
僕がサンタフェに行ったのは2000年の暮れ。
まもなく世界は20世紀が終わり、次の千年紀21世紀になろうとしていた年の瀬だ。
今からもう12年も前の事だ。赤土に囲まれた不毛の地、ニューメキシコ州で、ここだけは一輪の花が咲いたかのように、ぽつりと美しい街があった。
僕はこの街で一枚の絵と出会った。
その絵には「ジャイアント メッセンジャー ズ二」と書かれていた。
ズ二はニューメキシコ州にいるインディアン ズ二族の事だ。
サンタフェは感動的な程アートで出来た街で、多くのギャラリーが隣接する通りがあり、そこを一日歩いて左右のギャラリーに立ち寄るだけでアート心は満たされ、お腹一杯になる。
それ程アーチストフレンドな街だ。
市内にレストランも多く、食事は非常に美味しい。海がないのにシーフードは申し分なく、最高に美味しいワインは、どこのレストランに行っても気軽に提供してくれた。
僕はピンクアドービという名で築100年を超す見事なサウスウエストスタイルで出来たレストランで一度食事をした。その店も何を食べても本当に美味しかった。心に残る店の一つだ。
腹ごなしに散歩すると街中にギャラリ-があった。そこで気になる絵を見つけた。
それがこの写真の絵だ。
この店の店主はフォックスさんと言ってユーモアたっぷりのおじさんだった。色々話して親しくなり、しまいには「りえはウォーキー・トーキーだね」とジョークを飛ばしていた。
※ウォーキー・トーキーとは歩きながらトークが出来るモノ。すなわちトランシーバーの様なものの事だ。
「りえ」とは宮沢りえちゃんの事で、サンタフェで撮影を終えた彼女の透けるように美しい肌はまるで歩く陶器(ウォーキートーキー)の様だ。と彼はそれに引っかけた訳だ。
これは僕の壺に来てしばらく思いだし笑いも含めて愉しむ事が出来た。
そんなこぼれ話もあってこの絵を購入した後も、散歩は続き、その先にあった、素敵なHOTELがサンタフェの中心地プラザのそばに建つ、「LA FONDA HOTEL」だった。
そこは完璧なサウスウエストスタイルの外観で出来ていて、内装も完璧なホテルだった。
それはそれは、実にサンタフェらしいそのホテルのコリドーを、僕は完璧な満足と共に一周していたら一瞬空気がさざ波立った。なんとそこには、さっき購入したこの絵のオリジナルがあったのだ。
何と言う大きさ。なんと言う迫力。なんと言う質感。
僕は予備知識もなく、自分で「これいいなぁ」と思って買った絵のオリジナルを目の当たりにして自分の選択眼が曇っていなかった事を再び確認し、満足感に浸った。
ホテルの外のスターバックス珈琲で、珈琲を頼み、再びカフェラテを片手にその場に戻り、30分ほどオリジナルを眺めて過した。
そして日本に戻ってから、この古い質感のフレームを絵のサイズに合わせてオーダーメイドして作ってもらい部屋に飾った。 現在は息子の部屋に飾ってある。
「ジャイアント メッセンジャー ズ二」
このエゴンシーレの様な色彩。これがこのホテル独特の雰囲気にマッチしていた。
ゴーギャンの描く絵やこの絵の様なエスニック感は今の僕の家にはない。だからこの絵やゴーギャン達は息子の部屋を賑わせてくれている。ゴッホ、ゴーギャン、マネ、そしてこの絵。更にオリジナルの「オズの魔法使い」のポスター等で息子の部屋はカラーフルに満たされている。
芸術(アート)は財を満たすものでは、なく心を満たすものだ。
心に空腹感を覚えたら美術館にチャージしに行こう。
僕なんかは、家の玄関に置いてあるカンディンスキー(「空の青」の模写)によって、毎日チャージしている。
芸術は長く人生は短し。
Art Of Noise : Moments In Love:Who's Afraid Of? The Art of Noise !
ブログ一覧 | 日記
Posted at
2012/10/13 00:49:40