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OX3832のブログ一覧

2023年03月13日 イイね!

花粉症と時間操作

花粉症と時間操作「今まで花粉症じゃなかったんだけど,今年は目が痒いし,鼻水は出るし,くしゃみもするし,いよいよ閾値を越えたのかなぁ~?」なんて話をオレさまにしたら,「これをやろう」と花粉症の薬をくれました.その薬の値段を聞いてびっくりしたのですが,この人,苦しむ人(仲間?)に対しては優しいんだなぁ~と少し見直したOXです.

さて,私が花粉症かどうかはともかく,埃アレルギーの症状はあるので,発症した時の辛さは少しは分かるつもりです.

私の周囲にも花粉症の人はいて,見てて可哀相になるくらい毎年ボロボロになっているので,「そんな状態で運転なんて無理でしょ・・・」と思うのですが,そういえばサーキット走行中にクシャミでクラッシュしたなんて話は聞かないなぁ~と思いました.最近の花粉の量は目に見えるレベルなので,言わば砂と一緒.「花粉にのってタイヤが滑ったぁ~!」なんて事は今後起こり得そうですね(笑).

時事ネタなので,auto sport web版にもこんな記事が出ていたのですが(↓),

  花粉症、今年はすごく辛いですよね。ところでレーシングドライバーって大丈夫なんですか?

コースに出て集中し出すと症状は出ず,ピットに戻って来て気が抜けると症状がぶり返すのだそうです.「へぇ~,何か因果関係があるのかな?」と思い調べてみると,「自律神経(交感神経と副交感神経)」の働きが影響しているのだそうです.


(ナガセビューティケァ:自律神経って、そもそも何?より)

「自律神経」とは,自分の意識ではコントロール出来ない無意識に動いている神経だそうで,「交感神経」をアクセル,「副交感神経」をブレーキとして例えて,両者でバランスをとっているという説明を目にします.

どうやら人間のコントロールは3ペダルではなく2ペダルで行われているらしく(笑),右足でアクセル or ブレーキのどちらかを選ぶのではなく,右足でアクセル・左足でブレーキと独立して両方踏む事が出来るようで,両方踏んだ時にアクセルが勝ってしまえば加速する(≒興奮する)し,反対にブレーキが勝ってしまえば減速する(≒落ち着く)のだそうです.



最近のクルマは「ブレーキ・オーバーライド・システム」があるので,両方踏んだら必ずブレーキが優先されますが,人間にはそんなシステムはないので,ブレーキが勝つとは限らないようです.


花粉症は副交感神経(ブレーキ)が優位な時に症状が出易いそうなので,コース上ではアクセルをいっぱい踏む(=交感神経が優位になる)と症状が治まり,ピットに戻って来てブレーキを踏む(=副交感神経が優位になる)と症状がぶり返すという仕組みなようです.

但し,アクセルを踏んでいても気を抜いていると,副交感神経が優位になってしまい症状が出るらしいので,長いストレートでも気を緩めず,最後まできっちりアクセルを踏みちぎりましょう!(笑)


(アタック中はレブに注意を払っているので大丈夫だと思いますが,クーリング中は油断しそうですね・・・)


そんな感じで,サーキット走行は花粉症のコントロールすら求められる環境な訳ですが,アクセルを踏んでると自然と上がる心拍数に関して,最近興味深いニュースを見ました(↓).

  人が感じる瞬間的な時間は心拍の影響で伸び縮みすると判明!

「楽しい時は時間が過ぎるのが早く,退屈な時は時間が過ぎるのが遅い」というのは誰しも経験がある事だと思いますが,「1秒未満の極短い時間に対する人間の感じ方は,心拍数によって変動する」のが最近の研究で分かったのだそうです.

研究の詳細はリンク先を読んで頂くとして(フェイクニュースじゃないよね??),要約すると以下だそうです.

  心拍数が高い時 ・・・ 実際の時間よりも長く感じる
  心拍数が低い時 ・・・ 実際の時間よりも短く感じる


これを読んで「ああ,なるほどね~」と私は思いました.
例えば,あまり嬉しくないですがクラッシュしそうなヒヤリとするシーンに遭遇した際(↓),



その時の映像を後から見返した時にこう思ったりしませんか?

