本編はシリーズものの12個目です。
前回は
こちらからどうぞ。
さて、古い車というと、私は以前から気になっていた2つの事があった。
いわゆるケミカルチューンと、オカルトチューンである。
前回オカルトチューンとしてアーシングについて話をしたが、その後1ヶ所だけ装着位置を変えたら非常に良くなったので報告しておく。
パワステとラジエターを支えるボルトに共締めしていたのを、エンジンブロックに固定された、タイミングベルトカバー用のボルトに共締めしたのである。
何故かというと、ここには元から細く黒い線が1本共締めされており、辿るとバルクヘッドのアースポイントに繋がっていた。
このバルクヘッド以降はアーシングしているのだが、なんでこんなところにと思ったが、純正アースポイントなら意味があるかと思い、やってみたのである。
結果、馬鹿みたいにエンジンが静かになった。
共締めした場所は下記の赤色で囲った場所である。
一番変わったかもしれない。
H56Aパジェロミニでアーシングしようとしてる方(いるのか?)、ここお勧め。
さて。
前回はオカルトのカテゴリとしてアーシングについて話をしたが、今回はもっと怪しさが濃ゆい、ケミカルについて話をする。
ただ、どこまでをケミカルの範囲に入れるかは人それぞれ違いがあると思う。
ここでは最も広い「液モノなら何でも」としてみようと思う。もともと入ってるフルードやオイルも含めるということである。
なので何の問題に何をしたのか、という形式で書いていく。
その1:ワイパーの遅さ
正直今もほとんど変わってないという時点でケミカル大敗北確定なのだが、うちのフロントワイパーの動作は納車時から遅い。
くぅー・・い、くぅー・・い、という感じで、おいおい視界遮らんでおくれよというレベル。
ワイパーモーターかな、アッセンブリかな、嫌だなあと思ったので、まずはということで以下を行った。
a.ワイパーを動かしながらリンケージ、特に関節部にラストブリザードをスプレーした。
結果は若干早くなったかなあというレベル。正直効果なし。
b.ガラス前面にガラコを塗り付けた。
c.ワイパーゴムをガラコ専用に変えた。
d.ウォッシャー液をガラコに変えた。
結果、悪化した。
盛大にビビるようになったのである。
もうどれだけの大雨なのよというくらいの土砂降りでやっと普通に動く。
それ以外はガガガガガガガガと道路工事でもやってるのかというくらい喧しいし引っ掛かりまくり。
ワイパーモーターやリンケージに確実にダメージを与えてる。
ワイパーかけずにガラコの撥水効果だけで走るほうが精神衛生的によろしいレベル。
一旦油膜落としで剥がして塗りなおしてもダメ。
なので結局、cとdをやめ、
c2.ノーマルブレードに戻す
d2.ふっつーのウォッシャー液(青い安いアレ)に戻した
としたところ、ビビりはなくなった。
bが残っているため、元よりは撥水されている分、見やすいは見やすい。
でもワイパーの速度は変わらないので、結局未解決である。
素直にモーターとリンケージアッセンブリ交換したほうがいいかもしれない。
あとはワイパースイッチのせい、なんてのも考えられるらしいが、ワイパースイッチは高価である。
ここ触りだすと高いんだよなあ・・・ケミカルで直ってほしかった。
なので、私の結論としては、ガラコはガラス表面にぬりぬりする以上にハマらないほうがいいと思う。
もしぬりぬりしただけでビビりが出た場合は、さっさと剥がしてしまったうえで、自動洗車機のワックス洗車などをしておけば、ある程度ガラスの撥水効果も出るので、そこでやめといたほうが金銭的にも精神的にもよいと思う。
あるいはコーティング屋が行う1面3000円くらいのウィンドウコーティングなんかも問題は出なかったと思う。
ちなみにドアガラスをゴムでしっかり密閉する車の場合、ドアガラスにガラコを塗るとガラスを上下するときにビビるが、これは油膜取りで落とせば解消する。
うちの車はゴムがへたってゆるゆるなので全然ビビらず、撥水してくれてちょうどよかった。
