Playing the Piano

今月の初めに坂本龍一さんのNHK MUSIC SPECIALが放送されていました。
もちろん録画していたのですが、色々な想いが交錯していたので視聴するのを躊躇していました。

彼がNHK-FMでパーソナリティを担当してた頃には既に彼を知っており、毎週の放送を楽しみにしていたくらいのファンでした。
一時は彼のイデオロギー的な発言からファンを離れたこともありましたが、それと彼が紡ぐ音楽とは区別していたつもりです。

そんな彼が久しぶりにピアノを弾くという番組の情報を目にしたので、楽しみ半分怖さ半分な気持ちで予約録画をした記憶があります。

意を決して再生ボタンを押したところ、画面の中に見えた彼は自分が知る人の外見でなかったことに衝撃を覚えました。
バンドメンバー3人の中では病気に一番遠いところにいると思っていたのですが、映し出されたのは病魔と戦っている姿。しかも、勝敗は良くない方に決しているように見えて。
NON STOPで1時間も収録ができる体力さえなく、1曲ずつ収録して出来上がったパフォーマンスは、嬉しくも哀しくもありました。

彼はその番組内で自身の事を「ピアニストとは思っていない」と語っています。
ピアニストとしての素質があるのは疑う事のない事実ですが、「キーボーディスト」の方がしっくりくるように思います。
そんな彼が、今できるピアニストとしての表現を切り取った映像が、この番組の全てだと感じました。

インタビューで語る口調もピアノの鍵盤使いも「坂本節」だったことは、とても印象深いと感じています。

※もちろん、ピアニストとしても超一流…