【毎日新聞 2011年3月4日(金)20時52分】
熊本市のスーパーで3日夜から3歳女児が行方不明になり、熊本県警は4日、熊本市
兎谷1、私立熊本学園大学2年 山口芳寛 容疑者(20)を死体遺棄容疑で逮捕した。
山口容疑者の供述に基づき、同市八景水谷(はけのみや)1の坪井川そばの排水溝で女児の遺体を見つけた。
山口容疑者は「身障者用トイレで女児の首を手で絞めて殺害し、川に遺棄した」と供述しており、県警は動機などを追及する。
県警によると、女児は熊本市清水東町、介護士、清水誠一郎さん(39)の長女で、私立清水ケ丘保育園児、心(ここ)ちゃん(3)。
心ちゃんは3日午後7時20分ごろ、誠一郎さんと母真夕(まゆ)さん(38)、兄(5)の4人で
熊本市高平のスーパー「エース清水バイパス店」に来店。
同7時半ごろ、店内のトイレに行ったまま行方が分からなくなり、同8時ごろ、真夕さんが110番した。
県警が調べた結果、トイレ近くの防犯カメラに、心ちゃんがトイレに入った約1分後に
リュックを背負った男がトイレに入り、約15分後に男が出る姿が映っていた。
心ちゃんが出てくる場面はなく、男のリュックは膨らんでいた。
心ちゃんは清水さん夫婦がレジで精算していた時に1人でトイレに行ったという。
県警がこの映像をもとに市内の高校や専門学校などに聞き込み捜査をした結果、山口容疑者が浮かんだ。
4日午後にスーパー近くの自宅にいる山口容疑者を見つけ、任意同行。
山口容疑者は心ちゃんを殺害したことを認め「殺した後はリュックに入れ、自転車で
川まで運んで捨てた」などと供述したという。
遺体が見つかった排水溝はスーパーの北北東約500メートル。
心ちゃんの着衣は行方不明になった時と同じだったという。
山口容疑者の自宅はスーパーの東北東約1キロ。
スーパーの防犯カメラには、3日午後4時ごろから山口容疑者とみられる男が
映っており、県警は山口容疑者が女児を捜していた可能性があるとみて調べている。
現場となったスーパーは熊本電鉄北熊本駅の北約1キロの国道3号沿い。
山口容疑者の自宅と心ちゃんの自宅は直線距離で約400メートルしか離れていなかった。
【澤本麻里子、遠山和宏】
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【毎日新聞 2011年3月5日】
熊本市のスーパーで3日夜から3歳女児が行方不明になり、熊本県警は4日
私立熊本学園大学2年生、山口芳寛 容疑者(20)を死体遺棄容疑で逮捕した。
4日夜に会見した熊本学園大学によると、山口容疑者は2009年4月に
社会福祉学部福祉環境学科に推薦で入学。
2009年5月に熊本県水俣市であった水俣病を学ぶフィールドワークに
参加し、同年7月には「障害のある人への理解が深まったので、手伝い
できるような仕事をしたい」と障害のある
学生の手伝いをするサポーター制度に応募していた。
2009年11月中旬から演習や授業に出席しなくなったが、同大の荒井勝彦
学生部長は「学生生活全般で相談を受けていたようなことはない」と話した。
2年前に卒業した私立文徳高(熊本市)の横田尚也教頭は「礼儀正しい子だったと
記憶している。信じられない」と沈痛な面持ち。
2年生から3年生にかけて1年間、生徒会の環境美化委員として花壇の世話などをしていた
といい、当時の生徒会顧問は「まじめな性格で積極的に生徒会活動をしていた」と話す。
自宅近くの60代男性によると、山口容疑者は両親と高校生の弟の4人暮らしで7、8年前に
一家で引っ越してきたという。
男性は「朗らかで、よくあいさつをする子どもだった」と驚いた様子だった。