こんなブログ見る人いるのかな~と、思っていたら意外と反応がありそうなのでアップします
ヨタ話から始めますが、今はカーボンと云うと色々のものに当たり前に使われるものですが、車業界の言う「ドライカーボン」、「ウェットカーボン」についてちょっと意見
「ドライカーボン」は言わずとも「プリプレグ」のことだとは、このブログを見てる人ならご存知でしょう
カーボン繊維にエポキシ樹脂を染み込ませてあるヤツハシみたいな素材(ガラスプリプレグもある)を型に貼り付けて、オートクレープで加熱加圧するアレ、始めは疑問にも思わないけど、その内思う「何?ドライって?」
「ウェットカーボン」 カーボン繊維にポリエステル樹脂をハンドレイアップでペタペタやるアレ、大体の製品は表1枚だけきれいにカーボン貼って中身のほとんどはガラス繊維だけど宣伝文句は「カーボン○○」って自慢げに売ってます
この名前、どこの誰が名付けたか分かりませんし、使い勝手がいいのでしょうが製品説明にしてはちょっとおおざっぱ過ぎのような気がします
特に「ウェットカーボン」はカーボンだけなのか、ガラス繊維混ぜてるのか、樹脂は何なのかがさっぱり分からない
カーボンというと、軽さとか強度とか期待してしまうので、「ウェットカーボン製品」を買ってみて中身がガラスで騙された~って人も多いのではないでしょうか 軽くもないし、1枚だけカーボンでもそんなに強度は上がりません 縁石に当てただけでバキっていきます
オクで買うときは、カーボンって名前に騙されないよう十分気をつけましょう
しかしハイブリットでも十分性能は望めますし、最近は「カーボンとガラスのハイブリッド」とか表記してあるメーカーも多いので参考にはなりますが、 高速で移動する物体の部品なので、もっと詳細が分かればいいのですが‥
で、自分が材料買うときは ハンドレイアップで使うので、「3Kの生カーボン繊維○m」とか「○○のエポキシ樹脂○㎏」とか云う注文をするし 作った物を人に聞かれても「FRP」とか「カーボン」としか答えませんので、「ドライ」、「ウェット」というあいまいな表現は使いません
以上、ヨタ話でした
と、云うわけで(←どんなわけだ!)前回メス型の脱型が終わったのでいよいよ繊維の積層です
積層前にメス型に離型剤(ワックスみたいなヤツです)を塗りこみます 塗ってはふきあげ、塗ってはふきあげを繰り返すこと数回、このときばかりは一切の神も仏も信じない自分ですが「うまく剥がれてくれ~」と祈りながら塗布します
昔の失敗ですが、経験不足でメス型と積層枚数が薄すぎたため、「
ヌケねー!」(←ヤラシイ意味ではない)という状態になり、製品もメス型も壊してしまう結果になってしまいました
そのときの金銭的、精神的ダメージは相当なもので、回復に相当の時間がかかりました
話がそれましたが、いよいよ積層です 昔から「ハンドレイアップの積層は時間との戦いである」(by K26猿人)ということは云うまでもありません
樹脂は主剤と硬化剤を混ぜた瞬間から硬化が始まるので、タックフリー(ある程度硬化している状態)までに作業を終わらせないといけない鉄の掟があるんです
(K26猿人はこの戦いのために作業開始から2ヶ月間、毎日の通勤電車の中でイメージトレーニングを欠かしませんでした)
この時間に間に合わないということは「
失敗」を意味するので、全神経を集中させる必要があります
繊維の裁断ですが、カーボン繊維やアラミド繊維は普通のハサミではあっという間に刃がなめて切れなくなってしまいます (専用品はかなり高いので無理ですが、それなりの値段のハサミを購入しました)
樹脂はエポキシを使用します ポリエステル樹脂と比べると最大10倍くらいの値段の差があります 強度など値段に見合った素材ですが分量や攪拌に注意が必要で、確実に混ぜ合わせないと硬化不良をおこすなどとても気難しい素材です
樹脂を確実に混ぜ合わせ、計算した積層の枚数を貼り付けていきますが、このカーボン繊維というヤツは樹脂が浸透している状態が目視できない(見ても分からない)上に、エポキシ樹脂は粘度が高い(それでも知る限りの低い粘度のものを使用してます)ので、刷毛と脱泡ローラーでひたすら祈りながら
浸透、脱泡を繰り返します(この日二回目)
浸透不足はサンダーやドリルで削ると細かく繊維がバラけてしまう状態でわかります、完全に強度不足です
次はアラミド繊維を積層します これがもっとタチが悪く、ハサミの刃たたない上に樹脂が全く浸透していきません これまで以上に気合いを入れてひたすら祈りながら浸透、脱泡を繰り返します(この日三回目)
表面にアラミド繊維を持ってくるのはよくないので(削ると綿状態になり、再生不可能になります)、さらにカーボンを積層します
ここまではいわゆる準備段階でこれからは「樹脂抜き」(勝手にこう言ってます)作業に移ります
「FRPは余分な樹脂を抜くことによって強度が増す」ということはいわば常識ですが、プライベートがオートクレープなどと高価な設備を持っているわけでもないので、安価なキッチンペーパーなどを使って余分な樹脂を搾っていきます
ピールプライ(脱樹脂シート)をかけ、バキュームバッグで「真空引き」して繊維を型に密着させ(自分は掃除機を使って吸引しますが、明らかに使用方法が間違っている上に、掃除機も壊れてしまうので絶対にマネしないで下さい)さらに樹脂を搾ります
こうすることによって繊維に浸透させる樹脂の比率を下げていきます(経験上の勘や前回のデータに基づいて計算しているので、絶対的な根拠はありません)
ここまでで一旦作業は一段落つきましたが、早朝から始めてすでに夕方、通常の労働時間よりはるかに長い時間食事もとらず集中していると精も魂も尽き果てます
と、疲労も限界を超えていたところ、しばらくして型を確認してみると
「何ー! 気密が漏れとる」
と、いうことに気づいてしまったんです
「真空引き」は非常に難しく、細い繊維でも気密漏れするらしいです 自分みたいにテキトーなヤツは5回に3回は失敗しますので、今回もやってしまったわけです
幸い漏れは微妙で、硬化までバキュームバッグが密封してくれていたので、浮きもなく樹脂も十分搾ってくれていました
どっと疲れがきましたが 安心したところで1週間硬化させ、いよいよ次回は製品の脱型となります
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カーボン | 日記
Posted at
2012/09/10 00:18:45