  「えっ? こんな一瞬だったの??」
  「乗っている時は,もっと長く感じたんだけどなぁ~」

・・・と.これって乗っている時は「ヤバイ!?」と思った瞬間に緊張して心拍数が上がり,その結果,実際の時間よりも長く感じていた証拠なんじゃないでしょうか?
(後から見ている時は落ち着いている=心拍数が下がっているので,当然短く感じますよね)


ここまでは「へぇ~,ふ~ん・・・」で終わる話なのですが,やっぱり競技選手は違います.
この「心拍数が上がると時間を長く感じる」というワザ(能力?)を意図的に使っている人がいるのだそうです.



例えば「スタート前に敢えて全力でダッシュする」とか.知り合いは昔「スタート前に車内で大声で叫ぶ」と言っていましたが,当時は緊張をほぐすためなのかなぁ~?と理解していたものの,実は時間操作の効果を狙っていたのかも??

実際の時間の流れよりもゆっくり感じる事が出来れば,実質的にはその分考える時間が増えるはずで,それによって結果的に次に起こる事象に対して素早く反応する事が出来るのならば,十分武器になりますよね.いやはや,正真正銘,勝つために出来る事は何でもやる!という執念を改めて学びました.


以上,花粉症と時間操作に関するお話でした.
Posted at 2023/03/18 12:23:21 | コメント(1) | トラックバック(0) | ドライビング理論 | 日記
2022年12月05日 イイね!

右足で左足ブレーキングしている

右足で左足ブレーキングしているAUTOSPORT No.1578に珍しく(?)ジムカーナの記事が出てました.

内容は今年「JG10」というAT車限定運転免許で運転出来る2輪駆動クラスに参戦した山野哲也選手にジムカーナドライビングを聞くという内容でした.

AT車限定免許なのでクラッチのない2ペダル車であるため,「2ペダル車でスポーツ」=「左足ブレーキ!」というところから話が始まります.

「よく,『山野さんはジムカーナで左足ブレーキングしてるんですね』って言われるんですが,山野は左足ブレーキを使っていません.そして,それに絡めて言えば,コーナリングではアクセルを開けるのは遅い方がいい.みんな,アクセルを開けるのが早過ぎ!」

「ジムカーナでは大きくて急激なGが頻繁にかかるので,足でしっかり踏ん張る事が出来る事の方が大事なんです.踏ん張れなくなると,例えばアクセルの微調整もままならなくなる.運転中の環境が乱れる事の方が,クルマの性能を引き出せない事に繋がる可能性が高い.3ペダルでもヒール&トゥをする時は左足がフットレストから離れて,身体が不安定になる事がある.それは避けたい.だから僕は3ペダル時代から左足ブレーキは使っていなかったんです」

「ラリーやシーケンシャルシフトのマシン等はまた別の話になるけど,一般車ベースで戦うジムカーナで,トップコンテンダーが左足ブレーキをした事によってタイムを短縮し,優勝を重ねていっているというのは見た事がないんですよね.それなら,左足でしっかり踏ん張って身体の軸を保ち,右足でブレーキを強く踏める,踏力を調整出来る,アクセルを微調整出来る,正確に転舵する,という事を優先する方がいい」


この話の前提は,あくまでジムカーナ(というかスピード競技?)の世界の話なので,サーキット走行ではまた別な話になるのかもしれませんが,山野選手が左足ブレーキによって得られる自由度よりも,基本的な操作の精度を優先している事が読み取れます.

これに対し,記者も少し食い下がって「コーナリングの最後の方でブレーキランプがチカチカ点滅している瞬間がある.アレは左足ブレーキではないのか?」と重ねて質問します.

「(ABSが作動する)急制動の時ではなく,クリップが近くなってきた時の話だから,リリースしていった時の最後にギリギリ離さないところが恐らくあると思う.ほんの少しだけ減速しながらクリッピングにスッと付きに行く時に.チカチカとは踏んでないけど,結果的にそうなっている.それで外からは左足でブレーキを調整しているように見えるんじゃないかな?」

「30年以上前のCR-X時代から言われているんですよね.言い換えれば『山野は右足で左足ブレーキングしている』って感じかな(笑)」


ブレーキランプというのは,ペダルに付いているスイッチでON/OFF(点灯/消灯)を判定している事が多いのですが,ON→OFFに切り替わるスレスレのところでペダルを繊細にコントロールしているという事なんでしょうね.それだけ繊細な操作をするのであれば,「左足で踏ん張れるかどうか?」も拘るよなぁ~と思いつつ,そのチカチカのシーンがないかな?と動画を漁ってみたところ,開幕戦の筑波でそれらしきシーンが見えました.



