日産テクノ 南 卓也
日産テクノ 天口健治(談)
おふたりは内装設計のご担当ということですが、もう少し詳しいお仕事の内容を教えてください。
南:私はCPM(コックピットモジュール)担当です。ステアリングを握ってまず目の前に映る、メーターパネル周り全体とセンターコンソールの部品を設計しています。マイナーチェンジでは、センタークラスターパネル周りの変更が主な仕事でした。
天口:私の担当はトリムという部品ですが、簡単に言うと車内の装飾部品ですね。お客様への安全性や利便性に配慮し、デザインも成立できるよう設計の上、商品化する仕事です。マイナーチェンジではドアトリムの改良が主な仕事でした。
マイナーチェンジの内容についてその狙いなど解説していただけますか?
南:まず、ユーザーから要望があったハザードやシートヒータースイッチの使い易さを改善するため、シフトレバーからすぐ手が届く位置にレイアウトを変更しました。そして助手席側にひとつだけだったカップホルダーを運転席と助手席両方から使えるようセンターコンソール内に2個設置したことが大きな変更点です。特にラグジュアリーなお客様のニーズにも応えるため、カップホルダーに蓋をつけることを前提に設計をしました。スイッチとコンソールボックスの間にカップホルダーをどう収めるか試行錯誤した結果、スペース効率が高く、カップの出し入れがし易いシャッタータイプを採用しました。またシフト部の台座などアルミ素材を使い、質感の向上を図りました。
天口:今回のマイナーチェンジのテーマとして、一つ目は手に触れる部分全般の質感(触感)の向上に配慮しました。二つ目は、利便性の向上でポケットの間口の拡大や、ペットボトルを収納する機能を追加しました。スピーカーやスイッチ類の位置がすでに決まっていますし、安全性も考慮しなくてはならない部分です。特にペットボトルホルダーはある程度の容量のペットボトルを収納させ、出し入れし易いレイアウトとし、さらに乗り降りする際の足元の通過性にも配慮して、何度も検討を重ねました。転がりやすい物が足元に落ちてしまうと、アクセルやブレーキなどペダル類の操作時に危険が伴うシビアな場所ですから。マイナーチェンジは新モデルと違って、従来の様々な要件がある中で工夫を凝らすという制限が多い仕事ですが、関係者の協力と苦労の甲斐があり良いものが出来たと思います。
人が直接触れる部分の開発に携わるおふたりですが、
特に『ここはZならでは』と意識した部分はありますか?
南:このクルマは、デイリーユースなスポーツカーを目標に開発を進めてきました。スポーツカーのイメージを超える実用性の高さがこの車のユニークセールスポイントです。ですから初期モデルではシフト操作時に肘で各種スイッチを誤って押してしまうというユーザーの意見を参考に、スイッチを運転中により使い易い場所に配置したり、また助手席に1個しかなかったカップホルダー2個を使い勝手の良いセンターコンソールに配置したりして、実用性についてこだわりました。
天口:ドアトリムセンターパッドとアームレストの柔らかさの度合いは、ウレタン(中に入れるクッション材)の厚みや硬さ、表皮の材質、その組み合わせ方で決まります。今回はZのイメージ感に合う様に『快適で適度な張り具合』というところを念頭に置いて考えました。このバランスが、ある意味Zらしさかもしれませんね。
ユーザーはZに何を求めていると思いますか?
南:スポーティとラグジュアリー、両方のキャラクターが求められていると思います。高いスポーツ性能と快適な使い勝手と言ってもよいと思います。スポーティなコックピットに実用性を追求した操作系類の配置やカップホルダーなどの収納アイテムをバランス良く織込んだコックピットをお客様は求められていると思います。もちろん3連メーターのようなヘリテージも大切にしなければならないと思います
天口:スパルタンなだけのコックピットはZには似合わないですよね。所有する喜び、ちょっとリラックスした雰囲気、そしていざとなったらスポーツ走行も楽しめる。ユーザーはそれらをZというモデルに求めていると思います。さらに日常の実用性もリクエストされるので、それらすべてに応えるのが私たちの仕事だと思っています。
Zというブランドに個人的な思い出や思い入れはありますか?
南:私が小学校入学前、父がS30のマルーン(240ZG)に乗っていました。私たち親子にとって大切な思い出のクルマだったので、私がZの担当になったとき『やっとここまで来たか』と感慨深かったですね。2005年、Z33でもマルーン(プレミアムミスティックマルーン)のボディカラーが採用されたことも嬉しかったですね。私の子供たちも好きだと言っているし、やっぱり欲しいクルマの一台ですね。
天口:子供の頃に見ていた刑事ドラマに登場したZ(S130)とスカイライン(R30)がカッコよかったことが印象に残っています。私は数年前からスカイラインを、その後Zも担当することができ、すごい巡り会わせを感じています。もちろん現行のZ33も好きです。お年を召したご夫婦が乗られている姿を見たりすると『いいなぁ』と憧れますね。
内装について、今後さらに進化させたい部分はありますか?
天口:質感という観点でもう一段階向上できたらと思っています。素材感と形状のバランスを車の個性に合わせて考え、各々の素材の持ち味を適所に活かせるようこだわっていきたいと思っています。お客様が気づかないかもしれないような細かな部分もしっかり進化させていきたいですね。
南:利便性の更なる向上、具体的には小物の収納能力を進化させたいですね。お客様から『初期モデルにマイナーチェンジ後のコンソールを付け替えたい』というようなお問い合わせをいただいたことがありましたが、そういったお話は大変励みになりました。Zの進化が認められているという証だと感じています。
【初期型の私のZ33に比べ本当に改良が色々と進んでいますよね、羨ましい限りです(涙)
で開発段階で、S30や130Z、と古き良き時代のフェアレディZがZ33に影響しているのは間違い無いんですね、『利便性の更なる向上』、『質感という観点でもう一段階向上』は、まだまだZ33の課題で有るのは間違い無いと個人的には思います、初期型の私のZ33と最終型のZ33とは、きっと別物になってしまうんだろうなぁ~と悲しいやら、嬉しいやら、複雑な気持ちでした、がZ好きとしては、放置プレーで延命されるよりは全然良いです、しかし『刑事ドラマに登場したZ(S130)』、『父がS30のマルーン(240ZG)』って所で親近感を感じました(笑)そろそろZ34が話題に上がってきてますが、Z33熟成にも期待です】
Posted at 2006/09/29 18:59:59 | |
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