
うん
ボクは働く車 → 代車 になったんだ
いろんなひとに乗ってもらう
昔とは違った
沢山の人がボクに乗ってくる
だから色んな人の気持ちが分かったりするよ
本当の素のままの人の気持ちがよくわかる
きっとボクには気を使わないんだね
たまに扱い荒くて辛いこともあったけど・・・
まぁ
とくにキカイであるボクに対しては感情はないんだよね
ただ
今までに珍しい人間にあったことがあるんだ
その人は
ボクを洗ってくれた
珍しいなぁ~なんて思ってた
そうしたら オイル交換もしてくれた
ちょっとびっくりした
「こんなことされたことないでしょ?」
ボクに聞こえる声で話してくれた
あ
たまにさ 本当にたまにね
ボクに聞こえてくる声をしてる人間がいる
基本人間とは話は出来ない
でも
たまにね
人間の話? んと もしかしたらキモチかなぁ??
ボクには わかるんだ
だから そういうときは
ぼくも答える 喋るんだ!
多分 伝わってる気がする
でも 話しかけられた その時は・・
その人に話しかけられた時は・・・
ホント
びっくりしたけど うれしかった
幸せなキモチだった こんな人間もいるんだなって
ただ
日にちが経ち、ボクは工場に帰ってその人のもとには
もともとの『あの人のクルマ』が修理終わって出来上がっていた
ぴかぴかだった
そのクルマにはやはりものすごい愛情を注いでいた
そうだよね
ちょっと羨ましかった
どうあがいても ボクは 『代車』
もうオーナーカーにはなれない 運命
なんだか 悲しかった。。。
だったら
一度きりだったかもしれないけど 優しくしてくれなくてよかったよ
しょせんボクはオーナーカーにはなれない運命・・・
つかの間の幸せは要らなかったのかも
悲しかった
柄にも無く 涙がでてきてしまったんだ
工場のメカニックの人は
ボクの感情に気がついたみたいだった
エンジンをかけた直後に ?? みたいな顔してた
次の日は又ボクは人間のもとに連れて行かれた
代車だし、まぁ 慣れているけどね
ただ、運転する人に合わせなきゃイケないから
やっぱり気は使う
うん
がんばるよ
ボク
ボクはボクで
身分はわきまえているつもり
ボクは代車だから
ボクを必要としてる 人間はいっぱいいるからね
だいじょうぶだよ
でも
アノ人にはいいたい
やっぱり アノ人は出合ってよかった
ありがとうね
あのね
ボクはクルマで良かったよ
Posted at 2012/10/14 22:04:07 | |
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