原稿の締切りが迫っている。 あと24時間だ。
それまでに書かなければ、もうこれから先、私の仕事はない。
友達の編集者がお情けで回してくれた短編の小説だった。
「色々あったみたいだが、以前は人気があって部数も伸びてたじゃない
か。
僕も君の書く小説は好きだったよ。以前のような作品を書いてみない
か。」
そういってくれた彼の言葉は、正直嬉しかった。
また書きたいと思っていたし、あの頃の充実していた毎日を取り戻した
いとも思っている。
しかし、彼は私がなぜ書けないのかを知らない。
私だって書くつもりだった。そう、だからこそ取材旅行に行ったのだ。
久しぶりの取材旅行は楽しみで、これからの生活に光が差すような旅行
になるはずだった。
あそこで、あんな体験をするまでは・・・・・。