
先週も来たような気がする、浜松のICで降りる。
そこから、約1時間半。
「地名」に、目指す「阿寺の七滝」が待ち受ける。
東京から浜松へ向かう道中から、空模様が気になっていた。
高速を降りて、滝に向かったとたん雨が落ちてきた。
最初は申し訳程度の量であったが、
目的地に近づくにつれ、激しさを増していった。
意図をもったドライブ時の連続降雨記録が、5回目を更新した。
しかも、目的に向かうにつれて激しくなる嫌がらせは、今回が最初だ。
ここまで来て引き返すつもりは毛頭も無い。
雨の中の滝も、風流があっていいはずだ。
途中のコンビニでビニール傘を購入し、準備は整う。
一応ウィンドブレーカーは持っていたが、
名の通り風よけの機能オンリーなので、防水機能は無し。
何も無いよりはマシ程度である。
車で滝へ向かう細い山道で、路上を黒い影が横切る。
何かと思えば、かなーりデカイかえるであった。
人の頭くらいの大きさの黒い物体が、のっそりと蠢いていた。
さすがにそんなものを轢きたくないので、一度車を止めて
位置を確認しながら慎重に進む。
写真を撮ろうかと思ったが、そんな雰囲気を漂わせているものでもなかったので
そっと頭の記憶にとどめることにした。
通り過ぎた後にバックミラーで確認すると、頭をすぼめてじっとしているように見
えるそれが写っていた。
滝から1km手前に、駐車場があった。
一応有料駐車場と書かれており、料金は入り口付近の箱に
自主的に入れるシステムとなっていた。
百円玉を3枚その箱に投入し、傘を差しながら
滝へ向かう遊歩道に足を踏み入れた。
こんな雨の日に、ここを訪れる人はかなりのマニアなのだろうか。
周りには誰もいない。
紅葉の時期には綺麗な姿が想像できる木々が散見できる。
足元には、沢蟹や小さい蛙が何匹も横切る。
気をつけないと本気で踏んでしまいそうなくらい、何匹も姿を現す。
そんな彼らに気をつけながら約20分ほど歩くと、
穏やかな水の落ちる音が聞こえてきた。
滝を目指して歩いている時、突然水が落ちる音が聞こえてくる瞬間。
この瞬間が大好きである。
そこに至る道のりが、長ければ長いほど、その感動は大きくなる。
突然目に飛び込んできた滝の姿は、
穏やかな白い布を垂れ流したかのように、そこにたたずんでいた。
幾つにも折れ曲がりつつ、流れる様はとても美しい。
何者かの意思がこめられているような、見るものを意識した造形のようにも思えたが、
それは人間の方が自然を真似ているのであろう。
(阿寺の七滝)
きちんと数えると、その名が示すように7つの段があるのかも知れない。
しかし、そんな無粋な行動を起こす気にならないほど、
それを見ているだけで、気持ちが満たされる。
さらには、静寂感を漂わせながら流れ落ちる水の音も、
心に響くものの一つである。
その日は、木々の葉に当たる音の方が強かったが、
少しだけ集中すれば、滝そのものの音を自分の中で独立させることができた。
控えめでいて存在感のある穏やかな音は、いつまでも聴いていることができそうで
あった。
実際、風邪気味の体に冷たい雨が無ければ、そうしていたであろう。
こういう時は去り際はさわらかに。
後ろを振り返らず、あっさりとその場を後にした。
たどり着く時の半分ぐらいの時間に感じた帰り道であった。
Posted at 2005/11/08 01:22:39 | |
トラックバック(0) |
Car | 日記