
ピッ。
ガゴンッ。
プシュッ・・・ゴクゴク・・プハッッ!!
ここは山のふもとの交差点の角にある自動販売機。ちょうど山に入るときの入り口になるところだ。
いつもひとっ走りした後はここで一休みするのが日課である。
FDはまだすごい熱を放っている・・・車体から上がる陽炎。鼻にツンとくるゴムの溶けた匂い。
キン、キン。
鉄が冷めていく時の特有の音が聞こえる。
キンッ、シュボ!
チリチリ・・・カキンッ。
「ふー」・・・タバコの煙がしばらく舞って心地よい風とともに流れていく。
いつもの車、いつものテストコース何一つ変わらないいつもの日課だった。
スタートライン手前の待避所に止まる。
シュルシュル・・ギシッ。
4点シートベルトを締める。これをするだけでだいぶ気合の入りようが違うってもんだ。
「さて・・・」
軽くアクセルをあおってスタートする。いつも通り軽いスタートだ。
1コーナーまでに住宅が2件ある。そこで踏むような無粋な真似はしない。
1コーナーを曲がりきってストレートにノーズを向けるまでは5速パーシャル走行だ。
1速・・2速・・3速に入れてすぐブレーキング。いつも通り軽くハンドルを切る。
クンッ。
「なっ・・・!!」
思わず声が出る。この舵角だとインに突っ込む。
思わず修正舵を入れる。当たり前の用に不安定になるFD。
4輪のグリップに全神経を走らせる・・。
しかしFDは予想に反してしっとりとした動きで落ち着きコーナリング再開し始める。
「あれ?」
若干の疑問を持ちながら次のコーナーの進入に入る。
クンッ。
やっぱりだ。やっぱりノーズの動きが前と比べ物にならないぐらい機敏になってる。なんて言ったらいいんだろうか・・今まではタイヤの舵角が10度だとしたらハンドルは15度は切っているような感じ。それがびったしとリンクしている。
ここまで変わるもんか・・
衝撃を受けながらすでに中間地点。ここからは民家がまた3件あるのでスローダウン。
いつもはその先の十字路で切り返すのだが今回はかなり車の挙動が変わったのでテクニカルコースに入るため右に曲がる。
いつも走っているのは3速主体の中~高速コース。そしてこれから向かうところは2速主体のテクニカルコースだ。当然道幅も狭い。
しばらく走って T字路を抜けたら後は一本道。全開に入る。
相変わらず前後のピッチングがひどい。・・まぁダンパーが死んでるから仕方ないか。
さてこのコースの醍醐味が近づいてくる。上りながらの大きなS字コーナーだ。ここをドリフトしながら駆け抜けるのが好きだったりする。
・・・といってもただのパワーオーバーなんだが。
入り口が狭いのでゆっくり入って比較的早い段階からアクセルオンをしていく。いつもなら若干フロントが逃げた後にリアが限界を超えてブレイクする。
そこでハンドルをまっすぐに向けてゼロカウンターで抜けて次のコーナーに向けてふりっかえしをしていく。
はずだったんだ。
いつも通りハンドルを左に切る。当然さっき体感したフロントの感覚のズレは考慮している。クリップに付いた。ゆっくりアクセルを踏む。たちまちフルブーストまでブーストメーターの針は跳ね上がる。
ここで若干フロントがアンダーを出して・・・・
?
出ない。
少し多めにアクセルを踏む。・・出ない。
出るどころかすごい勢いでインのガードレールをなめていってる。
さらにアクセルを踏んでリアを出してみようかな。
これがまた出ない。
もうアクセルは8割は踏み込んでいる。いつもならリアがたちまちブレイクしてケツから壁に刺さっているレベルだ。
それどころかフロントと相まって恐ろしい速度で曲がっていく。油断したら意識ごと脳みそが右後輪らへんまで持っていかれそうだった。そんな感覚。
ようやくリアが出たのはコーナー出口での事。そのまま無理やりふりっかえして次の左コーナーをドリフトで抜けてみようとか考える。しかしそのままリアは一瞬にして落ち着きグリップしだす。
まるで限界が見えない。
四苦八苦しているうちに折り返し地点。いつもならそのまま国道に抜けて帰るのだが、まさかのUターン。こいつの限界が知りたいんだ。
それから自販機のところに戻ってきたのは約1時間後。
山を走るときのルールとしてどんな事があっても8割でやめる事。それ以上の領域に踏み込んでいくと事故る。そうだったはずだったんだが。
今回は限界ぎりぎりのところまで踏み込んでいった。今まで経験した事のないGが体に襲う。しかも休憩無しの4本。
車を降りて初めて出た一言が
「気持ち悪い」
ふがいない事に酔ってしまった(笑)
扱いこなせていると思ったんだけどなぁ・・・
こいつとの関係はまさにいたちごっこ。
性能に驚愕して腕を磨いて振り回せるようになる。
そして不満を改良して、また車に弄ばれる。
「また置いていかれちまったなぁ・・・また腕磨かないと。」
そうつぶやいてタバコのを灰皿に押し込んで残りのコーヒーを押し流す。
そうして心地よい疲労感と車酔いでけだるい体にムチを打って俺は帰路についた。
ってな感じで今回は小説風に書いて見ましたが・・・パネェwwwwww
タワーバーとリアスタビでここまで変わるとは思ってませんでした。
お前ダンパー死んどるやんけ!ってつっこみ入れたくなりましたよ。もうほんと。タワーバー純正で付いてるからいいやって侮っているそこの貴方!!
変えてみると意外とびっくりするかもしれませんよ!しかし運転手が車酔いとか情けねーなwwwwwwリアスタビも1000円で買ったのにここまで効果があると笑っちまいますねww最近FDがコーナリングマシンって言われる理由がわかってきた気がしますわ。