
記念というか備忘がてら、なぜ最終的にA3を購入するに至ったか、RX-8の時と同様に書いておこうと思う。
就職以来かなりクルマに収入をつぎ込んで楽しく暮らしていたのだが、結婚が現実的になったとき、ふと20代後半の独身男性にしては圧倒的に貯金が少ないことに気づいた。
そこで一念発起というか泣く泣くというかで、RX-8を手放してクルマの維持費を浮かし貯金に回すことにした。
驚いたことに年間の貯蓄額がクルマを維持していた頃より100万円多く貯金が増えたため、結果的にこの決断は成功だったようだ。
そして結婚後は東京23区内で暮らし、正直家賃も高くそこに駐車場代を含めたクルマの維持費が上乗せされるのは結構しんどかったため、クルマを購入する機会がなかった。
山手線圏内に10分で行けるため、そもそも生活にクルマが全く必要ないというのが、クルマ購入のモチベーションが上がらない理由でもあった。
その後3年近く同じ場所で暮らしていたが、職場環境がドブのように(英語苦手なのに外人が上司になる等々)なったため転職を決意。
コロナ影響下だったが運よく新しい職場が見つかり転職することにした。
職場への通勤等々の事情により引っ越しが決まり、今まで暮らしたことのない横浜界隈で暮らすことになった。
全く土地勘のないまま引っ越しを敢行し、役所へ転居届を出しにママチャリに乗り出向いたところ、坂道の多さ、きつさに絶望。
妻はもともと横浜の人で坂道の多さをよく知っており、今後の移動手段について話したところ、クルマはあったほうがQOLが上がるという結論に至った。
今までは100%趣味のためにクルマに乗っていたから、使い勝手は二の次で2座のオープンカーだとか、単距離や渋滞が苦手なロータリーエンジン車に乗っていたが、今回はついに『ファミリーカー』なるものを買わねばならない。
ただ妻は僕の趣味をある程度理解してくれているので、軽やミニバンにせよという無慈悲な指示はなく、それ以外でユーティリティや安全性が高いクルマ、が妻の指定するクルマの条件となった。
走るのが楽しく便利で安全なクルマで頭に浮かんだのが、欧州のホットハッチ勢と、国産だとMAZDA3と新型レヴォーグだった。
特にポロGTIは小さいけど荷物は乗るしパワーもあるし前から気になっていた、というかRX-8を買うときに旧型は試乗するくらいに興味があったので、第一候補の一つだった。
またレヴォーグについてもちょうどフルモデルチェンジを迎え、世界最高水準と自称するアイサイトXが搭載されるし、荷物も積めるし、パワーも十分ということで、夫婦ともども結構期待していた。
最初にスバルに狙いを定め1週間前くらいにアポを取り、当日ディーラーに話を聞きに出向いたのだが、到着後15分経っても担当者が来ない。
さらに待っていたところ別の人間がやってきて、担当予定だった人間に代わり自分が対応すると言う。
先行予約申し込み書に必要事項を記入するよう促され記入を終えると、ハイお疲れさまでしたさようなら、という雰囲気を醸してくる。
こちらとしても単に予約をしに来ただけでなく、スバル車を見るのは初めてのため、他のクルマについても説明をしてほしいとアポの際頼んでいたと伝えると、机上でサラっとスバルの歴史を説明され、その後実車を見ながら説明といったこともなく、それだけだった。
どうやら冷やかしと思い込まれたようで、何も収穫がないままがっかりしながら店を後にした。
妻に関しては表情には出していなかったがかなり怒っていたようで、購入後もこの塩対応が起きると考えると、スバル車は絶対に買いたくないということだった。
僕もスバルディーラーの対応の悪さは噂に聞いていたが、正直ここまでとは思っていなかったし、がっかりした気持ちも強かったので、クルマの良し悪しと関係のないところでレヴォーグは購入の候補から外れてしまった。
続いてVWを見に行くことにし、なんと家の前までゴルフGTIで迎えに来てくれるという厚待遇で、夫婦ともに期待値が非常に高まった。
店に着いてからも非常に丁寧に説明をしてくれるし、試乗もしっかりとさせてくれた。
営業マンはどうやら我々以上に我々のクルマに対する需要を見抜いていたようで、ラゲッジにゆとりのないポロよりもゴルフを強く勧められた。
実際質感やラゲッジを見ると、ポロよりもゴルフのほうが格段に上で、ポロGTIの予算でゴルフハイラインあたりを買うほうがいいかなと気持ちが傾き始める。
営業マンもここがチャンスと思ったようで、『今日買ってくれれば値下げ頑張ります!』とグイグイくる。
ここでチキンな僕はビビってしまい、数日考えさせてくれと言って家に逃げ帰るのだった。
家に着いてから妻と話し込み、自分たちに必要なクルマの条件を整理した。
夫はGTIレベルとはいかずともある程度走りの良いクルマがほしく、妻はゴルフクラスの室内スペースがほしい、という意思がはっきりと固まった。
また、二人とも新車に高いお金をかける必要もないのではという思いが強くなり、登録後1年以内の中古車であれば程度も新車と遜色ないしと、候補に入れることにした。
この条件によりMAZDA3はラゲッジと後席が狭いからNGとなり、CX-30はSUVだしパワートレインに特別惹かれるものがないから候補から外れることになってしまった。
マツダの現行のCセグってディーゼルはアクセラの時よりエンジン小さいし、スカイアクティブXも割高感が否めないし、ミッションもちょっと古さを感じる6速ATだし、なんかねぇ・・・。
ということで、だんだん悩みすぎてノイローゼ気味になりつつあった僕は徹夜で中古車情報を漁り、ふとA3の中古なら新車のゴルフより安いんじゃね?と考えたのだった。
実際は中古でもA3のほうが高いタマが多かったのだが、本当にたまたまだと思うが格安のディーラー中古車が売られていた。
ほぼ徹夜した朝の5時過ぎに予約依頼のメールを送り、2日後にディーラーへ伺うことになった。
ディーラーの対応は中古車だしまあ普通だよねといった感じだったが、購入後はアウディの正規保証が4年間残っているし問題ないと判断。
試乗させてもらうと走りはノーマルのゴルフとパワーはほとんど同じだけど全体的な硬質な雰囲気で好印象。
室内の広さはほぼというか全く同じと言っていいくらいなので妻も不満はないし、内装の質感は完全にA3がゴルフを上回っている。
シートがレザーなことに妻は少し難色を示したが、営業マンの「飲み物をこぼした時やごみのふき取りはむしろレザーのほうが楽ですよ」とのフォローにより、問題クリア。
そんな感じであれよあれよという間にA3購入の判を押したのだった。
その後営業マンの兄ちゃんのポンコツっぷりが判明しかなり苦労する(まだしてる)のだが、クルマについてはおおむね不満はなく、久々のクルマのある生活を楽しみ始めた、というのが現在の状況。
ちなみにスバルのディーラーは来店後一月くらいしてから、「その後レヴォーグの検討はどうですかぁ?」と呑気な電話がかかってきた。
代わりの兄ちゃんは我々を冷やかし扱いして追い返すし、お前も予約時不在で対応できなかったのに謝罪もなかったやんけ、と文句を言って電話を切るのだった。