アラブ首長国連邦(UAE)が、イエメン内戦に便乗して、紅海の南の出口に軍事基地を作りつつあるようです。
紅海を完全に扼することができる、いわゆるチョークポイントですね。
イエメンでは、泥沼の内戦が続いていて、アラブ首長国連邦も介入していたのですが、それにしても、よりによってこの島を基地化するとは。
今後の石油情勢だけでなく世界情勢に大きな影響がありそうな場所なんですよ。
特にサウジアラビアは、ペルシャ湾の出口も、紅海の出口も、両方ともアラブ首長国連邦に押えられてしまった形になるわけです。
このmayyun島(=ぺリム島)と、対岸のアフリカの距離は実に近く、ちょうど東京湾の入口の観音崎と房総半島の金谷の距離程度の狭さなんです。
もうすこし例え話で言うと、入口は東京湾の入口と同じなのに、その湾がビヨヨーンと奥に長く長く長く伸びて、南北2250kmもの長さだったとしたら、それが紅海です。
2250km。
北海道の稚内市から鹿児島県の枕崎市までの直線距離1870kmよりも、はるかに長いわけです。
ちょっと想像してみてくださいよ。
そんな湾の入口が、東京湾の入口と同じぐらいの狭さで、その入口に浮かぶ島にUAEが軍事基地を作ったのだとしたら。
いやはや。
サウジアラビアの立場になれば、完全に包囲され、内陸に封じ込められてしまったことを意味するわけで、これがどれほどの恐怖か、ちょっと目を離せない状況になりつつあるように思えます。
サウジアラビアの石油施設にときどき弾道弾が打ち込まれるのは、イランが後押しするイエメンのサレハ派(イスラム教シーア派系の武力組織)の仕業。
昨年の製油所への大規模攻撃では、石油価格が大きく変動しましたが、今週もサウジアラビアに対する弾道弾やドローン攻撃をしています。
このサレハ派が、首都サヌアと周辺の広い地域を支配しています。
一方、南部・東部のハディ派(イスラム教スンニ派系)は暫定政府と呼ばれ、サウジアラビアやUAE、アメリカなど多くの支援を受けていたのですが、2019年に内ゲバによる激戦があり、内部分裂し、依然として南と東の広い土地を支配しているのはサウジ系のハディ派なのですが、暫定首都アデンとその周辺地域を、UAEが後押しする南部暫定評議会が制圧しています。
こういう仲間割れほどヤッカイなものはないわけで、サウジ対UAEの戦いに発展しかねないわけです。
ほかに、南部にはイスラム国も領土を有していて、泥沼の戦い中。
それにしてもグーグルアースは情報のアップデートが早いなと感心しました。
今年に入ってから工事が急ピッチで始まったという滑走路が、もう形が見えているのですから。
ps. ごく最近の情報によると、昔のテロ集団かと思っていたアルカイダまで、このほどイエメンに領地を獲得し、数百人の中核戦闘メンバーを擁しているとのこと。ガソリンについて興味があるなら、内戦のイエメンの行方には目を離せないと思います。
Posted at 2021/03/09 17:13:45 | |
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