お友達の
ひみつのあっこさんのブログには送られてきた「カツオ風味の本だし」について書かれていましたが、オイラにも「カツオ風味」について思い出があります。
これ以降はブログと言うより、旅行記というかかなり長い文章になるので読みたい方だけ読んでください。
この話は今から十数年前、つまりオイラが20代半ばの頃の話になる。
当時、オイラの職場にカツオさんという管理職がいた。
既に定年を迎えリタイアされているが、これはカツオさんが現役の頃の話だ。
ある時、職場の旅行があり、カツオさんを含めて十数人が飛行機に乗り、バスで観光地を巡って一泊目の巨大温泉ホテルに到着した。
ホテルでは三部屋にわかれ、オイラはカツオさんと他の先輩2人との4人部屋になった。
時刻は午後5時前。宴会は6時からということで時間もあり、オイラたちはゆっくりと横になってテレビを見たり館内案内などを見ていた。
するとカツオさんが浴衣に着替え始め、「先に風呂に入ってくる。おまえらはどうする?」って言うので、「あ、どうぞお先に」ってオイラたちはカツオさんを送りだした。
カツオさんはねちっこい喋りをする人で、オイラたちはちょっと敬遠していたからだ。
その数時間後、宴会でたらふく飲み食いしたオイラたちは風呂に入ろうってことになり、他の部屋にいる同僚たちを誘って露天風呂に向かった。
時間はかなり遅く、露天風呂は貸し切り状態。
温泉に浸かっていると誰かが「あれ?カツオさんは?」って聞くので、オイラが「宴会の前に入られましたよ~」って答えた。
すると、オイラの隣でお湯に浸かっていた先輩のキンちゃんが「ほいでヨカ香りがすっちおもたたらい。(だから良い香りがするんだと思ったんだよ)」と言うと、違う先輩が「カツオ風味だねぇ」と呟いてゲラゲラ笑いだした。
すると前出のキンちゃんが「カツオ風味の本だし~♪」と歌い始めた。
酒に酔ってオラオラ状態のオイラたちはドッと沸いて「カツオ風味の本だし~♪カツオ風味の温泉~♪カツオ風味の露天風呂~♪」と大合唱を始めた。
30分ほど大騒ぎをしていたら、ホテルの従業員に「もう少し静かに入ってください」と叱られた。
山間部なので、オイラたちの歌声がこだまとなって響き渡っていたのだろう。
叱られたオイラたちは、シュンとなりながらそそくさと風呂を後にして部屋に戻った。
部屋ではカツオさんが布団の上に横になってテレビを見ていた。
するとオイラたちに「おまえら、どこの風呂に行ってたんだぁ?」って聞いてきた。
ピンときたオイラは、素直に「露天…」とまで言い掛けていたキンちゃんを布団に突き飛ばしながら「露天風呂に行こうとしたら騒がしかったんで、展望風呂に行きました」と叫んでからキンちゃんに目配せした。
するとカツオさんは窓の外を指差し、「露天風呂が遠くに見えるんだが、うるさくてなぁ。おまえらが騒いでるのかと思ってたんだ」って…
ヤベーΣ( ̄□ ̄;)
で、窓の外を見てみると、確かに露天風呂が見えるが、浴槽は見えないし距離もある。
これはバレてない♪
ホッとしたオイラたちは「まぁまぁカツオさん。飲みましょうよ」と言って布団の上で飲み始めた。
翌朝、顔を洗ってから朝食会場に着いて驚いた!
なんと、朝から烏賊の刺身が盛ってある!
すると先輩の1人が「中居さぁ~ん!ビールビール!10本持って来て!」っていきなり注文しとる(;^_^A
オイラたちが怪訝な顔つきでいると、その先輩は「烏賊の刺身があるのにビールを飲まないバカはおらん」と豪語していたが、朝食会場に居合わせた他のツアー客は「バカはアンタらだよ」って冷たい視線をオイラたちにまで浴びせてきやがった( ̄□ ̄;)!!
しかし運ばれてきたビールを飲まずにいられないオイラたちは朝から盛り上がっていた。
しかし大人のカツオさんは冷静に朝食を食べながら「昨日の風呂は良かったなぁ」って呟いた。
それを聞き逃さないのがオイラたち!
「カツオさん、露天風呂じゃなかったんですか?」、「どこです?そんな素晴らしい風呂は?」、「さすがカツオさん!そんな素晴らしい風呂を見つけるなんて!教えて下さいよ」と機関銃のようにまくしたてるオイラたちに慌てたカツオさんは、つい「地下の大浴場」と漏らしてしまった。
その瞬間、キンちゃんが「チョッ」と小さく舌打ちした。
オイラはサッと腕時計を見た。
そして即座に「ごっそさぁん」と叫んで立ち上がった。
キンちゃんを含む他の先輩五人も口々に「ごっそさぁん」と叫んで立ち上がった。
立ち上がったオイラたち六人は視線を合わせた。
全員の目がギラリと光り、口元はニヤニヤしている。
もちろん、オイラもそうだったに違いない。
そして六人は朝食会場を飛び出し、地下の大浴場めがけて走った。
しかし巨大温泉ホテル。地下の大浴場まで遠い。しかも出発までに部屋に戻って荷物も取ってこなくちゃならない。
諦めるか?
