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2021年06月09日

人車共OH中 - 日野コンテッサ1300 GR100 エンジン クランクシャフト リファービッシュの道 (2021.6.8)

人車共OH中 - 日野コンテッサ1300 GR100 エンジン クランクシャフト  リファービッシュの道 (2021.6.8)  画像のクランク、CTとあります。これは、今は無き米国ロサンゼルス郊外にあった “C-T Automotive” 社の刻印です。

 日野自動車が1966年当時、日野コンテッサのレース活動を託したピート・ブロックさんのBRE社が試作したクランクシャフトで、その制作を請け負ったのがC-T社という訳です (2020.3.31:人車共OH中 - クランクシャフトのミステリー)。

 以下はこのクランクシャフトのリファービッシュの道のりです。

DAY:2019年11月1日

 このクランクシャフト 、1970年代、東京都下とあるところの軒下で雨晒しに遭いっていました。短い期間でしたがジャーナルに錆が入ってしまいました。とにもかくにも悪くならないうちに、2ヶ月ぐらい説得の末、レスキューしました。それ以来、およそ45年くらい温存しておりました。

 ここに来てどうしてもこのクランクシャフトで走ってみたいと、リファービッシュする決意をしました。内燃機屋とも現物をもってどう対処するか議論しました。最大1mm (直径) 、すなわち表面、0.5mm程度の研磨が必要との判断になりました。



DAY:2019年11月30日

 錆をサンダーやヤスリなどで研磨をする気は毛頭ありません。まずは錆をどう除去あるいは軽減するかをネットでリサーチしました。世界中で多くの皆さんがチャレンジしており、
CORVAIR AIRCRAFT ENGINE CONVERSION
と、言う個人のサイトを隅々まで読ませていただきました。電解錆除去というもので、メッキと反対の原理です。ここではGMのシボレーコルベアの6気筒空冷エンジンをジャックヤードから買い上げ、飛行機に搭載する一連のストーリが描かれていました。およそ4年かけてエンジンが回るようなったようです。

 4年はずいぶん長いと思いましたが、自分のクランクの修復だけでおよそ1年半を費やしてしまいました。

 先達の情報から、以下のような部材を調達、衣装ケース、炭酸ソーダ、鉄棒、銅ワイヤです。画像左のARMのベーキングソーダは手持ちでこれも炭酸ソーダですが、量がたらないのでモノタロウから袋詰めのものを調達しました。



DAY:2019年11月30日

 衣装ケースに電極となる鉄棒をセット、これはマイナス(白ワイヤ)。そして錆除去対象のクランクシャフトを中に吊り下げます。こちらはプラスです(赤ワイヤ)。



DAY:2019年11月30日

 そしてプラス&マイナスに電圧をかけます。これは50年もののバッテリー充電器を使用。当初は12Vで2~3A、そしてある程度したらもっと低電流にと、6Vに切り替えました。



DAY:2019年11月30日

 電圧をかけて数十分、錆でしょうか、どんどん吹き出てきました。



DAY:2019年12月3日

 そして72時間後、取り出しました。本当は48時間くらいとありましたが長めにしました。炭酸ソーダ液は錆色で埋まっています。取り出したクランクは画像の通り、気持ち、表面が綺麗になったように気がします。



DAY:2019年12月3日

 そしてすぐに水道の水で洗浄しました。なるほど、表面が荒れてなくておとなしくなったように心なしかそう思います。



DAY:2019年12月3日

 炭酸ソーダ水や錆を呼び寄せた電極に使った鉄棒が画像のようにすごい状態になってます。まあ、よくもこんなに吸い取ったものだと、びっくりです。化学と電気のなせる技なのでしょう。



DAY:2020年1月6日

 クリーンアップ。WD40を吹いて600番サンドペーパーで表面を整えました。600番というのは荒いではないかと思われますが、昔のテクニカルな雑誌のイタリアのマセラッティの競技車両のクランクのセッティングに書かれていたそのままです。



DAY:2020年4月4日

 そして暇を見つけてはあるいは気の向いた時間にクランクのカウンターなど表面の取れてない錆や鋳造肌を整えました。軽量化やポリッシュではありません。あくまで面を整える、オイルなどの流れを妨げないという範疇です。



DAY:2020年5月17日

 画像は2020年5月17日ですがその後もシコシコを表見を撫でるようにクリーンアップしました。そして何と約10ヶ月を経た2021年2月で一連のプロセスを終えることになりました。もっともこの間、並行してコンロッドなどもろもろいろいろな作業もありました。これで他の部品と共に内燃機屋に託しました。



DAY:2021年5月7日

 内燃機での加工、ブロックやコンロッドの精度に問題があり再度持ち込んだり、いろいろと紆余曲折がありました。およそ2ヶ月を経て加工が完了しました。

 まずは満足の仕上がりです。この先、ディテールな作業をしなければなりません。まだまだいばらの道は待ってると思いますが、楽しみです。

 米国のコルベアのエンジン改修作業に4年、ここに来てそれが判るような気がします。自分が乗る飛行機や自動車も世界中でこれだけ自分自身で修復、これってロマン?、しかし乗り物は共に命がかかってます。これは模型趣味などとまったく考え方が違うところです!



