浜松市の浜名湖で2010年6月、訓練中のカッターボートが転覆し、愛知県豊橋市立章南
中1年の西野花菜さん(当時12歳)が死亡した事故は、県警が12日、県教委の元課長ら6人を
業務上過失致死容疑で静岡地検浜松支部に書類送検したことで一つの節目を迎えた。
県警は、訓練の当事者だけでなく、県教委や指定管理者の管理・運営責任にも
踏み込み安全管理のあり方に警鐘を鳴らした。
書類送検されたのは、訓練を行った県立三ヶ日青年の家を設置した県教委の釈精子
社会教育課長(59)や青年の家の指定管理者「小学館集英社プロダクション」(東京都)の
担当者(61)、青年の家の檀野清司所長(55)、章南中校長(62)=肩書はいずれも事故当時=ら。
発表によると、釈課長ら3人は、訓練の安全を確保し、事故防止策を講じる注意義務を怠り
檀野所長や校長ら3人は、大雨や強風、波浪注意報などが出て荒天が予想されたのに注意義務を
怠って漫然と訓練を実施し、西野さんを死亡させた疑い。
県警の捜査は、事故発生から2年8か月に及んだ。
訓練の当事者だった檀野所長らのほか、気象注意報発令時の訓練中止基準がないなど不十分な
マニュアルしか作成させていなかった県教委などにどこまで責任を問うかが焦点だった。
ある県警幹部は「現場の責任だけを問うなら、捜査は1年もかからなかった」と指摘。
別の捜査幹部は「施設の運営が指定管理者に任せきりになってしまうことへの
警鐘を鳴らす意味もある」と説明する。
国の運輸安全委員会は2012年1月に公表した事故報告書で、小学館
集英社プロダクションや県教委に訓練の改善を求める勧告を行った。
これを受け、同社は今年1月までに、気象注意報発表時の訓練中止基準や
緊急時の対応マニュアルを策定、県教委もこれまで行っていなかった
えい航訓練を同社に実施させることなどを決めた。
青年の家では現在、宿泊事業やハイキング、サイクリングなど陸上での訓練は
行っているが、ボート訓練は中止したままで、再開のめどは立っていない。
西野さんの両親は2012年5月、豊橋市や小学館集英社プロダクション、静岡県に
計約6800万円の損害賠償を求めて名古屋地裁豊橋支部に提訴したが
同12月までに和解が成立した。
◇書類送検を受け、西野さんの父友章さん(53)は12日、愛知県豊橋市役所で記者会見し
「豊橋市は市や学校に法的責任はないと、あいまいな姿勢に終始してきた」と批判。
「書類送検で、こうした言い方はもう出来ないだろう。今後は再発防止に
きちんと取り組んでほしい」と訴えた。
これに対し、豊橋市の加藤正俊教育長は「内容を確認しておらず、コメントできない」としている。
一方、静岡県の安倍徹教育長は「重く受け止めている。設置者として何をしなければならないか
書類送検された内容を踏まえ、再確認する必要があると思っている」と話し、檀野所長は取材に
「事故については申し訳なく思っており、今後も捜査に協力していく」と言葉少なに語った。
小学館集英社プロダクションは「個人の責任ではなく、会社としての責任を
痛感している。今後も会社全体で対応したい」とコメントした。