するとキンちゃんが「虎!あと何分?」と走りながら聞いてきたので「出発は8時!今は7時20分!入れるのは5、6分!」って叫ぶと、キンちゃんたち先輩は「楽勝楽勝~」と叫んでいる。
数分後、すっ裸になったオイラたち六人は地下大浴場の入り口をビシャーン!と開け放ち、ヌハハハハハ~と高笑いしながら大浴場になだれ込んだ。
そしてギャハハハ~と狂気に満ちた笑い声をあげながらた、その大浴場の浴槽に次々と飛び込んだ!
朝からビールを飲み、更に大浴場まで数分間の全力疾走をしたあとの温泉は効いた。
ぐるぐる目が回る(◎-◎;)
完全に酔っ払っている…
そんな中、キンちゃんが大きく息を吸い込みながら「忘れちょんな!(忘れちゃいけないぜ)これがまさに本だし!これがカツオ風味じゃ!」と叫ぶやいなや、オイラたち全員による「カツオ風味の本だし~♪カツオ風味の温泉~♪カツオ風味の大浴場~♪」の大連呼ががらんとした地下大浴場に響き渡った。
一息ついたところで、オイラたちの悪のりが始まった。
「さすがカツオさんが入った風呂じゃらい!お湯がギラギラしとる!」、「肌もヌルンヌルンすっど!」…
そう、カツオさんは脂性なのだ(;^_^Aアセアセ
そして「やっぱカツオさんが入った風呂だから、オレらも変態になるんかぁ?」、「今夜は風俗に直行かぁ?カツオさんとぉ!ギャハハ~」…
そうなのである、カツオさんは紛れもなくド・すけべなのであるw(°0°)w
オイラが「カツオ風味の大浴場じゃなくって大欲情だわな」って呟いた途端、「カツオ風味の温泉で~♪カツオ風味の大欲情~♪」の合唱が始まってしまった。
ふと大浴場にある時計を見てオイラは叫んだ。
「ヤベー!あと10分しかない!」
脱衣場でろくに拭かずに着替えを済ましたオイラたちは、エレベーターなど使わずに猛ダッシュで部屋までもどって荷物を取り、そしてフロントでぜぇぜぇ息を切らせながらチェックアウトを済ませてロビーにたどり着くと、カツオさんを含めた同僚たちと同じツアーの客が冷ややかな目でオイラたちを見ていた。
しかしキンちゃんが「ホテルが巨大すぎて迷いましたぁ!テヘヘ」と笑い、更にオイラたちは風呂でのぼせたのか酔っ払ったのかわからないが顔は真っ赤っかで、しかも汗だくだったのが功を奏したのか「ちょっと大きすぎるよなぁ」とか「あんなに一生懸命走ってきたんだから」と同情の声が上がり、なんとか無罪放免となった。
バスに乗り込みホッと一息ついていると、キンちゃんが隣の席に移動してきて「なぁ虎ちゃんよぉ。カツオ風味の大浴場で大欲情だったよなぁ?お前も今夜は風俗に付き合えよぉ」って誘ってきた。
オイラはギョっとなり「勘弁してよ。欲情してないっつーのよ」って突っぱねた。
キンちゃんはオイラが頑なに風俗に行くのを拒絶するので、意地になってるかのように旅行に行くたびに誘ってくるのだが、オイラはそのたびにのらりくらりと逃げていたんだが、今回は「お前も歌っていたよなぁ?大欲情~♪ってな」って騒ぎ始めた。
シッー!他の人に聞こえるっつーのよ。
しかし、オイラは策を練っていた。
次の観光地で下車した時、オイラはカツオさんに近づいて、そっと耳打ちした。
「カツオさ~ん、キンちゃんが今夜あたり風俗どうっすかぁ?って言ってましたけど」…
するとカツオさん、ニターっと笑ってキンちゃんにささやいている。
キンちゃんは苦笑いしながらオイラをキッと睨んだのだが、時すでに遅いし。
その夜、キンちゃんはカツオさんに引きずられるように夜のネオン街に消えていった。
良かった。オイラ、風俗ってダメなんだよ。
そして心の中でカツオさんに感謝した。
「カツオさんがド・すけべで助かりましたぁ」ってね。
この記事は、
カツオ風味の~♪ について書いています。