
大御所BMWおたっきーず!Blogさんでも
紹介済みでしたが
E92に搭載される3.0Lエンジン情報(その3)です。
技術解説の一部を抜粋したので長いです。
また、より専門的な箇所は白字にしてみましたので見たい方はドラッグ or Ctrl+Aで全選択し反転させてくださいませ。
NA版3.0Lエンジンについて
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ドイツBMW社は従来のポート噴射エンジンに比べて最高出力をやや高めた上、燃費を10%改善できるピエゾ噴射弁を用いた
スプレーガイデッド直噴の直列6気筒希薄燃焼エンジンを開発し、今後投入する車種や市場を段階的に拡大していくことを明らかにした
新エンジンは排気量3.0Lの自然吸気エンジンで、シリンダブロックは現行の3シリーズなどと同じく
アルミニウム・マグネシウム合金製を使用する。このため、ボアおよびストロークは現行3.0Lエンジンと共通の88×85mm
同社は直噴希薄燃焼エンジンの燃費ポテンシャルを認識していたが、運転領域が狭くNOx(窒素酸化物)対策にもコストがかかることから、理論空燃比のポート噴射エンジンに適用できる可変バルブタイミング・リフト機構「バルブトロニック」を従来エンジンに導入してきたが、直噴エンジンの開発を継続して行っており、新エンジン(直噴希薄燃焼エンジン)の発表となった。
スプレーガイデッド方式では、燃焼室の頂上にピエゾ式の噴射弁を配置し、その横の排気弁側に点火プラグを設ける。ピエゾ式噴射弁は噴射圧力と応答性が高いのが特徴で、吸気および圧縮行程中に最大20MPa(200気圧)の圧力で最大3回燃料を噴射する。燃料の噴射を3 回に分ける理由は1回目が吸気温度を下げて充てん効率を高めるため、2回目が円すい状に燃料のゾーンを作るため、3回目が点火プラグ近傍に燃えやすい濃いゾーンを作るためである。
ターボエンジンでは圧縮比が10.2となっていたが、新エンジンではベースエンジンの10.7を大きく上回る12となった。
これは ダイムラー・クライスラー社が同じくジュネーブ・モーターショーで発表した「CLS350 CGI」に搭載するスプレーガイデッド式直噴希薄燃焼エンジンの12.2にほぼ近い値だ。
現行の3シリーズなどに搭載されているポート噴射のエンジンと大きく異なるのは、
バルブトロニックを搭載せずに、可変バルブタイミング機構の「ダブル VANOS」のみを採用していることだ。
希薄燃焼エンジンはポンピング損失の低減効果があることから、同じような効果を狙うバルブトロニックを搭載してもコストが上がる割にメリットが少ない。このため、吸気および排気カムシャフトの位相を連続的に変化させるダブルVANOSのみを採用したようだ。
最高出力は200kW(272hp)/6750rpmとベースエンジンよりも
発生回転数が150rpm高く、出力は7hp上回っている。そのほかのスペックでは最大トルクは315N・m/2750rpmで同一、バルブ径は吸気側が32.4mmとベースエンジンよりも1.8mm小さくなっている。排気側は 29.0mmと変わっていない。また、エンジン重量は168kgとベースエンジンよりも7kg増えている。
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Turbo版3.0Lエンジンについて
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ドイツBMW社は、排気量3.0Lの直6スプレーガイデッド直噴ターボエンジンを発表した。このエンジンは通常の三元触媒を用いており、希薄燃焼ではなく理論混合比で運転するストイキ直噴と見られる。
将来的には希薄燃焼でターボ過給するエンジンを目指し開発していることを明らかにしたが、今回のエンジンはその方向に向かう途中段階のエンジンであるようだ
希薄燃焼でなくてもスプレーガイデッド方式を採用する理由は、ウオールガイデッド直噴よりもより良い燃焼が得られるからだという。ウオールガイデッド方式では吸気行程中に噴射するがシリンダ壁やピストンに燃料が付着することによる燃焼損失が大きい。これに対し、スプレーガイデッド直噴では圧縮行程中に点火プラグの周りにコンパクトに燃料を噴射することで、こうした損失を減らせるという
