2019年8月9日から14日までの旅の記録
前回2018年の10月に北海道南部の釧路埼灯台と襟裳岬灯台を訪れたのに
続いて、今回は神威岬灯台(積丹)と焼尻島灯台(焼尻島)を目指す。
メインの目的は、北海道の灯台放送局であった4灯台のうちの比較的北部に
あるこの2灯台を訪れ、いつものように受信証と同じ構図の写真を撮ること
である。
前回は飛行機で釧路まで飛び、そこからレンタカーで回ったわけだが、
今回は冒頭の写真の通り、バイクである。せっかくバイクで北海道へ行く
のなら、さすがに灯台だけ回って帰ってくるのではもったいない。
なので夏季休暇を利用した北海道ツーリングと相成ったわけである。
前置きが長くなるが、
それにしてもこのお盆の時期に北海道へ向かうフェリーを予約することが
これほど大変なことだとは知らなかった。他のいくつもの航路の予約に
チャレンジしては敗北を重ね、最終的には幸運にも大洗~苫小牧の往復
が取れたが、キャンセル待ちでなんとか取れたという状態だった。
この大洗~苫小牧というのが後に明暗を大きく分ける結果となるのである。
さて、この大洗~苫小牧航路はご存知の通り三井商船フェリーのさんふらわあ号
(13,816トン)である。客室は一応個室になっているコンフォートである。
ご覧の通りテレビもついており、カーテンを閉めれば完全にプライベート空間に
なるため快適に過ごせた。レストランやShop、大浴場もあり、長時間の船旅でも
楽しめるようイベントなどが行われていたが写真は撮っていない。
8月9日の19:45に大洗を出航、翌10日の13:30に苫小牧に到着、その足で
まずは帯広に向かい、前回も食事をした帯広の老舗「はげ天 本店」で
気になっていたかき揚げ丼をいただいた。
今、十勝地方はNHKの朝ドラのおかげで観光客が増えているそうだ。
初日は帯広から夕張まで戻り宿に入った。
2日目の朝、神威岬に向かう前に夕張にあるあの映画のロケ地跡に寄ってみた。
朝の5時だったので当然ながら誰もおらず、写真だけ撮らせてもらった。
健さんの姿が蘇るのぅ。。。
せっかくなので夕張駅にも寄ってみた。
さていよいよ目的のひとつである、神威岬に到着。
むむ、なにやら神聖な場所のようである。女人禁制とは書いているが、
多くの女人が気にする様子もなくどんどん進んで行く。
調べてみると女人禁制が解かれたのは1855年(安政2年)とかなり昔のことで
今はこの女人禁制の門が残っているだけのようである。
ところで写真の奥に小さく神威岬灯台が写っているが、
なんとあそこまで徒歩で片道約30分かかるのである。。。
さすがにトドヶ埼灯台(岩手県宮古市)の時のようにクマが出る心配は
ないがかなりアップダウンが激しそうである。
確かに30分ほど汗だくになりながら歩いてやっと到着。
これが神威岬灯台である。
そしてお約束の、受信証と同じ構図・・・とはいかないが、
それに近い構図での撮影を終えてこの旅の第一の目的は達成したのである。
あぁぁ、また30分歩いて戻らねばならんのか。。。
神威岬灯台がある積丹から2日目の宿がある羽幌町に向かう途中、
余市で昼食をとった。事前に知り合いから情報を得ていた有名店である
余市の「柿崎商店 海鮮工房 」で赤ウニ丼をいただいた。
むぅ・・・さすがである。
これまでの人生で最高にして至上のウニであった。
ウニ本来の味を楽しみたいのなら、酢飯ではなく普通のご飯にした方が
良いと店の人が教えてくれたのでそれを試してみたが、まさしくそれが
正解だった。甘くクリームのようにとろける、においや臭みなど一切なく
しつこくもない。時価ということだったが、これで3000円とちょっと
なら安いのではないだろうか。
3日目はいきなり焼尻島に渡ったところからスタートである。
焼尻島は羽幌町から羽幌沿海フェリーで片道約1時間の離島である。
夏休みということもあって家族連れやカップルが多い。。。
そこに場違いなバイク乗り登場、である。
しかも8:30発の焼尻島行きに乗り、その船が戻る11:10で帰ってくるという。
島での滞在時間最短の2時間40分。このおっさん何しに島に渡るのか?
