~マイフェイバリットなクルマたち Vol.1~
第1回は、トヨタの高級FFハードトップ『
ウィンダム』(
2代目・MCV20/MCV21・1996.8~1999.8MC~2001.8)です。
ちなみに、ウインダムではなくて ウ“ィ”ンダムです。
Are you WINDOM?
搭載エンジン:MCV20…3.0L V6 MCV21…2.5L V6
MCV21 ウィンダム 2.5G 前期型
面の美しいスリークなフォルム、ドアはサッシュレス
2001.5.24 新潟陸事にて
初代(VCV10/VCV11~)は、レクサスESの日本版として導入され
エグゼクティブを印象づけるCMで話題になったと記憶していますが、
初代・2代目・3代目とあるうち 私の中でもっとも印象に残っているのは
1996年8月登場の2代目…のエンジンの“音”です。
フェラーリV8や VWのW8などなど 官能的であろうエンジン音を体感した事のない
自分が知る かなり狭い範囲内でですが、今まで運転した数あるクルマの中では
20系ウィンダムの2.5L「
2MZ-FE」が
最も官能的と感じたエンジンなのです。(ちなみに、スターター音も良いです)
それまでのナローなカムリの匂いをどことなく感じさせる初代ウィンダムに搭載されたのは、
3.0L 3VZ-FE・2.5L 4VZ-FE。そのVZ系から一新されたのが、本題の2MZ-FEを含むMZ系エンジン。
わかりやすい進化点は、モーターのように滑らかにスムーズに回るようになったこと。
VZ系がどうこうというより、MZ系が別次元なのです。
スムーズな回転という美点は、MZ系の後継であるGR系エンジン(180系クラウンが初搭載)にも継承されています。GR系の2.5L 3Lは、MZ系よりもさらにモーター系の音色で、黒子に徹して 過度な主張をしてきません。(3.5L以上のGRだと粒が少し粗く聴こえます)
ただ、ひたすらにスムーズな印象なGR系(←燃費は向上したようです)に対して、
2MZ-FEは高回転での快音が付加されるのです。
低回転域ではV6らしいくぐもった音ですが、いったんアクセルを踏み込めば
フリクションを感じない吹け上がりとともに 4000回転あたりから
この快音で(静かながらも)室内が満たされます。
トヨタでクラスで重なる直6エンジンのFR車マークⅡ・クラウンが「コク」だとすれば、こちらは「キレ」。
MZ系V6の音は、直6の勇ましいものとはまた違って、新しい世代を感じさせるものです。
クルマ自体で比較すると、静かさの質もドライブフィールも異なります。
当時の国産V6エンジンで思い起こすと、日産には
FF車セフィーロにまず搭載された 新世代「VQエンジン」がありました。
高回転域のスムーズネスは トヨタのMZ系ほどではなかったように記憶しています。
(のちにJ32ティアナで体感した際にはかなりブラッシュアップされていましたが…)
また、ホンダのJ型エンジンは、スムーズさと重厚感を兼ね備えた濃密なフィールもあって素晴らしく、
トータルで考えると トヨタのMZ系を上回っているかもしれないと感じます。
トヨタ2MZ-FEのアドバンテージは、淀みなく回ることに加わる“音”(官能性)です。
3.0G前期型のコックピット
当時の日本的高級車と比べると、質感は高いもののシンプル
※写真の個体は、オプションの木目調パネル(センタークラスター上側)が追加され、ナビは 純正2DINから社外品(カロッツェリア)に換装されています
3L 1MZ-FE・2.5L 2MZ-FEとあるMZ系(ハリアーハイブリッド・クルーガーハイブリッドに搭載された3.3L 3MZ-FEはここでは省略します)の中で、あえて2.5L 2MZ-FEに限定して紹介した理由は、3L 1MZ-FEの場合 この快音が出るのが一部車種に限られるからです。
2.5L 2MZ-FEであれば、車種を問わないのです。(搭載車種自体は少ないですが…)
その一部車種についてですが、20系ウィンダム前期型 1998年8月の一部改良時に 3L 1MZ-FEエンジンもVVT-i(可変バルブタイミング機構)搭載型に変更され、吹けにメリハリがつき 快音が出るようになりました。(それまでは、同じMZ系でも 2.5LだけがVVT-i搭載型エンジンでした)
1MZ-FE VVT-i 搭載仕様型エンジン
(3.0G前期型後期)
ただ、低速トルクが薄くて回転でパワーをかせぐ2.5L 2MZ-FEのほうが、
より日常的にこの音を楽しむことができます。3Lは全域トルク型です。
3Lの場合、2.5Lよりトルクがあるから 上まで回さなくても事足りてしまう
↓
でも 快音をききたいので、アクセルを踏み込む
↓
かなり踏み込まないとキックダウンしないから、道がひらけたら深く踏みこむ
↓
