
みなさまこんにちわ。
突然ですが、子供の頃ラジカセを買ってもらう、或いは買おうと思ったとき、「日立製はすぐに壊れるからやめたほうが良い。」なんて言われたことがありませんか?
私は少なくとも言われたことがあります。
実はこの「やめたほうが良い」という答えが数十年経った今解明されたのどぇす!
その解明された「答え」とは…。
純正カセットデッキを修理する少し前、

(松下 RX-F6)や、

(日立 TRK-LX-5)を修理して分解したときのこと。
ほぼ同年代製品なんですが、ナショナル製は再生できるものの、オートストップ機能が働かない不具合でしたが、日立製は再生はおろか巻戻、早送もできない状態でした。
本来カセットデッキは再生、早送、巻戻などは全てベルトで伝達し、キャプスタンやギア駆動をさせます。このベルトがゴム製品であり、経年劣化でゴムが劣化し、最終的に駆動できなくなってしまうのです。
先ずは松下製。

交換前の状態です。見た目は大丈夫なようですが、実はゴムが伸びてしまい、モータ駆動時に滑ってしまいます。
次は日立製

これはケーシング部分ですが、ご覧ください。ベルトが折損し、しかも溶けてしまっています。
そう。もうお分かりですね。日立製が「壊れやすい」という理由が。
其れは…、
ゴムベルトが折損しやすい環境ということ。
ナショナル製はキャプスタンに使用されているゴムベルトは平ベルトなのに対し、日立製は角ベルトなのです。
キャプスタンと言えばカセットを駆動するに際して一番力がかかる部位。なのにもかかわらず、細い角ベルトで駆動させてしまったら、すぐに切れてしまうのは一目瞭然。
たぶんこれは作為的であり、買い替え需要を狙ったものだと思われます。
他に日立製品は掃除機においても同様のことが言え、モータがブラシ式なのです。
小型ブラシレスモータを開発できる「モータの日立」が未だに家電品部門でオーソドックスなブラシ式を使っているのはまさに「買い替え需要」を狙っているからなのでしょう。
前置きが長くなってしまいましたが、今回修理した2台も日立製。分解してみたところやっぱり…。

あんなところや

こんなところが折損しておりました。
酷いのになると折損したゴムが溶けてドロドロになっているものもありました。
現在車載している純正デッキは松下製ですが、30年経過した今でも故障なく動いておりますが、日立製はご覧の通り。このサイズの規格デッキは、ブルのほかセドリックなどにも使用されていたそうですから、「動かなくなった」と困っている方の大半は日立製なのではないかと思う位です。
そんな日立製カセットデッキ。「動かなくなった」からとガッカリしないでください。捨てるなんてもってのほか!!
これから、分解方法と修理手順をご紹介します。社外品に交換しようと思う前に、純正にこだわりたいけど、ジャンクじゃねえ~。と落札に手をこまねいている方、これを見てもう一度考え直してみてください!!
(但し、ご自身で分解し修理された際の責任は一切持ちかねますのでご了承ください。)
~分解方法~

①前面パネルをはずします。

②上ふたをはずします。

③下ふたを外します。
※下ふたを外した際、後ろ側の配線にご注意ください。注意しないで無理にメカ部分を引っ張り出しますと・・・。

このようにブチ切れてしまいます。
其れともうひとつ大切なことは、

整理整頓しておきましょう。このようにどこのネジがどこにあったかなど分けてケースなどに保管しておくと組みつけのときに判断に迷うことが軽減されます。
このような構造の場合、今までの経験からゴムベルト部は底面にあります。
切れているのも含め、一旦ベルト部を取り外し、寸法を測ります。

こんな感じで紙に貼り付けておくとやりやすいです。
逆の手順でデッキを元に戻して、ベルトを調達しましょう。
おっと、調達する前に、こんな感じで状況を記載しておくと、その後の修理がやりやすいですよ。
そんなんマニアックなパーツを扱ってる街は大抵秋葉原。
近い人は電車で行くなりして、勝手に探せや。ですが、遠方の方は通販も出来ます。
「千石電商」さんはこの手のメカトロニクスに非常につよ~い味方なのでオススメです。

ってなワケで調達したゴムベルト。
いよいよ取り付けです。

取り付けてキャプスタン蓋を取り付けた状態。
ゴムベルトサイズを余白に記載しておくと次回発注のとき便利です。
固定の際振動によるネジ緩み防止に、瞬着を一滴垂らしておきましょう。←
チョットダケヨ~。
次はいよいよ試運転。
仮想状態を作ります。

私の場合は予備のアンプがあったのですがない場合は、各自で工夫の程。電源はNゲージ鉄道模型のパワーパック。(あ~た、これがまたMAX12V出るようで、14Vも出るのよ。オルタネータと同じ状態作れるんですよぉ~!!)

下蓋と前面パネルを仮固定して再生します。下蓋にメカ部分が接触していないと、リバース機能するソレノイドが正転逆転を断続的に繰り返します。
問題なく再生、巻き戻し、早送り、ディレクションが出来たならばOK。

ヘッドをアルコールで清浄して逆の手順で元に戻しましょう。
番外編。
3台あるうちの1台は部品取り、2台が稼動状態なんですが、そのうち1台はまあなんと早送り、巻き戻しが出来ない上、カセットフレームが歪んでいる最悪のコンディション。
それでも、何とか直してみました。

まずは早送り、巻き戻しをする際に駆動するこのパーツ。これらを引っ張っているバネの力が弱まり、リールを回せなくなっておりました。バネを引張力の強いものと交換。

フレーム歪みを起こしていてカセット挿入できなかったやつは部品取りから移植。
恐らく大変はゴムベルト交換のみで息を吹き返すとは思いますが、ごく稀にこのようなことがあります。
しかしながら諦めずに研究してみてください。特にこの世代のメカは「修理する」前提で作られているので、部品取りさえ確保していれば、大抵直ります。
日立製品を揶揄するような文章だったかもしれませんが、それはカセット排出時のエレガントさとキャプスタンを回すベルトの長所短所。松下製はイジェクト時、カセットをペッと吐き出すような勢いで排出されること、平ベルトは、耐久性はあるが、交換時寸法がより正確でないと再生スピードに狂いが出ることです。対する日立製はそお~っと出てきますし、角ベルトだと若干の誤差でも再生スピードは一定を保つことができます。この辺の心遣いが日立らしさを感じるんですよね。
ではでは。