固定されてるリアクオーター窓やリアガラスにもぬりぬりしている。
なお、さらに不思議なことに、うちの車、リアワイパーはbcの組み合わせでもビビらない。そもそも遅くもない。
なんだかなあ。
その2:エンジンオイルが漏れている、エンジンがストールしやすい
馬鹿みたいに基本的な事で解決したので、これは書いておこうと思う。
最初、整備工場がオイルリークを見つけたとき、私は整備工場の提案に沿ってワコーズのEPS(エンジンパワーシールド)の添加をお願いした。
さらに、特に発進時のクラッチミートであっけなくストールするのが嫌で、同じくワコーズのフューエルワンを入れた。
しかし、現象は変わらなかった。
しばらく悩んだ後、三菱に頼んで手に入れたパジェロミニの取扱説明書を見ると、下記のサービスデータが記されていた。
その他、補足事項としてターボ車には5W30使用禁止、NAであればダメではない、というニュアンスで書いてある。
納車した車屋が言っていたエンジンオイルのグレードは確か5W30だった。
ちょうどその頃フューエルワンを入れたガソリンは使い切り、納車後1000kmほど走っていたので、エンジンオイルを変えることにした。
フューエルワンは洗浄効果が高いのでエンジンオイルが汚れるのと、中古車はそれまでどう扱われていたか解らないので一旦1000kmでリセットすることにしているのである。
この時、説明書に従って10W30を入れることにした。オートバックスの量り売りの一番安いやつ、ただしフィルタも込みである。
結果、劇的に変化した。
まず、整備工場にも確認してもらったが、オイルリークがなくなった。
さらに、1000rpm前後で軽くアクセルをあおってクラッチミートするという、ごく普通の1速発進でストールする確率が格段に減った。
これはそもそもサービスデータの注釈を無視して、軽すぎるオイルを入れた車屋にも非があるのだが、
説明書の注釈には従う
というのは割と重要なのである。
一般的に5W30のほうが10W30より高いのだが、高いからいいというものでもない。
さらに言えば、古くなった車に低粘度オイルを入れると漏れるから、年数が経ったらサービスデータより硬めのオイルを入れるというのは定番中の定番な話題である。
その3:エンジン音がうるさい、燃費がちょっとでもよくならないか
これは昔からやっている対策で解決した。
マイクロロンのエンジン用である。
その2で10W30に入れ替えて200kmほど走って効果を確かめた後、マイクロロンを投入したのである。
本来マイクロロンはエンジンオイル交換直後に投入するのが良いが、別に200kmくらい走ってもどうということはない。
ただし、マイクロロンは入れる時からアイドリングで入れるのだが、そのままエンジンを切ることなく、少なくとも50km、出来れば100kmは色々な回転を使って走る事を勧める。
あとは普通に使ってると、投入後大体700kmに達する頃からじわじわ音が静かになり始める。
なお、燃費は向上しなかった。
若干向上した分はその2でエンストが減ったからリスタートが減ったとかであろう。
ちなみに、マイクロロンはカー用品店で買うと8000円くらいするが、アマゾンなら正規品でも5000円代、並行輸入品なら4000円弱で売ってるので、それでいいと思う。
ただし並行輸入品は注入器がついてないので、レベルゲージに刺せる程度の細い筒を持つ注入器(注射器かスポイトでいいと思う)を100円ショップで買っておこう。
その4:ギアの入りにくさをどうにかしたい
これについては呆れかえる結果だった。
その3でも書いたように、私は中古車を買ったらオイル類は全交換する。
車屋にはちゃんとその為の費用を支払い、前後のデフ、ミッション、トランスファーのオイルを変えるよう頼んだし、車屋はやったと報告してきた。
しかし納車後、どうにも1速、2速、そしてバックギヤへの入りが非常に悪い。
