
『Jazz is』という一冊の本がある。
ジャズについて書かれた本は数あれど、きっとこの本以上にジャズの本流を汲む本はないだろう。
“ジャズの海”へと至る源流からその大河の流れまで網羅したこの「ジャズ イズ」をいつか読もうと思って過ごしたままにしてきたがふと、先日立ち寄った渋谷のタワーレコードで見つけ、ついに買ってしまった。読み始めからエキサイティングな本で読後の感想をここに記すのが楽しみな内容だ。
彼、ナット・ヘントフについて、いささかの知識も無い人の為に抜粋した紹介文を記す。
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アメリカを代表する屈指の批評家ヘントフ。
ボストンのジャズ・クラブでテナー・サックスを吹いていたという彼は、ハーヴァード大学大学院を卒業後、一九五〇年代から現在に至るまでさまざまな調査報道や批評を手がけてきた。
「ニューヨーク・タイムズ」や「ニュー・リパブリック」といったメジャーな新聞・雑誌において発言し、雑誌「ニューヨーカー」では看板記者として活躍。またジャズ批評の分野では最も定評のある「ダウン・ビート」誌の編集に携わり、最近ではニューヨークの左翼誌「ヴィレッジ・ヴォイス」の評論を執筆、テロ事件以降の政治社会問題を鋭く論じている。
ヘントフのいう自由とは、共同体主義に対抗するリベラリズムのそれであり、国家や群集心理といった集団的な権力に抗して、個人の市民的自由権を擁護するものだ。それは例えば、人種差別反対、不当な警察権力への不服従、学校における権威的な管理に対する批判、卑猥表現の権利擁護などに表れている。彼の視点がユニークなのは、その背後にジャズの音楽があるからであろう。
(中略)ジャズ批評は演奏家たちの生き様に密着するもので、自由の精神が躍動する現場をよく伝えている。ジャズは個と集団の絶妙なバランスから成り立つ。そしてそこに生まれる緊張感こそが、自由に新たな生命を吹き込む。ある意味でアメリカの自由とは、ジャズにスウィングしながら創造するプロセスに他ならない。
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さて、ナット・ヘントフの書いた「ジャズ イズ」だけど、この冒頭(序文)の一節がたまらない。
そこにはこう記してあった。
『この精神の音楽と、その神秘と、かぎりない魅惑に憑かれた人生を送った(もしくは今も送りつつある)人達。この魅惑の力は提供者と受容者の両方に働く事はもちろんである。ひとたびあなたがこの音楽の中に入れば、ますます深入りしたくなる。なぜなら、もう充分だということはありえないのだから』
In a sentimental mood - Duke Ellington and John Coltrane
Posted at 2012/09/03 22:32:52 | |
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