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職業柄色々な人や車、販売店と出会ってきた。

尊敬すべき点や学ぶべき姿勢、情熱を持った人々に出会えたことは幸運なことだろう。


しかし、ある日の都内某所の販売店ですごく残念な気持ちになった。


「今日はスーパーカーが撮れるよ。」店舗に向かう道すがらにディレクターが言った。
スーパーカーはまだ取材という形では撮影経験がないので気持ちが弾んだ。

どうやらフェラーリ、ランボルギーニといった中古車を販売する店舗のよう。

国道に面した店舗のガラス越しからフェラーリとランボルギーニが並んでいるのが見える。


店舗に入り、挨拶。

いかにも嬉々とオートメッセに出てそうな外観のスタッフたち。

店内を見渡すとあちこち剥がれかけた壁紙に安っぽそうな備品。

ディレクターがスタッフと話してるのを聞いてても何も中身がなかった。

あぁ、この店は車好きのお客さんが来てはいけないところなんだなと悟った。


撮影中、スタッフ同士が談笑してたのを聞いてると（バカみたいに大きい声だったので）
いわゆる、メーター戻しをやっちゃえばいいじゃん的な内容だった。（隠語を使ってはいたが分かる人には分かる）
それを営業中にも関わらず言っちゃうんだなー、とある意味感動すらした。


今回の取材は「外車の優良販売店」を紹介するといった趣旨である。

僕が撮った写真、ディレクターが作った記事で優良店として紹介され、本ができ、読者の手に渡る。
何だか悪の片棒を担いだ感じになってしまったのがただひたすら虚しいのだ。


Ferrari 458

「やっぱりこっちの車にするね」

ディレクターが指差す方向に振り返る。

そこには真っ赤な車、「アルファロメオ GTV」が鎮座していた。


折れた。

この車が悪いとは言わないけど俺はランチアデルタを撮りたかったんすわ...。

母に「今日の晩御飯はカレーよ。」と言われウキウキして帰るとシチューになってた、そんな気分。


仕事だから仕方ない、気持ちを切り替える。

撮影場所に向かうまでアルファロメオをジャーナリストさんが運転し、僕はその運転シーンを撮影する為に助手席に乗り込む。


外は相変わらず激しい雨が降り注いでいた。


5分ほど走ったころだろうか

右折待ちで停車し、発進しようとクラッチを繋ぐ。

クラッチが入らない。

まったくのスカスカ。

後ろからはクラクションの嵐。


幸い、偉大なるジャーナリストさんが何とか頑張ってくれてヨロヨロと路肩に車を停めることができた。


結局、この車では撮影が不可能&この大雨&日が沈んできている、と色々な要因が重なり、今回の撮影は中止。



何が一番つらいかというと、この日は別の仕事も入ってたのだけどそれを断ってまで来た結果が撮影中止だということ。



とても悲しい。

10月22日（水）

この日の東京はヘビーウエット。

そんな最中、某店へ取材に向かう人がいた。

そう、紛れもなく俺だった。

この雨のおかげで気分は相当ブルーだった。

なぜなら、今回の取材で「ランチアデルタ HF インテグラーレ」を撮影することになっていたからである。

前夜は子供のようにワクワクして寝れなかったほどだ。


しかし、生憎もへったくれもないほどの雨。


shopに行き、現車を見る。

やはり素晴らしくかっこいい。


そこで、ディレクター様が何やらジャーナリスト様と話し合っている。

話の流れからすると何やら胸騒ぎがする。


続く


「ランチアデルタ HF インテグラーレ」
今回撮影予定だったランチアデルタとはまったく違いますが。

手前の青い車はALFAROMEO/Spyder。

珍しい車ですね。

今更ながら日本カー・オブ・ザ・イヤーはMAZDAのデミオです。
低価格でありながら優れたデザイン、素晴らしい車ですね。