ミステリーアリーナ

このミス2016で第6位の作品。
私は人物や時代背景を濃密に描写するような作品は嫌い。単純にミステリーはミステリーらしく殺人トリックを悩み、解き、結末に驚くものが読みたい。

それで、この作品を選んだのだが少し趣旨が違ったようだ。

ミステリーを題材にしたアクション小説というのが正しいだろう。



ミステリーアリーナという毎年年末に行われる高視聴率番組。今年が10回目だ。
正解者には賞金2億円、今年はキャリーオーバーで20億円。つまり今迄誰も正解者がいない。（ここがミソ）

生放送でミステリー小説を読み上げて行き、回答者が分かった時点で答える。同じ回答なら早い者勝ち。

回答者は14名居て、ストーリー、回答の順で各章が進む（回答がないターンもある）

各章毎に回答者が出るというのは完全なご都合主義だが、それも基本ストーリーへの伏線だったのだ。


【完全ネタバレ】

なんと！このミステリーには15通りのラストとそれに分岐するストーリーが用意されている。

そして回答される度に、それが正解にならないようにストーリーが分岐して進む。

そう！必ず正解者が出ないようにするのだ！

15通りの正解の内、回答者が出ないように回避して残った1つが正解となる。

題材のミステリー自体は大した事はない。この番組のトリックこそが最大のミステリーである！

回答の過程で正統派ミステリーのルールからするとこれは無いとか結構皮肉もタップリとある。そういうブラックジョークを楽しむのがいい。

ミステリーを読み続けて、たまにはミステリー小説自体をネタにして笑い飛ばしたい。

そういう人にオススメです(*^o^*)