物騒なタイトルですが、最近読み始めた二つのマンガの話です。
ひとつめは
『トリガー』(作画・武村勇治、実業之日本社)。
なんとこの原作は、お笑い芸人・インパルスの板倉俊之さんのハードボイルド小説。
クーデターの末に国王制となった、近未来の日本が舞台になっている。
治安が悪化し続け、一向に減らない犯罪。
そのための画期的な政策として打ち出されたのが、「射殺許可法」なるトンデモなシステム・・・という、荒唐無稽な話なんだけど、コレがなかなか面白い。
その名の通り、選ばれた国民に銃を持たせ、草の根レベルでの抑止力にするというのが狙い。
国王と思想的に通ずる人間がピックアップされ、各都道府県にて1人ずつ選任される。
政府から持たされた銃と電子手帳を身分証がわりに、1年間という期間限定で、無尽蔵に引き金を引く権利が与えられた彼らを、人は「トリガー」と呼ぶ。
トリガーは、自分が居住する都道府県内において、自分が「悪」とみなした人間であれば、誰でも何人でも殺してよい。
そんなわけで、「自分なりの正義」に則って、各地で1年間の任を果たすトリガー達が、短篇集的に描かれていく。
中には、その絶大な力を持ったことをやぶさかに感じる者もいれば、殺人マシーンのごとく、その権利を容赦なく行使する人もある。
「コイツはやられてもしょうがないか〜」なヤツもいれば、「そんだけで撃たれるの!?」という人もいる(笑)。
トリガーであった過去が、その人を追い詰めてしまうときもあったり。
必ずしも綺麗な終わり方をするわけじゃないが、その人間臭さが剥き出しにされた世界観が魅力でもある。
犯罪と悪は、必ずしもイコールではない。
国王・冴木が、このブッ飛んだ法律を必要悪と言い切る根拠に、このロジックが登場する。
たとえば、AがBを罵倒し侮辱したとしよう。
そして、怒ったBがAを殴った。
法律の上では、たしかにBは傷害事件の加害者であり、Aは殴られた被害者である。
だが本来ならば、Aの暴言がなければBは犯罪者にならずに済んだはずだ。
言い換えれば、Bは犯罪者であっても悪ではない、とも言える。
本当の理想は、犯罪のない社会というよりも、悪の発現する余地のない社会である・・・と。
これまたトンデモといえばトンデモな極論ではある。
だが、「公正な裁き」がちっとも人々の賛同を得られないことも、喧嘩両成敗的な解決策がトラブルをますます根深くすることも、往々にしてあることだ。
悪とは違う暴力もあるのだ! と言われても受け入れにくいが、「犯罪と悪のズレ」を消滅させたいという冴木の考えも、あながちバカにはできない気がする。
厨二臭いといえばそれまでだけど、単純にスカッとする面白さもあってイイ。
そして紹介するもうひとつは・・・
うん、長文すぎたので分けようwww
Posted at 2013/11/19 19:28:03 | |
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