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DunkelBlau@R32の掲示板
【不安が生み続ける連鎖】
大阪府内の閑静な住宅街近くの保育園で、5歳の女の子を迎えに来た
父親が同じクラスの男の子を押し倒し、蹴飛ばす“事件”が起きた。

ことの次第はこうだ。
仕事が早く終わった父親が夕方、保育園に来たとき、子供たちは外で遊んでいた。
女の子は友人と遊んでいたが、けんかになり泣きだした。
それを数人の男の子がからかい始めた。
父親はしばらくその様子を見守っていたが、からかいが止まらないため、「しつこいぞ」と叱った。

それでいったんは収まったかに見えたが、数分後、まだ泣いている
女の子のところに1人の男の子が再び戻ってきて、何か話しかけた。
父親はそばにいた保育士に仲裁するよう声をかけたが、保育士の返答が
あいまいだったためついに自制できなくなり、怒鳴りながら男の子を追い回した。
最後は「ごめんなさい、ごめんなさい」と泣きながら逃げる男の子への暴行となった。

女の子の家は父子家庭で、父親は仕事から帰ると祖母から毎日のように
「この子は保育園でいじめられているらしい。迎えに行くといつも泣いている」と
聞かされ、心配でたまらなかった。
そしてこの日、目の前で泣くわが子の姿に逆上したのだという。

保育園では、男の子の怪我はたいしたことがなく、保護者も警察に被害届を
出したくないとの意向だったことから、父親からの謝罪で解決しようとした。
しかし、当の父親は「自分は悪くない」と譲らず、結局、謝罪もないまま卒園を迎えたという。
                  

言ったもの勝ち、やったもの勝ちの風潮がはびこる現代社会。
兵庫県のある小学校では、こんなエピソードもある。
中学受験を控えた6年生の親が「うちの子は塾通いで疲れているので、
授業中は寝かせておいて」などと“注文”をつけてきた。
「それは間違っている」という教諭の言葉は無視し、ついには「学校の勉強は
試験に関係ないから」と子供を通学させなくなったという。

大阪大学大学院人間科学研究科の小野田正利教授は、10年あまり前から
保護者の教育現場への「いちゃもん」(無理難題要求)に関する研究を続けている。
これまで小中学校や幼稚園、保育園を対象に行った調査で、教師側から示された
「いちゃもん」の事例は1,000件以上。

「うちの子は箱入り娘で育てたいから、誰ともけんかしないように念書を書け」(保育園)
「成績が下がったのは授業が悪いせいだ」(中学校)
「運動場でけがをしたのは誰かに押されたせいだ。うちの子は転ばない」(小学校)

「いちゃもん」を言われたときの教師の対応によって、保護者の怒りはますます
エスカレートしていく危険性がある。
小野田教授は言う。
「今の世の中は、こぶしを振り上げやすくなっている。昔もこぶしを振り上げる
人はいたが、一方で袖を引っ張ってくれる人もいたのだが…」。
保育園で暴行した父親のように、振り上げたこぶしをどう下ろしていいか分からなくなっているのだ。

こうした学校に対する「いちゃもん」の根幹には、自分の子供のことしか
考えず、ほかのことはどうでもいいという発想がある。
小野田教授は、そんな考え方を「自己中心主義」ならぬ「自子中心主義」と呼んでいる。

「自子中心主義の保護者は、ここ数年で急激に目立ってきた」という。
平成17年、関西地区の幼稚園、小中学校、高校、養護学校888校に対して行った
アンケート調査(回答数507校)では「『無理難題要求』(いちゃもん)が増えているか」との
問いに対し、「少し増えている」「非常に増えている」との回答が合わせて80%に上った。
また「無理難題と思われる現象が気になり始めた」時期は、「10年ほど前から」が37%
「5年ほど前から」が25%だった。

「自子中心主義」が蔓延する背景には親の不安が隠されている、と小野田教授は指摘する。
すなわち、仕事に追われてストレスを抱えている、少子化で「育児を失敗できない」
プレッシャーを受け続けるなどの親の姿が浮かんでくるのだ。

教師たちが「いちゃもん」だけに振り回され、ことの本質を見ようと
努力しなかった場合、解決も双方が納得できるものではなくなる。
いちゃもんをつける親をモンスターペアレントと呼ぶ人もいるが、
小野田教授はこの言葉は使わない。
人格を否定した言葉だからだ。