上の動画(↑)の48:34辺りから山野選手の1本目が見れるのですが,1コーナーを逆走するセクションで,そのチカチカらしきものが見えました.



この開幕戦は現地に観戦に行っていたので,当時のブログを見返して,このセクションがどういうものだったのか振返ってみると,



「1ヘアを立ち上がって,全開で2コーナーに飛び込み,ヨーが残った状態で1コーナー先のパイロンを回り込まないといけない部分(リアがフラフラになる部分)」でした.つまり,ハイスピードで回り込むために,出来るだけフロントの荷重が欲しいセクションですね.なるほど,先述の山野選手のコメントとも一致します.

ちなみに,同じ動画の4:18:51辺りで山野選手の2本目が見れるのですが,こちらはチカチカとなりませんでした.



それくらい微妙な領域なのか? 単に2本目はドライビングを変えたのか? 外から窺い知る事は出来ませんが,かなりレアな事象である事は間違いなさそうです.


さて,「左足ブレーキ」の話題とセットで山野選手はもう1つ「アクセルを開けるのは遅い方がいい」とも述べています.最近の流行とは矛盾する話ですが,どういう意味なのでしょう?

「まず,チカチカの話のように,山野はブレーキを残す量は結構多いと思います.奥まで残せるほど,ブレーキングをより奥から始められる.1mでも2mでも大きい.逆にブレーキを早く終わらせている人はブレーキをより手前から始めている.それはブレーキをクリッピングとかまで残さず,アクセルを早めに開けた方が速いというイメージがあるから.でも,多くの人が早めに開けて,立ち上がりでアクセルを『踏んで戻して』」という調整をしている.それが最もタイムロスに繋がる」



「勿論,調整をしないのなら早くアクセルを開けるのは賛成.アクセルペダルに足が乗った瞬間をゼロとして,そこから100まで一度もOFF方向にしないで早く100まで踏める,という事なら.でも,コーナーは大体放物線状で,どこかにクリッピングポイントがあり,そこまでにRが段々キツくなっていく.一番キツいのがクリッピングポイント.そこから緩くなっていく.角度が最も鋭いクリッピングポイントの横の前からアクセルを踏んだら,これからRがキツくなるのだから物理の法則に反する事になる.だったら,早く踏まず,奥までブレーキを残し,向きをしっかり変えた方がいい,という事なんです」

「アクセルのONのタイミングは遅くても,開度が高ければいい.そして,出来る事なら,アクセルは0~100まで一気に開ける.それが一番速い.あるいは,コーナーが長い等で一定のRが続くのであれば,0~15の間で一度キープしてから立ち上がりに向けて100.つまり,アンダーステアやオーバーステアが出る状況ではほんの少しだけ速度を維持し,全開で踏めるところになったら100にする.これは僕の過去のスーパーGTでもデータの裏付けのある走り方で,ジムカーナでもサーキットでも同じ.『ジワ~ッ』と開けたり,『パコパコ』したりするのは止めた方がいいね」


後半のニュアンスを読み解くと,「アクセルを開けるのは遅い方がいい」というより,

 ・アクセルを開ける時は一気に開ける
 ・その時,アンダーステアもオーバーステアも出さない
 ・開ける早さは,早ければ早いほどいい

という3つを実現しようとしたら,結果的には「アクセルを開けるのは遅くなる」という感じでしょうか.
アクセル開度の「早さ」ではなく,「量」を捉えた山野選手流の表現なのかもしれません.
Posted at 2022/12/06 19:35:48 | コメント(0) | ドライビング理論 | 日記
2022年12月04日 イイね!

止まれないのでは・・・と不安になる話

止まれないのでは・・・と不安になる話先月走ったTC2000で,1ヘアにアプローチする際のブレーキングで「止まらないなー」と思う事がありました.

ブレーキの踏み始めでイメージしている程の減速感がなく,スゥ~っと前に流れるような感じで,最初かなりビビりました・・・.走り出して初っ端の方だったので,身体の感覚がTC2000の速度域に追いついてないのかな?と思い,徐々に慣らしつつ,「大丈夫!大丈夫!」と自己暗示をかけていったところ,途中から気にならなくなりました.

走行後の分析結果でも,2本目のデータは1年前のものと大きな違いがなかったので,その後はスルーしていたのですが,AUTOSPORT No.1578の「ドライビング達人を目指すヒント」という記事を読んでいた時に,少し引っ掛かる一文がありました.



