2012年12月03日
■笹子トンネル事故、死者9人に 乗用車から3人の焼死体
(朝日新聞デジタル - 12月03日 8時30分)
http://www.asahi.com/national/update/1203/TKY201212030208.html
中央道の笹子トンネルは、私にとって最も馴染み深いトンネルの一つだ。
潜り抜けた回数はおそらく100回は下らない。
大月と勝沼を隔てる笹子峠を貫く「笹子」の名前を冠したトンネルは道路鉄道合わせて現在6本ある。
開通の年代順に並べると以下の通り。
・1903年(明治36年)2月開通 中央本線下り線用「笹子トンネル」全長 4,656.2 m
・1938年(昭和13年)開通 旧国道20号線(現山梨県道212号線)「笹子隧道」全長 240 m
・1958年(昭和33年)開通 国道20号線「新笹子隧道」全長 2,953 m
・1965年(昭和40年)開通 中央本線上り線用「新笹子トンネル」全長 4,670 m
・1975年(昭和50年)完成 中央自動車道上り線「笹子トンネル」全長4,784 m
・1975年(昭和50年)完成 中央自動車道下り線「笹子トンネル」全長4,717 m
ちなみに私はすべてのトンネルをくぐった経験があるが、いずれも当時のトンネル技術の粋を集めた素晴らしいトンネルである。
幼い頃、この笹子トンネルは開通してからまだ数年しか経過しておらず、真新しい坑口と当時としては気が遠くなるほどの長い全長、そしてトンネルとしては珍しく「天井」がある近未来的構造に加え、トンネル独自の「別世界への入り口」という期待感で、私はいつもわくわくしながら通り抜けていたことを思い出す。
そのトンネルが、死者を9名も出す最悪の事故を引き起こしてしまった事はとても悲しい。
開通してから一番新しいトンネルであるにも関わらず、だ。
しかもその原因が地盤の崩落ではなく、設備の老朽化と点検の不備による、トンネルの「穴」そのものには全く問題が無い「人災」だった事が余計にやるせないのだ。
日本のトンネル技術は世界に誇るレベルのはずではなかったのか。
先人達が、まさに岩に噛り付いて築き上げた技術と地位と名誉に胡坐をかいていなかったか。
「日本が溶け始めている」と言ったのは前石原都知事だったか。
私が好きな道を、思い出深い場所を、どうか悲しみの場所に変えないでほしい。
亡くなった方々のご冥福を心よりお祈りいたします。
Posted at 2012/12/03 15:04:27 | |
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