意識戻らぬ児童の家族、改めて怒り…宮崎
【読売新聞 2013年9月27日】
自動車運転過失傷害罪などに問われた竹内実信被告(76)に宮崎地裁都城支部が懲役1年2月
(求刑・懲役2年)の実刑判決を言い渡した26日、宮崎県えびの市で軽トラックではねられた
児童3人のうち、今も意識が戻らない山下璃空(りく)君(9)の家族は「息子には何の落ち度もない。
どうしてこんな目に遭わなければならないのか」と改めて怒りをあらわにした。
「今日の天気は晴れだよ。昨日ね、璃空の大好きな本田圭佑選手の
活躍で、日本代表がワールドカップ進出を決めたよ」
父親の広毅さん(33)と妻の美千代さん(33)は毎朝、璃空君の耳元で日付や
家族の様子、大好きなサッカーの試合結果などを報告する。
喉にタンが詰まらないように見守り、看護師を手伝って着替えや頭を洗うこともある。
日中のほとんどを病室で過ごし、夜は2人の娘の食事や入浴の世話のため、交代で
璃空君のそばにいる。
広毅さんはえびの市の建設会社を休職して間もなく10か月になる。
そこまでするのは「あと何年一緒にいられるか分からない璃空と一緒にいたい。
後になって後悔したくない」と思うからだ。
「一瞬でも目を開けてくれれば」「指の1本でも動いてくれれば」と
願い続けているが、思いは届かない。
「今、璃空が動いたよ」「違う。ベッドが揺れただけだ」。
夫婦はそんなやりとりを繰り返してきた。
長女(5)は璃空君の入院後、通っていた保育園で、突然叫んだり、泣いたりするようになった。
ショックによる心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。
回復しつつあり、今は璃空君が好きな人気漫画「ワンピース」を一生懸命読んでいる。
「目を覚ましたら、今まで読めなかったお話を全部教えてあげたい」と話しているという。
広島にいる広毅さんの友人を通じて、Jリーグ・サンフレッチェ広島の選手は
サイン入りのサッカーボールをプレゼントしてくれた。
璃空君の話を聞いたエースストライカーの佐藤寿人選手が取りはからってくれた。
「元気になったら一緒にサッカーをしよう」と伝言も頼まれた。
璃空君が通学していた加久藤小や所属していたサッカーチーム「加久藤FC」のメンバーも
「RIKU」と名前の入ったユニホームや寄せ書きをプレゼントし、回復を願っている。
判決では、竹内被告が認知症の疑いから運転をやめるよう言われていたにもかかわらず
運転を継続したことについて「非難を免れない」と指摘した。
広毅さんは判決後、「危ないと分かっていながら運転する本人も、それを認めた家族も許せない。
多くの人が璃空を応援してくれるのはうれしい。
ただ、どうしてこんなに苦しまなければならないのか」と話した。
(水木智)