そこで私は、オートバックスでワコーズのマジック5というギヤオイル添加剤を入れてもらうよう頼んだ。
交換したばかりだから添加剤だけ入れてと頼み込み、今回限りということで対応してもらった。
しかし状況は変わらない。
そうこうしてるうちに1000kmのエンジンオイル交換タイミングも超えたので、車屋の作業を疑った私は、整備工場に全交換と
ワコーズのMPS(ミッションパワーシールド)の添加を頼んだのである。
すると、整備工場から電話があり、驚くべき報告がなされた。
もともとミッションオイルだけ交換されてませんよ、というのである。
あほか、である。
デフやトランスファーも大事なオイルだが、ミッションオイルは頻繁にギアチェンジがあり、低回転から高回転まで様々なストレスに晒される。
最も変えるべきオイルなのに、それが恐らくは新車時から変えられてないんじゃないかというくらいドロドロで、量も半分くらいしかなく、真っ黒で、悪臭を放っていたらしい。
私も写真を見たが、目を疑うほどの汚れと少なさだった。
再び言おう。あほか、である。
整備工場とサービスデータを元に相談し、全て75w-90というマルチグレードオイルに変えてもらった。
ワコーズのMPSは前後デフ、トランスファ、ミッションに添加しても余ったというので、パワーステアリングにも添加してもらった。
結果。
各ギヤはスムーズに入り、フロアから聞こえるギヤ音はかなり静かになり、40kmくらいで聞こえていた唸り音もなくなった。
整備工場がミッションオイルの交換漏れのミスを見つけてくれなかったら、下手すればミッションブローもあり得た話である。
ぞっとしない話である。
いくら車両本体が20万強の代物でも、現時点までで結局は70万くらい投資している。
それが1万キロもたたずにミッションブローでお陀仏なんて冗談ではない。
その5:真っ赤に錆びたボルトを緩めたい
結論から言おう。整備工場に持っていくべきだ。ケミカルでどうにかなるものじゃない。
ちょっと錆が出たボルトを回す程度なら556とラストブリザードとラスペネあたりをかけまくれば回るかもしれない。
しかし、例えばマフラー遮熱板の取付ボルトなど、もはや一体化したボルトとナットを素人が回そうとするものじゃない。
回らないならまだしも、下手すれば途中から折れる。
私はインパクトドライバ(手動)とガチのハンマー、ラストブリザード、そしてブレーキクリーナーを手に挑んだが、緩めようと思っていたすべてのボルトに敗北した。
これらを買う金を持って整備工場に行き、外してくださいとお願いしたほうが良かった。
正直言えばマフラーアースを試してみたかったのだが、力尽きた。
完全に無駄な投資になった。骨折り損のくたびれ儲け、熱中症(弱)のおまけつきである。
これが私のパジェロミニに行ったケミカルチューン(?)なのだが、結論としては説明書に従え、汚れたら変えろ、というアホみたいな基本事項の順守が一番効果が高いのである。
そして「多分故障だろうな、高いんだろうな、ケミカルで何とかならんかな」という希望は、大体叶わない。そういうものである。
1回くらい試してもいいが、ダメなら素直に修理の手配を始めよう。
身も蓋もないが、それが一番安くつくと思う。
さて、12回に渡って記してきた、24年落ちの軽自動車を買うということシリーズも、ここでいったん締めたいと思う。
中古車を買うたびに思うが、車屋のトークは本当に信用できない。
そしてグーグルなどの口コミやレビューも信用ならない。
今回買った車屋は評価5.0がつき、べた褒めのコメントばかりだったが、この体たらくである。
買う前は善人そうな雰囲気の人間が、納期確認の1つ、注文時より金額が増えてる事を指摘する一言だけでいとも簡単に豹変するのである。
さらに言えば、JU(日本中古自動車販売協会連合会)とかにきちんと入ってる車屋か確認して買えば良かったと思う。
JU加盟なんて今時当たり前でしょ?ここも当然そうだよね、などと思ってはいけない。