小野田教授はトラブルが起こったとき、「まず、話し合おう」と提案している。
トラブルは相手がSOSを発し、それをキャッチできた好機と考えれば、「話し合う」ことはできるはずだ。
話し合うための力を付け、良識について学ぶためのワークショップも全国で開いている。

「本当に子供の気持ちを考え、子供と向きあっている保護者は『自子中心主義』にはならない。
良識を逸脱した言動に対して、トラブルを避けるために過剰防衛したり、看過したりすることで
社会全体がおかしくなってくる。
そのツケは、子供たちにたまる。子供もはけ口が必要になり、陰湿ないじめなどにつながっていく」

「自子中心」の親が「自己中心」の子供を生む。
社会にじわりと広がる悪しき連鎖を断ち切る努力が、大人に求められている。
(武部由香里)


《メモ》
 ベネッセ教育研究開発センターが平成17年に行った
「義務教育に関する意識調査」の保護者を対象にした項目では
「子供が通う学校に望むこと」として多かったのは
「子供の学校での様子を保護者に伝える」(96.5%)
「学校の教育方針を保護者に伝える」(93.2%)
「保護者が気軽に質問したり相談できるようにする」
(90.2%)などだった。
【産経新聞 2007年1月11日】

かつて海を渡って来日した宣教師たちが、声々に賛美したものがある。
日本の「清潔さ」だ。
そのうちの一人、イエズス会神父のロレンソ・メシアは同僚に宛てた
書簡で「日本が清潔であることは想像もつかぬほど」と絶賛したうえで
「不潔はすべて大罪」とも綴った。


それから四百年余。
霊峰富士から公園、高速道路に至るまで、あり得ない場所にあふれかえるほどの家庭ごみがある。
モラルなど犬に喰われろ、というばかりに……。
 
東京都練馬区光が丘。
団地が林立し、およそ30,000人が生活を送る。
そんな彼らの憩いの場となっているのが、光が丘公園。
東京ドーム12個分の敷地面積を有する、都内屈指の広さを誇る都立公園だ。
 
年も押し迫った平成18年12月28日。
公園の一角に高さ2mを超えるごみの山ができあがった。
タイヤ、ベビーカー、シュレッダー、ストーブ、バンド演奏のドラムセット……。
昨年1年間で公園内から回収された不燃ごみの数々だ。
重量はゆうに4tを超えた。

「引っ越しシーズンには、衣類、家具など生活用品一式が丸ごと見つかります。
公園はごみ箱なのでしょうか」。
光が丘公園サービスセンター長の室星直史さんはそう語り、深いため息を漏らした。
廃棄物は業者に依頼し引き取ってもらうが、処理費用は1,000,000円を超えるという。
むろん血税が注がれる。
 
都立公園を管理する東京都公園協会によると、仏壇やペットの死骸など、
かつては想像できなかった“ごみ”が園内に放置されることもある。
いや、遠慮なしに廃棄されるのは、もはやごみだけではない。
室星さんはある日、「池でカメを飼い始めたんですか?」という連絡を受けた。
不思議に思って駆けつけたところ、仰天した。
「危険動物」に指定される「カミツキガメ」が、園内をわが物顔に闊歩していたのだ。

「やっかいなものを手放せたということで、捨てた人は安心かもしれませんが……」。
室星さんの表情はさらに曇った。
 

札幌市のベッドタウンとして発展する北海道江別市。
ここでは、市内の公園でちょっとした“騒動”が持ち上がった。
 
平成16年10月に家庭ごみ回収を有料化した途端に、公園に捨てられるごみが激増したのだ。
生ゴミをはじめ、大量の使用済みオムツなど、明らかに公園で出た物ではない廃棄物が、
ごみ箱を中心に溢れかえった。
収集が追いつかないことなどから、市では公園に設置していたごみ箱を501基から290基に減らして対応せざるをえなくなった。
 
有料化による指定ごみ袋の値段は1枚20~80円だが、それを惜しんでの【犯行】だ。
「ごみの減量化を目指した有料化ですが、なんだか切ない話ですね」と、市都市建設課の今野伸吾さんは、ぽつりと語った。
 

福岡県北九州市でも5年をかけ、バス停や市街地の路上に置いてあったごみ箱約1,200個をゼロにした。
ペットの糞や生ごみなどモラルなきごみの数々が、ごみ箱から溢れ出るようになったこと、それが原因の一つだ。
「収集所に捨てそびれた人が街のごみ箱に捨てていたのでしょうか」と同市業務課。
その問いかけには、憂いとともに怒りが帯びる。