Turboエンジンも連続可変バルブタイミング機構である「ダブルVANOS」と組み合わせてあるが、連続可変バルブリフト機構である
「バルブトロニック」は使っていない。
ターボは排気干渉を避けるために
3気筒ずつに1個配置したツインターボで、最高出力は225kW(306PS)、最大トルクは400N・m。同排気量の同社製自然吸気エンジンよりも出力が15%、トルクが30%増している。ターボの過給圧は0.1MPa(1bar)以下といい、トルクが1.3倍程度になっていることからそれほど過給圧は高くないようだ。
燃料噴射弁は、ダイムラー・クライスラー社と同様にピエゾ式を採用した。応答性に優れる点を生かして、吸気行程で1回、圧縮行程で2回の合計3回の噴射をしている。最初の噴射は気化潜熱を利用して充てん効率を高めるためで、2回目の噴射で円すい状に燃料を噴射し、3回目の微量な噴射で点火プラグ近傍に濃いゾーンを作る。燃料噴射圧は10M~12MPa(100~120気圧)とし、ダイムラー・クライスラー社の20MPaに比べれば低く、通常の直噴エンジンとほぼ同等だ。
なお、ターボチャージャのインペラに1050℃以上の耐熱性を持つ特殊鋼を用いたという。
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E92で採用となる両エンジン「スプレーガイデッド直噴」エンジンは、
第3世代の直噴ガソリンエンジンと呼ばれるそうです。
スプレーガイデッド直噴は、理論混合比で運転するストイキ直噴に比べて燃費を改善できるポテンシャルがあるのが一番のメリットです。ただし、燃料を成層化してきちんと燃やすには微細な噴射量のコントロールや高い圧力、複数回の燃料噴射などが必要になります。そこで、ディーゼルエンジンで使い始めたピエゾ式燃料噴射弁を採用しています。
ソレノイド式に比べて応答が早く、制御の自由度が高まるのがピエゾ式の選択理由でしょうが、コストも高いというデメリットもあります。
乗用車のガソリンエンジンはもともとコストを抑えて作りたいエンジンです。直噴エンジンにするだけでコストが上がってしまうことは自動車メーカーなら重々承知。さらに、希薄燃焼エンジンと組み合わせる必要があるNOx吸蔵還元触媒の価格の高さもハードルになります。こうしたことから、ピエゾ式の噴射弁が将来もあらゆる車種に採用されていくかは現時点でまだ見えていないといえそうです
しかし新直噴エンジンでは、自己着火と火花点火という燃焼プロセスの違いはあるものの、噴射弁や燃焼室の形状などが徐々にディーゼルエンジンに近づいていることが分かります。
欧米メーカーもハイブリッドへの取り組みを発表したり、ガソリンはハイブリッド車で燃費向上を図るという常識が一般化していましたが、さすが走りに拘るBMWでしょうか?ガソリンエンジンの燃費低減技術として新世代の直噴エンジンを開発してきた訳ですね^^
直噴エンジンの進化
Ⅰ)ウオールガイデッド直噴と呼ぶ空気流動で燃料を成層化する希薄燃焼エンジン
Ⅱ)ストイキ直噴と呼ぶ理論混合比で運転するエンジン
Ⅲ)スプレーガイデッド直噴と呼ぶ燃料の噴霧で成層化する希薄燃焼エンジン
【追記】
やっと直6にバルブトロニックが搭載されたと思ったら今度は直噴希薄燃焼、、、パワーがあり燃費も10%向上。採用は当然といえばそれまでですがモデルサイクルが短い!(直6のバルトロ搭載は今から2年前だったかと、、、まぁZ4や130i、X3なんかでしばらくは併売されるのでしょうがネ)
どうやら今後BMWの量産パワーモデルは大排気量NAでは無く直噴ターボを作ってくることになったとか。(V8も直噴ターボ?)
直噴エンジンとターボ技術がドッキングすればとてもいいNAエンジンみたくなるようで、エンジン重量が軽く、排気量が少ない、高圧縮比も維持、燃費が良くてエミッションに有利、
パワー特性も悪くない。。。
んーいいことずくめだ^^
GOLF GTIやマツダ MPVの直噴ターボモデルもかなりの評判ですし、主流となりそうな感じがしますね。
参考元:
Tech-On
Posted at 2006/05/10 02:43:45 | |
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