 以下は、今回、参考にした電解での錆除去に関する参考にしたサイトの一覧です:

CORVAIR AIRCRAFT ENGINE CONVERSION

Rust Removal Using Electrolysis

Electrolytic Rust Removal</strong>

Electrolytic Rust Removal Aka Magic


 以上、

 参考:このクランクを使っていたのが次の車両です。1967年1月当時の日野のPRにも登場してました!実はBREがこのクランクを使用したのは1966年10月末のシーズン最後のL.A. Times GPのみで、謂わば初優勝を賭けた『崖っぷちの勝負クランク』だったのかもと分析します。



(以上、コンテッサのブログより)
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2021/06/09 14:16:04

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この記事へのコメント

2021年6月9日 19:35
これは面白い!

質問です。
>> 1970年代、東京都下とあるところの軒下で雨晒しに

何故クランクだけがそこにあったのでしょう?
シリンダーブロックとかヘッドは何処に?
コメントへの返答
2021年6月10日 12:12
こんばんは、

その持ち主は (1972年?)コンテッサクーペのライトウエィとのレーシング1台を購入しましたが、五木小説のイカルガの何とかのように最後には思い余って八つ裂きにしてしまいました。もちろん、エンジン、ミッションもバラバラにしてました。

ボデーなどは大きな部位は解体屋に、小物部品だけが軒下に残され待てました。彼の気持ちは分かっていたので、残った部品がくれとは言っても首は縦に触れることありませんでした。そのままに朽ち果てるだけでした。

説得の末、貴重な宝物を拾うように、雨晒しになって残っていた貴重なエンジンパーツを中心に何点か頂きました。

実はこの貴重なCTのクランク、当時は知る由がありませんでした。このエンジンを当時メンテしていたDELの方からはBREが残して行ったエンジンに荒れたエンジンとおとなしいエンジンがあるよと聞かされていました。これは後者の方だと分析します。

それは後になって”CT"の刻印があることでいろいろ判明しました。このクランクの入ったエンジンは日野のベンチでもテストされて、データもちゃんと残っております。

1967年の第4回日本GP前のFISCOでの日野貸切のテストで2分26秒台で当時の日野プロトに近いパフォーマンスが出たという記録も残っています。そう、その前の1月の船橋の全日本ドライバーズ選手権はこのクランクでダンハムさんが優勝してます。

いろいろ、歴史がありすぎて、で、貴重な生証人故に何とかしたいと思っております。
2021年6月9日 20:55
こんばんは。コンロッド、すごいですね。理科の実験装置、これまたすごいです。あんなに、サビを引き付けるんですね。エンジンの完成、心より楽しみにしています。そして、ビ筑でいっしょに走りましょう。
コメントへの返答
2021年6月9日 21:35
こんばんは、

やはり、学校での少し原理を学んで生きた実験って重要ですね!

まだまだ道半ば、しかし、心がはやります。

ビ筑、楽しみに頑張ります。
2021年6月9日 21:33

オリジナルとCTの差異を分析するとチューニングの考え方が分かるのではと思いました。
オイルラインやバランスの取り方等々ノウハウがありそうですね。
錆び取り後のクランク、径の変化に影響がなければありがたいですね。
径が痩せた場合はクロムメッキというやり方もありかと思います。

錆び取りで思い出しましたが廃糖蜜でリン酸を作りサビを取るやり方も
ある様です。
https://www.youtube.com/watch?v=b-_z4tinnXk&t=3s
コメントへの返答
2021年6月10日 8:31
こんばんは、

CTのクランクでのチューニングは難しい問題はありません。その検討、そして結論が少し前に掲載したシミュレーションです。

硬質クロームは内燃機屋との話で最初に❌としました。理由は簡単で金との兼ね合い、それだけです。

錆び取りも参照したように実績ある方法としました。それもアマチュアをしてです。世界にはいろいろな人間が頑張っていることが頼もしいと思いました。

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