今や注意するのも命がけだ。
ある自治体の清掃関係者は、“恐怖体験”を口にする。
サラリーマン風の中年男性がヒモで縛った雑誌を街路樹の下に捨てていく様子を目撃し、たしなめたところ
「お前、何を言ってるんだ殺すぞ」と逆ギレされたという。
「雑誌1冊で命を取られてはたまりません」。
悪貨は良貨を駆逐し、ごみは街に溢れていく。

 
四百年の時が流れ、「公共の場」に、家庭から出たごみを当たり前のように置いていく、そんな国に成り下がってしまった。
異国の人々を驚嘆させた、あの「清潔さ」を愛おしむ精神は捨て去ってしまったのだろうか。
「いや、きれい好きな国民性というのは、宣教師が訪れた時代から変わっていないように思うんです」。
こう語ったのは「京(みやこ)エコロジーセンター」(京都市)館長で、石川県立大学教授の高月紘さん(環境倫理学)。
では日本人の何が変容したのか。
「モラルの低下です。それにより「街の美」というものに関心が向かなくなったんですよ。
いつのころからか、『自分の周辺だけきれいだったら、それでいい』そんな考え方になってしまった」


《ひとくちコメント》
いま日本を席巻しつつある「我善し(=自己中心主義)」の風潮こそ、この国が滅びつつある兆候です。
この本ではその異常な実態の数々が浮き彫りにされています。
これこそ、もはや押し返すことのできない終末現象と見るべきでしょう。
ただし、そのことをもって落胆したり、悲憤慷慨する必要はありません。
この現実を直視しつつ、まずは自らを正しく律する姿勢が大切なのです。
(なわふみひと)
【産経新聞 2008年2月13日】

駅に隣接する都立公園に続く歩行者優先道路は駐輪禁止なのだが、
駅利用者や買い物客などさまざまな人が堂々と自転車を止めていく
=東京都練馬区光が丘

「駐輪は無料」の認識
都営地下鉄の駅周辺は放置自転車であふれかえっていた。
ここは東京都練馬区光が丘。
放置自転車が多いと聞いて訪ねたが、想像以上の数に驚かされた。
もちろん一帯は駐輪禁止。
東京都などによると放置自転車は多い時で約4,000台になるという。

時刻は夜8時。
歩行者優先道路であっても、家路を急ぐ人たちは放置された自転車のために真っすぐに歩くことができない。
スーパーの出入口は放置自転車でふさがり、利用者は回り道を余儀なくされている。
駐輪場は徒歩で数分、自転車なら数10秒の距離にあるのだが…。

駐輪禁止の看板の前で、自転車のロックを外す女性を見つけた。
自分の自転車がたくさんの自転車に囲まれて出しにくくなっているのに憤慨している様子だ。
思い切って声をかけてみた。
「近くに駐輪場があるのに、なぜここにとめるのですか?」
「なんであんたにそんなことを言われなきゃいけないの! どこにとめようが私の自由でしょ」
いきなり“逆ギレ”の言葉を浴びせられた。
女性はおかまいなしに周囲の自転車をどけて走り去った。
どかされた自転車は歩道に無造作に置かれたままとなった。

別の女性会社員(39)は質問に答えてくれた。
朝7時半過ぎ、約1km離れた自宅から長男(5)を自転車に乗せてここまで走り、スーパーの前に
自転車を横付けし、保育園に子供を預けて出勤。
夜7時前後に駅から徒歩で長男を迎えに行き、スーパーで買い物。
自転車の前かごに買い物袋、後ろに長男を乗せて帰宅。
長男が3歳の時、一戸建てを購入し、車は住宅ローンがきついため手放した。
徒歩だと子供連れでは自宅まで20分はかかる。

駅の隣に有料駐輪場があるのも知っているが、「1回100円? 撤去に4,000円? 
自転車にお金は払いたくない。駐輪場まで行くのが面倒だし」と悪びれた様子はない。

