父が食事を済ませた後、
天気が良いから少し散歩でもしようか?
と看護婦さんが父に言ってくれたが、
少し辛くなって来たのか、
「・・止めとく。」
と断っていた。
この日の夕方を境に父は高熱が出て、意識がしっかりしなくなった。
後からすると、この日の数分間がボクが父と会話出来た最初で最後の時間だった。
薬を投与しても、熱が一向に下がらない。
人口呼吸機の依存度もかなり増やしている状態。
喉を切開し、人口呼吸機の管を繋げる手術に移行した。
何をしても、良くなる兆しが見えない状態に遷移しはじめた。
平日の夕方、
妹から携帯に連絡があった。
「今夜が山だって。すぐ来て!」
ボクはすぐに病院に駆け着けたが、
医師からは既に脳死状態にあるとの説明だった。
レントゲン写真を見せられ、
酸欠状態に陥り、脳が肥大して結果、脳幹が押し潰されているとの説明を受けた。
どうやら肺炎を患っていたらしい。
ボクは医師に、
「何で?」
「今更、肺炎でしたでおしまい?」
「何で酸欠になるんだ?」
「人口呼吸気付けてたじゃん、そのための手術もしたじゃん?」
「脳幹が押し潰される程、脳が肥大しているんでしょ?」
「はいダメでした。と言うまで気付かなかったってことなの?」
全てが終わったと分かっていても、
納得出来なかった。
受け入れられなかった。
「山でも峠でも何でもない、もう死んでるんじゃん。」
ボクは父が息を引き取るまで、傍に居た。
少しずつ、肌の色が白くなり、紅色の唇、舌が白い肌と同色になって行った。
最後に母が包帯に包まれた父の両腕の見せて欲しいと医師に頼んだ。
医師は筋肉の組織が出ている箇所もあり、ショックが大きいだろうから・・
と躊躇していたが、見せて貰った。
見て、どうこうはないと思う。
きっと母の覚悟だったんだろう。
身を呈して自分を守ってくれた、彼の腕を見ておきたかったんだろう。
あれから一年が経とうとしている。
父がボクにしてくれたこと、
ほんの小さな日常の仕草、言葉がふと脳裏に甦る。
自分自身、まだ父の死を受け入れられていないのかも知れない。
曲がったことが嫌いで、頑固で、正直で、お人好しで・・。
きっと何年経っても、何十年経ってもずっと父はボクのこころの深いところに居るんだろう。
あの誇らしげな笑顔とともに。
車ネタでも何でもなく、丁度一年が経とうとしている今、
自分のこころの中を掘り下げて、故人を偲ぼうと思う。
面白おかしい文書ではないので、
重いの苦手な人はスルーしてください^^;
一年前、父が事故に遭い、帰らぬ人となった。
事故というと交通事故を連想されがちだけど、火災です。
実家の地下が父の職場であり、研究所でした。
父は電子工学?電気?ボクには全く理解出来ない類の知識、技術を備えた人。
一年前、父は研究中に発火させてしまった。
今まで手掛けた研究データ、設計書類、
そして、家屋が焼失するのだけは、何としても阻止しようと、父は己の身体を犠牲にした。
近くに置いたあった可燃物への引火を防ぐため、「手」で火を消したらしい。
火は収まり、父が助けを呼んでいることに母親が気付く。
救急車、消防車を呼んだ。
警察も来て、火災原因の事情聴取もされたみたいだ。
母からボクの携帯に連絡があったのは、それら全てが終わり、ひと段落した後だった。
父が運ばれた先は、緊急病院のICU(集中治療室)、
数分間の面会時間が許されたけど、この日は意識が戻ることはなく、
両腕を包帯で巻かれ、鼻、口元も火傷して痛々しかった。
まだ予断は許されない状態だが、まずは命を取り留めたことが何よりだった。
ただ、両腕の火傷による損傷が激しく、治ったとしても今後自由に指先を動かすことは困難かも知れないというのが、
その時の医師の見解だった。
父から繊細な指先の感覚が奪われてしまうかと思うと、堪え難い気持ちだ。
翌日、母から父の意識が戻ったとの連絡を受け、
自分の中で凄く安心した気持ちになったのを覚えている。
24時間体制で診てくれている医師、スタッフが居ることが心強かったし、
緊急病院のICUなので、何があっても大丈夫だろういう安心感があった。
週末、母を連れて病院に行った。
母は限られた面会時間のために、毎日電車とバスを乗り継いで病院に行っていたのに、ボクは自分の仕事の忙しさにかまけて、面会には毎日行けていなかった。
その月にカットオーバーを迎えるプロジェクトに追われていた。
ICUの扉を明け、病室に向かっていると、
看護婦さんに車椅子を押して貰っている父の姿があった。
丁度、お昼ご飯を食べる時間帯で、
若い看護婦さんにスプーンでお昼ご飯を食べさせて貰っている父。
基本女好きなので、幸せそうだ。
しかし、看護婦さんも他の患者さんをケアする必要があるため、
父だけに時間を割くことは出来ず、途中から母が食べさせることになった。
父と母はお互い照れながらも、何か幸せそうで、ほっこりした気持ちになった。
ただ、父は母の食べさせる順番が気に食わなかったのか、すぐ喧嘩になる。
見兼ねて、ボクが食べさせてあげることにした。
父に食事を与えるなんて、初めてのことだし、少し変な気持ちだ。
ゆっくり、そして少しずつ父の口元にスプーンを運び、ボクは父に訪ねた。
「何ですぐ逃げなかったんだ?」
「消火器あっただろ。」
呼吸器官も火傷で損傷していたため、うまく喋れない父。
ただ、ゆっくり声を振り絞って答えてくれた。
「・・オレ、守ったんだ。」
ボクは父に、
「分かった。」
「良くやったね!」と言葉を返した。
この時の父の笑顔は凄く誇らしげだった。
本当に素敵な笑顔、
ボクはこの時の父の笑顔を一生忘れないだろう。
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