たった数分の確認を怠ったことが後々大事になるのである。
JU加盟店なら、トラブルが起きたときにJUが間に入ってくれる。だから最初から怪しい商売をしない。
そんな世の中の大体の車屋が出来ていることさえ「出来てない、あるいはしていない」車屋を信用してはいけない。
あ、カーセンサーとかカーグーとか、そんなものに掲載してるかどうかなんて何の信用にもなりません。
私は今回JU未加入で整備工場も持たない店で購入し、JUや消費生活センターの相談員が「車検付き、整備納車という約束でその費用も諸費用として入ってるのに、注文後に車検に通らない予想外の故障があったからその整備代まで支払え?まったく必要ないですよ」と口を揃えるような事を主張してくる車屋を相手にする事態になったのである。
結局、車屋の言う追加10万と不要の折衷案で5万余計に支払ったが、その後の状況は今までお話ししたとおりである。
勉強代としても溜息しか出ない。
安心して乗りたいなら、よほどの専門店的な車屋でもない限り、一般的な軽整備、たとえばバッテリとワイパー交換といった車検通す程度の整備のみに留め、あとは信用できる整備工場に半分レストアのように任せるほうがいい。
これの問題は信用できる整備工場の見つけ方が難しいということ。
有名になりすぎて多忙になり、ミスが増えた工場もあると聞く。
腕の良い整備工場に伝手がないなら正規ディーラーが売ってる、そのメーカーの中古車を長期保証付きで買いましょう。
相場より高いが無駄な苦労はない。
ただ、価格帯的には中古相場より安く買うというのではなく、新車をもっと値引いてもらう手段と考えたほうがいいですが。
色々愚痴りましたが、発注から2ヶ月、2000km弱走行する中でおおよそ問題にはケリをつけられたと思う。
元々総予算50万と考えていましたが、見事に20万以上オーバーしました。
もうちょっと出せば1年保証付きの最終型パジェロミニ買えます。ええ。
それがまともな個体なら、ですが。
いずれにせよ、古い車は一筋縄ではいきません。
もともと中古車とは前のオーナーがこれなら手放すほうが良いと判断したからこそ売られているのであって、何かしら(大体複数の)問題を抱えており、乗り始めにはそれらが次のオーナーに降り注ぐ。
技術力のある車屋ならきちんと直して(それなりの値段をつけて)売ってくれる事もあるだろうが、私が買った中古車はほぼ例外なく修理から始まった。
そこが中古車を許せるか否かの大きなポイントかもしれない。
もっとも、今回パジェロミニを買ったのは新型ジムニーのせいである。
ジムニーの新型は中古ではプレミアまでついて200万越えとかなっているので、旧型ジムニーやパジェロミニの中古相場まで上がってるらしい。
わかる。あのジムニー乗ったら、クロカンちょっと乗ってみたいな、軽なら維持費も安いしセカンドカーでどうかなあと思ってしまうのだ。
だからブームに流された一人だと指を差されても仕方ない。
とはいえ、初代パジェロミニの持つ、砂の斜面を走れるような駆動力の高さ、旧規格軽の身軽さ、アイポイントの高さと広さ、小さいエンジンをMTで目一杯引っ張りまわして使い切る楽しさ、馬に乗るようなゆったりとしたストローク、なにより完成されたスタイリング、豪雨災害や浸水レベルの道路でも行けるという安心感、そういうクロカンらしさを味わえる所まで直せたのは良かった。
今回は普段以上にDIYや駆けずり回る必要があったものの、累計70万強で済んだのはまぁ仕方ない範囲だったのかもしれない。
もっとも、これからあっさり致命傷が出て廃車という可能性も十分あるのだけど。
なにせ24年落ちである。
動いてる時は懐かしさすら漂う豆球が照らすアナログなメータ類も、動かなければ途端に困ったことになる。
いつまで動いてくれるだろう。
気に入ってる分、手を入れた分、長持ちしてほしいと切に思う。
たぶん、軽でこれだけ凝った車は、もう2度と出てこないだろう。
いや、新型ジムニーがあるか。
まぁあれはあれ、これはこれなので。