近くに住む主婦(26)は「幼稚園に通う子供が、将棋倒しになった自転車に
足をぶつけてけがをした。危ないし見た目も悪い。何とかしてほしい」と訴える。


都市部の駅周辺は『駐輪禁止』を示す看板をあざ笑うかのように、
一日中、自転車が放置されている場所が少なくない。
東京都青少年・治安対策本部の調査では、都内の放置
自転車数のワースト5は
(1)赤羽駅(2,076台)
(2)池袋駅(1,807台)
(3)大塚駅(1,756台)
(4)光が丘駅(1,663台)
(5)吉祥寺駅(1401台)。

光が丘駅周辺は大型スーパーと50ha.超の都立光が丘公園が隣接。
駅前の一般道路は同区が条例で放置禁止区域を設け、放置自転車は条例違反として強制撤去し、返却手数料として1台4,000円徴収する。
だが、公園に通じる歩行者優先通路は都立公園の一部となり、放置禁止区域を指定できず、強制撤去も自転車返却の手数料徴収も原則としてできない。
それだけに、地域住民のマナーがストレートに表れるともいえる。

駅周辺で早朝や夕方、自転車整理をしている70代男性によると、整理中に「人の自転車に触るな」と
罵られ、駐輪場に誘導しようとすると「うるさい」と一喝されることは日常茶飯事。
スーパーのカートを押してきて、荷物を自転車の前かごに移し、自転車と
“交代”とばかりに平然とカートを置いていく人も多いという。

練馬区によると、駅周辺の区立の駐輪場は計4カ所で3,300台分。
多くは有料だが、自転車なら2、3分の場所に無料駐輪場も。
満車は一時的で平均稼働率は約8割。
同区の担当者は「撤去した自転車を取りに来た人は自分の違反は棚に上げて職員に『ドロボー』と怒鳴るんですよ」と嘆く。

放置自転車対策が進んでいる地域もある。
東京都江戸川区は今年4月、東京メトロ東西線葛西駅前に、収容台数で国内最大の駐輪場をオープンする。
また三鷹市は平成18年、8億円超をかけて、JR三鷹駅から徒歩3分の場所に、1,700台収容の有料の地下駐輪場を新設した。
すでに駅から徒歩10分以内に13カ所(4,400台分)の駐輪場があったにもかかわらずだ。
同時にバスの停留所に駐輪場を設置し、駅に乗り入れる自転車の数を抑える仕組みもつくった。
その結果、駅前の放置自転車は平成17年度の750台から1年後は515台と30%以上減少した。

フランス・パリ市はヴェリブとよばれる自転車貸し出しシステムを昨年7月から開始。
市内約1,500カ所で約2万台の自転車を事前に登録した市民に24時間・年中無休で貸し出すもので、市が広告代理店と
契約し、運用コストの大半を広告費でカバーする仕組みで、大都市を抱える各国から注目されている。

放置自転車ではないが、もっと悪質な例もある。
横浜市都筑区の遊歩道で散歩をしていた67歳の男性が後ろから来た自転車と接触した。
男性は転倒し、左目の下の骨を折って2週間入院する大けがを負った。
自転車の若い男は「すみません。後でここに連絡をください」と電話番号を書いた紙を男性に渡して走り去ったが、番号はでたらめだった。
こうなると自転車は凶器でしかない。

横浜国立大学工学部の中村文彦教授(都市交通計画)は「自動車と同様、自転車に乗る人にも
ルールを守る義務があるが、それをわかっていない人が多すぎる」と苦言を呈する。

解決策として、自転車防犯登録の厳格化
▽車の免許更新時に交通事故の映像を見せるような啓発活動の強化
▽中高生に対する自転車のマナー教育を徹底-を示す。
「自治体も管理区域を細分化して、多少見栄えが悪くても駐輪場をつくるべきです」
自転車は近年、環境に負荷をかけない点で注目されている。
きれいな道路や公園、立派な商業施設があっても、そこに自転車が乱雑にとまっていては安全ではないし、地域の
モラルの低さがあらわになったかのようでみっともない。
環境や街の美観を守ることがタダではないことを思い知るべきでないか。
(小川真由美)
    
《メモ》
警察庁によると平成18年の自転車事故は174,262件。
交通事故全体の約2割を占め、10年前(平成8年)と比べて24.7%増加。
自転車乗車中の死者数は812人で65歳以上がその約6割を占める。
負傷者は16~24歳が最も多く21.5%。
次いで15歳以下が19.7%、65歳以上が17.2%。
自転車側に法令違反があった割合は全体で67.9%。
死亡事故では76.3%とさらに高くなっている。
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