抗がん剤は効かないということだ。
次に考えられるのは、がん細胞のしたたかさである。実はこの40年間で、分子生物学者ががんを研究してきてわかったのは、がんはあまりにも複雑すぎてカオスの世界だということである。
たとえば、がん細胞が毒物に触れると、最初のがん細胞がやられても、次の段階で排出ポンプのようなタンパク質を働かせて、内部に入ってきた毒物を外に放り出してしまう。それだけではない。毒物を分解する酵素を出して毒性を消したり、毒物の分子を変えて毒性をなくしてしまうこともある。
その他にも、免疫細胞からの攻撃をかわすバリヤーを張ったり、人間の想像力を超えた能力を次々と繰り出しては生き延びようとする。これが薬剤耐性と言われるものである。
いずれも、生命が数十億年の時間をかけて獲得した能力だろう。
抗がん剤とは、患者を生きるか死ぬかの瀬戸際まで追い込んで、運良く腫瘍の方が先に死んでくれればラッキーという、まるでバクチのような「薬」なのである。
では今世紀に入って登場した分子標的薬はどうか。がん細胞上のある遺伝子をピンポイントで狙うから副作用が少ないといわれたが、皮膚障害のような副作用がけっこうあらわれる。そのうえ、思ったほど効かない。
なぜかというと、がん細胞が分裂するたびに、ターゲットである遺伝子が変異するからである。変身したら狙いが定まらない。つまり効かないということである。
さらに、がん細胞にしかないと思っていたそのターゲットが、他の細胞にもあったために、そこも一緒に狙われて副作用があらわれるというわけだ。
がんと闘うためには、これらの欠点をクリアしたものでなければならない。正常な細胞を殺さず、がん細胞にとって致死量にあたる毒物を一気に降り注ぐ抗がん剤だ。それが前田教授の開発したP-THPだった。
実は、P-THPに使われているピラルビシンは、特許が切れた古い抗がん剤である。P-THPのPはポリマーで、THPはピラルビシン。つまり、ピラルビシンに、高分子のポリマーをくっつけたという意味だ。
簡単にいえば、P-THPとはこれだけである。たったこれだけで、在来型の抗がん剤とすっかり変わってしまったのだ。
このP-THPが、「魔法の弾丸」のように腫瘍に届くまでには、図のようなステップ(主に三段階)がある。
第1のステップは、腫瘍にだけ集まることだ。
腫瘍にも血管があって、やはり正常な血管のように隙間があるのだが、正常血管の隙間をバレーボール大とすれば、腫瘍の血管は25メートルプールほどもある。それなら、ピラルビシンを自動車ぐらいの大きさにすれば、正常な血管からは漏れなくなるはずだ。
この自動車ぐらいの大きさにするのが、ポリマー(図の赤い〇)なのである。こうすると、体の中をぐるぐる回っているうちに、巨大な穴が開いている腫瘍の血管から漏れていくので、結果的に腫瘍だけに集まる。同時に、他の組織には漏れないから副作用がない。
第2のステップは、腫瘍血管から漏れたら、薬剤がポリマー(図の小さな〇)から離れなければならない。
ピラルビシンとポリマーをつないでいる紐は、酸性になると切れるようになっていて、腫瘍の周辺は、腫瘍の廃棄物で酸性の海になっているので簡単に切れるのだ。
第3のステップが難題で、ポリマーから離れたピラルビシンが、腫瘍の内部に取り込まれないといけない。
がん細胞は常に分裂しているから、大量のエネルギーを必要とする。そのために、トランスポーターという細胞を使って、ポンプで汲み上げるように外部のブドウ糖を取り込んでいる。
実はピラルビシンには、ブドウ糖に似た分子がくっついていて、がん細胞はピラルビシンをブドウ糖と勘違いして内部に取り込んでしまうのである。他の抗がん剤でうまくいかないのは、このブドウ糖様分子がないからだ。
実験では、通常の抗がん剤と比較すると、腫瘍の内部にその数百倍もの薬剤が取り込まれている。まるでトロイの木馬のように入り込んでがん組織を攻撃するのがP-THPなのだ。
分子生物学の権威であるアメリカのロバート・ワインバーグ博士によれば、転移していないがんで死亡するのは約10%、残りの90%は転移したがんで死んでいるという。つまり、抗がん剤は転移したがんに効かなければ治せないということだ。
従来の抗がん剤は転移したがんには効かなかったが、P-THPは先に述べた3つのステップで転移したがん細胞にも薬剤が届くのである。
発見というのは、あとで振り返ってみたら、あまりにも単純すぎて驚くことがよくある。ピラルビシンという古い抗がん剤にポリマーをくっつけただけなのに、従来の抗がん剤とは違う、まったく新しい抗がん剤が誕生したのである。」
なにこれすごいじゃん!!