GT3 RS は、ポルシェ開発担当から、新型の4.0ℓエンジンを搭載すると公言されました。
GT3系はNAを貫くとの線が強く、おそらくはEURO5規格なのではないかという話は、海外では上がっています。
しかし、9月からEU圏で新車登録の新型番車両は、必ずEURO6をクリアする義務があるので、新開発というのは、このEURO6に対応させる為に何かしらの仕組みの入ったものであるとの見解もあるようです。
テスト走行の動画を見ても、エキゾーストは間違いなくNAのもの。
2015からモデルチェンジ予定のカレラ・カレラSについては、いよいよEURO6対応のダウンサイジングターボの採用の色が濃くなって来ました。
ギリギリクリアすれば良い。というものではないのが厄介。
先のモデルの事も考慮しなければならない。
具体的には、素のカレラが2.9L、カレラSが3.4L程にダウンサイジングされ、ターボチャージャーを搭載、確定ではないはずですが、リアウイングの位置に稼動式インタークーラーを設置するという記事も。
一部では、カレラSには、3.8Lターボ、530馬力を出すという記事も見られましたが、このあたりが海外文献を翻訳した記事などの当てにならないところ。
サーキットよりも一般ロード走行重視で、各部を強化・メーカーチューンドしている、RRのカレラSのスペックでは、普通に考えるとかなり不可能で、これを信じて530PSターボ・カレラSを待っていると、恐らくハマるのではないかと心配です。
カレラ系は、マイナーチェンジ後もロード重視にMTの存在も視野にいれているはず。
少し話しはそれますが…
オーナーの視点からは、オプションフル装備のカレラSと、GT3との価格差が狭い事、排気量や最大トルクに差が全く無い事、ギア比の差からも、GT3はサーキット型、カレラSはロード型のメーカーチューンドであり、素の911を双方、違うベクトルでチューニングされた別の車だと思った方が良いと思います。
GT3に出来ることが、カレラ系にはできないばかりでなく、その逆もあるわけです。
低速トルクに不足は無いと言われている991型GT3でも、ギア比から低回転域の発生トルクは、カレラSの方が上である事は事実です。
自論かもしれませんが、次期カレラSのスペックを想定するには、次期GT3のスペックも同時に考慮すべき。
同じ排気量・最大トルクでもGT3には設定されないMTの設定が、現行のみでなく次期カレラ系でも十分期待できると思います。
それは、トルク重視型、エンジン回転重視型の差なのだと思います。
EU圏には存在して、何故か日本でMTが設定されなかった、GTSの存在は気がかりですが…
実用性やラグジュアリーさを犠牲にして、軽量化・ロールゲージの設置等を積極的行い、実質サーキットでの実績を優先することに徹しているGT3と、ロードで最大の実力を発揮するよう、高級感を保ちながらも、実用性とスポーツ性の両立をアイデンティティとしているカレラSとでは、用途の差が大きく、その中間的存在として 「GT + S = GTS 」 が方程式として見事に成立している。
÷2は? というのは無しという事で…
最大出力発生回転数も、カレラSよりも上。そしてGT3よりも下。
カレラSよりも、ややエンジンを回した状態で最大出力に達する味付け。
この辺りは、トルク・ギア比・馬力を計算式に当てはめれば答えは出ると思います。
人それぞれの哲学みたいな部分にひっかかってましまい、ここでは深く触れませんが、決してカタログの数値(最高出力)だけで車を選んでいけない重要なところ。
最大トルクが同じという事があり、どっちつかずと取るか、マルチに双方こなすと取るかは、ドライバーのスタイル次第なのかもしれません。
カレラSにエクスクルーシブ・パワーキットを装着した場合は、これだけでGT3の価格を上回る事になってしまいますので、除外視しても、各車共に排気量・最大トルクは同じ、フルオプション時の価格差は殆ど無い。
エクスクルーシブとは言え、ポルシェはとんでもない高額なオプションを用意するもんだな。
しかし、GT3がサーキット走行で勝つ事と引き換えに失っているものを、高級セダン等、他の車で補う事は可能なはずです。
ポルシェ・オフィシャルのGT3サイトでは、掲載されている動画・写真の全てがサーキットロケーション。言うまでも無くプロ・アマ問わずサーキット走行の需要は多くあります。
実はエンジンもカレラSとは別物で、エンジン単体での出力(トルク)や排気量は同じでも、GT3はピストンやコンロッドも、サーキット走行での高回転用モデル専用の設計。
ライフスタイルに合わせてGT3を選ぶということが非常に大切。
これは私が、997型のGT3RSのドライビングシートに座った直後に、大きく感じた事でした。
GT3はサーキットで勝つ事ができる、高回転重視の本当に良く出来た車だと思います。
ちょっと話がそれ過ぎたので戻します…
NAの大きなメリットのひとつでもある、サウンドについては、開発中のものでも明らかな差。
しかしサウンドは良い、悪いではなく好みの問題がとても強い。
991.2 ターボ搭載テスト車
991 GT3RS NAテスト車
2020年から採用されると言われている、EURO7では、992型の911にいよいよ"ハイブリッドエンジン"が搭載され、よりエコ重視のスポーツカーの開発に真剣に乗り出すようです。
規制規制ばかりで、一昔前にSKYLINE GT-RやマツダRX-7が日本で消失した時の事を思い出します。欧州車もそういう時期に来ているのかもしれない。
昨今の日本では、スポーツカーやMTの存在がどんどん復活しつつある。
国産ばかりでなく、アウディやルノーでも、MTの復活には積極的。
これはMTが時代遅れの産物では無い事の、確固たる証明となりうるでしょう。
今ではポルシェでも、かつての日本がそうだったように、カイエンやマカンなどのSUV開発に積極的に取り組んでいる状態。
フェラーリのフラグシップ車ですら、後期からはダウンサイジング・ターボ。
暗雲時代への突入を予感させますが、時期がくれば、必ず高級スポーツカー業界も盛り返してくると思っています。