しかもわざわざバイクで。チケット売り場のおっちゃんの顔に?マークが
書かれていたのは言うまでもない。
焼尻島は自転車でも1時間半で一周できてしまう小さな島なのだが、
灯台がある場所は港から少し離れている。レンタルサイクルを借りるという
手もあったが、舳倉島のときのように車両の乗り入れが禁止されている
わけでもないのなら自分のバイクで行った方が楽というわけである。
そしてバイクで数分のところにある焼尻島灯台へ。
受信証は灯台の西にある牧場から撮った写真のようで、同じ場所と思われる
ところから撮影はしてみたが、風景は様変わりしていた。
東北の尻屋埼灯台も受信証には寒立馬が写っていたが、実際に訪れた時は
一頭もいなかった。そして今回も牧場らしきものはあったが馬の姿は確認
できなかった。
しかし、毎度感慨にふけるのだが、
四国の山間の小さな町にこんな遠く、北海道の離島からの微弱な電波が届いて
いたのである。雑音の中からかすかに聞き取れる女性の声。。。
「各局、各局、各局、こちらはやぎしり、やぎしり、やぎしり。」
この言葉が聞き取れた時の感動は今でも覚えている。
その後アナウンスされる焼尻島と近辺灯台の波の高さや風向速気圧などの
情報を聞き取り、管轄する海上保安庁にレポートして受信証を貰うのである。
そして、これまで訪れた各灯台と同じように、いつかこの灯台を訪れたいと
当時中学生だったオヤジは願っていたのである。それから40年以上かかったが、
北海道の4灯台はこれで制覇したことになる。
ちなみに今回で29灯台のうち16灯台を訪れたことになる。
達成率はまだ55%である。これまでもアクセスが困難な灯台もあったが、
これからの後半はさらにアクセスが難しい灯台が残っている。
果たして身体が動くうちに辿り着くことができるであろうか。。。
焼尻島から羽幌町に戻り、オロロンラインを経由して宗谷岬に向かう。
天候はあいにくの雨だが延々とまっすぐ伸びる道は北海道ならでは。
晴れていたらどんなに気持ちいいだろうと思いつつ。
そして日本最北端の地、宗谷岬に到着。
寒い(8月なのに気温16℃ぐらい)ので早々にこの日の宿がある枝幸町に
向かうことにする。
途中、西のオロロンラインに対して今度は東のエサヌカ線を走る。
こちらもバイク乗りには人気のひたすらまっすぐな道だが、やはり雨なので
いまいち絵が感動的でない。
しかし、神様の粋な計らいだろうか、天候には恵まれなかったが、
右手から走って来た鹿の群れが目の前を横切っていくという珍しい光景を
目にすることができた。

※この写真はヘルメットに装着したGoProで撮った動画から切り出した画像
4日目は枝幸町から網走へ向かう。
網走と言えば・・・
有名な観光地ではあるのだが中には入れない。
というか入りたくない場所である。
ここもさくっとまわりの施設を見て回り、次は斜里町に向かう。
なぜ斜里町かというと、
この「天に続く道」を実際に見てみたかったからである。
なるほど確かに天に昇ってしまいそうな道で、
北海道ならではの風景に感動である。
斜里町を後にして、この日の宿がある屈斜路湖に向かう途中、
摩周湖に寄ってみた。
霧の摩周湖と言われるほどいつも霧がかかっているそうだが、またしても
幸運なことに霧はなくカムイシュ島もはっきりと見ることができた。
昔ファミコンゲームで「北海道連続殺人 オホーツクに消ゆ」というのが
あったのをご存知だろうか。。。
このゲームにカムイシュ島が出てくるのである。
その頃から、いつかカムイシュ島に行ってみたいと当時のオヤジは・・・
こんなんばっかりである。
摩周湖の反対側では、雲から日が射してきてなにやらキリスト教の宗教画の
ような厳かな風景が見られた。オヤジはキリスト教徒ではないので、
思わず両手を合わせて「な~む~」
摩周湖から屈斜路湖に向かう途中でなにやら山肌から白い煙が立ち上って
いる場所があった。硫黄山というらしい。
摩周湖の駐車場200円のチケットを見せれば無料で入れるらしいので、
つい寄ってみたが、硫黄の匂いがきつくてオヤジにはダメだった。
本日の宿がある屈斜路湖に到着。
いよいよ旅の最終日、5日目である。
今日はブラタモリでやっていた釧路湿原細岡展望台に寄ってからフェリー
乗り場のある苫小牧まで約400kmを走る予定である。
釧路湿原の近くで、なんと丹頂鶴が呑気に車道を歩いているのを発見!
5日ほどの滞在で、鹿は3度、キツネは2度、丹頂鶴を1度見かけたのであるが、
クマには出会わなかった。ラッキーだったと言えよう。
そして釧路湿原細岡展望台である。
雄大な景色に言葉を失うほどであった。
これは素晴らしい! まぁ、四国にはこんな広い場所はない。笑
釧路湿原を後にして苫小牧へ向かう。
この時、台風10号が本州に近づいており四国から中国地方を縦断し、
日本海へ抜けるらしい。
高速道路のSAで話をしたライダーによると、大洗~苫小牧航路のフェリーが
取れず日本海側の秋田、新潟、敦賀、舞鶴の各航路のフェリーを予約した
人たちは欠航の恐れがあり本州へ渡れないかもしれないとのことだった。
今回の旅はたくさんの幸運が重なって無事帰って来られたと言える。
もしかすると晴天の炎天下を走るより、気温の低い雨の中を走る方が
体力的には良かったのかもしれない。なにしろ5月の東北でもかなり寒い
思いをしたので今回は8月ではあったが電熱ヒーター入りのジャンパーを
持参していたので寒いとはいえ、身体は楽だったのだ。
まさか本当にこれを使うことになるとは思わなかったが。
さて次はどこの灯台を目指そうか。。。
今回の総走行距離:2,452km(5日間)
以上