かぉぉ~~んっ!(かいおん)
むひひひ…。
↓
繰り返してるとガソリン食う(MZ系は燃費の良いエンジンではないんです)
メーターは、“黄ばまない”第2世代のオプティトロン
(3.0G前期型後期)
この快音を味わえる車種は、
<2.5L・2MZ-FE搭載車>
MCV21ウィンダム
MCV21カムリグラシア/カムリ
MCV21マーク2クオリス
<3.0L・1MZ-FE VVT-i搭載車>
MCV20ウィンダム前期型後期(VVT-i搭載型1998/8~1999/8)
MCV20ウィンダム後期型
MCV20マーク2クオリス後期型(※音は未確認ですが、たぶん快音)
この後2000年1月に登場した30系エスティマから、VVT-i搭載型にもかかわらず、
スムーズさはそのままなのですが なぜか高回転での快音が消えました。
(下から上まで音色がずっと同じ感じ)
※快音云々というのは個人的な感覚の話でもあり、モデルによってエンジンの出来を否定するものではありません。後発のほうが改良点が多い可能性も勿論ありますし…。
・快音が消えた1MZ-FE VVT-i搭載車種・
30系エスティマ
10系アルファード
10系ハリアー後期型
30系ハリアー
30系ウィンダム
プロナード
・1MZ-FE VVT-i非搭載・※参考
MCX10アバロン
MCV20ウィンダム前期型前期
10系ハリアー前期型
快音が消えてしまった理由は、排気の取り回しなどのメカニズムの変更なのか 私にはわかりません。
いかにしてMZ系エンジンがこの快音が出せたのか そして消えたのか、この2点については エンジンをつくりあげたエンジニアさんといつかお話ししてみたいとずっと夢見ています。
登場から20年以上が経ち、程度の良い個体は 多くは出回っていないかと思います。
前オーナーの使用状況(低回転域の多用など)によっては、滑らかな吹け上がりが得られずに 高回転の気持ち良さを体感できない個体も稀に存在します。
所有せずとも、エンジンのフィーリングだけはぜひ一度体感していただきたいです。
そういう自分も、余裕があるものなら 所有して音を楽しみたいです。
グレード選びについては、新車時ですと
ステアリングホイールとシフトレバーがウレタンで パワーシート,アルミホイール,可変ダンパー(スカイフックTEMS),2DINナビなどが付かない ベースグレード「2.5X」は装備面でさびしく感じたものでした。(価格が200万円台後半と安く、現在でいえばマークX並みのバーゲン価格!?)
TEMS,VSCといった電子デバイスが少ないことは、故障の事を考えた場合 今は逆にメリットにもなりましょう。
前期後期2.5L 3Lで 快適装備・安全装備なども細かく異なりますが、
今選ぶなら 後期型の2.5Gか3.0Gかな。米国ファッションブランドCOACHの本革シートをあつらえてラグジュアリー感に溢れたコーチエディションや 16インチホイールを装備した精悍なクルージングエディション(後期型で追加)も魅力的です。
アルミホイールのサイズは 前期型は15インチのみ、後期型でも15インチと16インチだけです。
大径化しなかった点は、15インチのみのプログレと相通じるものを感じます。あえてのこだわり?
可変ダンパーTEMSのセレクターがついたコンソールパネル
(3.0G前期型)
前述の、プラットフォームをともにするMCV21カムリ/カムリグラシア/マーク2クオリスでも同じ快音は味わえますが、各所がスペシャライズされたウィンダムではその良さがさらに際立ちます。充実した装備・高い質感もあいまって、より快適なクルージングを楽しめると思います。
高速走行安定性などについては、BMW5シリーズで同じ行程を走ったら別物のように“軽く”感じてしまいましたが、クルマ自体の話はまた別の機会に。。
MCV21 ウィンダム 3.0G前期型後期
(販売期間1年の希少モデル)
ツートンカラーが映えます
2009.6.10 昭島にて
リアスポイラーは全車でオプション
写真の個体には社外品バックカメラが装着されていますが、純正での設定はありません
~マイフェイバリットなクルマたち~
Vol.1
トヨタ・ウィンダム2代目
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トヨタ・エスティマ初代
Vol.3
日産・ティアナ2代目
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ホンダ・フリード初代
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トヨタ・ビスタ/アルデオ5代目
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