ようやく犯罪に見合った刑罰…少年法改正で遺族
【読売新聞 2014年04月11日 22時31分】
罪を犯した少年の刑罰を引き上げる改正少年法が11日、参院本会議で可決、成立した。
有期刑の上限を最長20年とすることなどが柱で、5月にも施行される。
法改正を求めてきた少年事件の遺族らは記者会見を開き、「ようやく犯罪に
見合った刑罰が定められた」と評価した。
改正法は、殺人など成人の無期懲役刑に相当する犯罪について、犯行時18歳未満の
少年に言い渡す懲役または禁錮の有期刑の上限を、15年から20年に引き上げた。
また、判決時20歳未満の少年に言い渡す不定期刑の上限を、「5年以上、10年以下」から
「10年以上、15年以下」に変更した。
これまでは、無期懲役刑の次の刑が最長でも15年だったため、被害者らから
「軽すぎる。厳罰化が進む成人の刑とも釣り合わない」などの指摘があった。
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有期刑上限20年に引き上げ…改正少年法が成立
【読売新聞 2014年04月11日 18時56分】
少年による重大犯罪の厳罰化を柱とする改正少年法が11日午前
参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。
成人なら無期懲役に当たる罪を犯した18歳未満の少年に言い渡せる
有期刑の上限と、判決時20歳未満の少年に言い渡される不定期刑
(刑期に幅を持たせた刑)の上限を、いずれも5年引き上げた。
5月にも施行される。
少年法はこれまで、少年更生のため、
(1)殺人などで成人なら無期懲役になる罪を犯しても、犯行時18歳
未満であれば10年以上15年以下の有期刑に緩和できる
(2)成人なら3年以上の有期刑に当たる罪を犯しても、判決の時20歳未満ならば
5年以上10年以下を上限とする不定期刑にする
としてきた。
改正法は、
(1)の有期刑を10年以上20年以下に、
(2)の不定期刑を10年以上15年以下に、それぞれ変更した。
仮釈放の条件は、現行の「3年経過後」から「刑の3分の1が経過後」に厳しくした。
一方、少年の権利保護のため、国費で少年に弁護士がつく国選付添人制度の
対象事件は、これまでの殺人や強盗など重大犯罪だけでなく、窃盗や傷害などにも
拡大した。
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改正少年法成立「厳罰化ではなく適正化」 被害者の会が会見
【産経新聞 2014.4.11 14:50】
改正少年法案が可決、成立したことを受け、少年犯罪被害者の会の武るり子代表らが11日
午前、東京・永田町の衆議院第二議員会館内で記者会見し、「今の少年法では、重い罪に
あたる少年事件が起こった場合、見合った罰を与えることが難しい。今回の改正は一部だが
その選択肢を広げるものであり大きな意味を持つ」と述べ、法案の可決を評価した。
「成立するところを実際に見られてよかった」と切り出した武さんらは
「いつも厳罰化という言葉を使われるが、厳罰化ではなく適正化言ってほしい」とし
「少年法のことでは、いつも厳罰か保護処分か、という出口の話にしかならないのが悲しい。
犯人を捕まえてしっかり捜査し、事実認定して、罪に見合った罰を与える。
これが適正化であり、われわれは刑罰のことばかり言っているわけではない」と訴えた。
また、武さんらは「加害少年の社会復帰のことが言われるが、1人ひとりに見合った
矯正教育ができていないのではないか。今回、刑が引き上げられたが、重い罪を
犯した少年は『大変なことをやってしまった』と感じると思う。
刑を引き上げることは、人として生きていくための教育と思う」と話した。
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改正少年法が成立 刑の上限引き上げ
【NHK 2014年4月11日 10時39分】
殺人や放火など重大な罪を犯した少年のうち、犯行時に18歳未満だった少年に対し、無期懲役に
代わって言い渡すことができる刑の上限を現在の15年から20年に引き上げるなどとした
改正少年法が11日の参議院本会議で可決・成立しました。
改正少年法では殺人や放火など重大な罪を犯した少年のうち、犯行時に18歳未満だった少年に
対し、無期懲役を言い渡す場合、現在は10年から15年の有期刑に緩和して言い渡すことが
できるとしている条項を改め、刑の上限を20年に引き上げるとしています。
また、刑期に幅を持たせて言い渡す不定期刑についても、刑の上限を現在の
10年から15年に引き上げるとしています。
一方、罪を犯した少年の権利保護を手厚くするため、少年に国費で弁護士をつける
「国選付添人制度」の対象を、これまでの殺人や強盗などに加えて、窃盗や傷害などにも
拡大するとしています。
改正少年法は11日の参議院本会議で、賛成多数で可決され、成立しました。
少年法を巡っては、事件の遺族などから「成人に比べて量刑が軽すぎる」などとして、
厳罰化を求める声が出されていて、11日の参議院本会議場では少年による暴行事件で
息子を失った母親らが採決の様子を見守っていました。
谷垣法務大臣は閣議のあとの記者会見で、「今回の法改正は少年に対する科刑を一律に
引き上げて厳罰化を図るものではない。現在、少年に対する不定期刑は上限が10年だが
無期懲役との間に差がありすぎて、『なだらかな科刑ができない』という声が裁判の
現場からも聞こえていたので、少年に対する適切な科刑を可能にするものだ」と述べました。
「少年に責任の重さ教えること大事」
少年法の改正を訴えてきた「少年犯罪被害当事者の会」代表の武るり子さんは記者会見で
「遺族にとっては大切な家族の命を失ったという問題であり、法改正はとてもよかったと思います。
少年刑務所にいる期間が長くなると社会復帰の妨げになるとの意見もありますが、少年に
責任の重さを教えることは大事なことです。
今の更生教育には課題が多いと思うので、今後、少年の更生の在り方についても考えていきたい」と
話しました。
「長期の刑罰は社会復帰困難に」
日弁連=日本弁護士連合会の村越進会長は、「未成熟な少年にとって長期の刑罰を科すことは
社会復帰を困難にし、再び罪を犯すリスクを高めるおそれがある。『国選付添人制度』の対象が
拡大されたことは大きな前進だと評価できるが刑罰の適用は少年の更生と再犯の防止に
十分配慮すべきだ」という声明を出しました。