「ブレーキングを最短時間で完了するためには,タイヤのグリップを全て減速に使う必要があるので,直線で終えるのが基本.その上で,最大減速Gを出来るだけ早く立ち上げて,それを一定に保ちたい.クルマの重量配分や重心高等によって違いはあるものの瞬時に最大踏力に持って行くよりも,少し荷重移動を促してから最大踏力を保つ方が安定してブレーキング出来る」

フロントのスプリングレートを下げてから,ブレーキングを追い込んでいくとフロントタイヤがややロックするようになったのですが,これはまさに「荷重移動の促し」が足りてないせいかな?と気づかされました・・・って,気になったのはココではなく,次の一文(↓).

「G一定での減速をすると速度は距離に比例しては減速していかない.エネルギーは速度の二乗に比例するからだ.最初は減速せず,止まれないのでは・・・と不安になるが速度が落ちてくると一気に減速していく.だからこそ,この感覚を『尺』として刷り込む必要がある」

ああ,やっぱり感覚の問題だったのか! 先日のTC2000でも知らず知らずのうちに「G一定の減速」をやっていたんですかね・・・? やっぱりドライバーの感覚合わせが足りていなかったのかぁ~と思い知らされました.


ちなみに,この記事では最後以下のように纏められているのですが(↓),

「難易度が一気に上がるのは大きなダウンフォースが掛かっているF1を筆頭としたレーシングカーだ.200km/h超で車重を超えるようなダウンフォースが発生するレーシングカーの場合にはG一定では減速出来ない.大きなダウンフォースが掛かっている高速時には大きなGが発生するが,速度低下と共にダウンフォースも減少するからだ」

「操作としては最大踏力でブレーキを開始した後,減速に合わせてブレーキを抜いていく作業が必要となる.80km/h以下まで落ちるとほぼタイヤのグリップ力だけに頼ることになる.ツーリングカーとは比べ物にならない難易度がそこにある」

・・・との事.ちなみに私のEF8が発生しているダウンフォース量は,ちょうど1年前に試算した事があって,「120km/hで発生するダウンフォース量は車重の約1/4程度」でした.なのでレーシングカーのようなダウンフォースが全く出ておらず,ブレーキングの難易度が低い事も間違いないですね(当たり前!・・・笑).


さて,上の記事を読んで「じゃあ,あの時は減速G一定のブレーキングだったんだな~」と,当時のロガーデータを引っ張り出して確認してみたところ,



ア,アレッ!? Σ(゚д゚;)

青が1本目(止まらないなーと感じた時),赤が2本目(何も違和感がなかった時)なのですが,1ヘアの減速Gの形が違いますね・・・.2本目(赤)の方は1ヘアに迫るほど減速Gが大きくなっているので(赤いボールが上にどんどん進んでいくので),不安なくブレーキングが出来ている感じですが,1本目(青)の方は1.1Gの最大減速Gを出した後,次の瞬間には0.8Gまで一気に落っこちてます(青いボールが一番上に上がった後,カクン!と下に折れてる).しかもこの『落っこち』は130km/hくらいの速度域で起きている現象なので,ちょうどブレーキングを開始した後,「止まらないなー」と感じる部分ですね・・・(汗).

なんじゃこりゃ?? 折角記事を読んで納得しようと思ったのに,これじゃ,自分の感覚の方が正しかったという答えになっちゃうじゃないか!(苦笑)

えぇ~っ,本当に何だよコレ? 2本目は違和感なくスムースにブレーキング出来たデータになっているから,クルマの問題じゃないよなぁ~? だとするとブレーキの踏み方の問題か?? 1本目の車載はもう消しちゃったから,当時どんな操作してたのかもう確認出来ないし,いやはや参ったな・・・.


以上,ヒントを見つけたと思ったら,余計深みにハマったブレーキングの小話でした.
(あの止まらない感覚は怖いので,ちゃんと原因は究明したい・・・)
Posted at 2022/12/05 04:22:19 | コメント(1) | トラックバック(0) | ドライビング理論 | 日記
2022年12月01日 イイね!

ターマックとクロスオーバー

ターマックとクロスオーバー先月行われたWRCのラリージャパンで記事を見るまで,私はトヨタの勝田貴元選手が元F3ドライバーであった事を知らなかったのですが(WRCはクルマ側には興味があっても,ドライバー側にはあんまり興味が湧かないもので・・・),フォーミュラでサーキット路面を知り尽くした勝田選手が,ラリーのターマック(舗装路)との違いを語る記事が,AUTOSPORT No.1576に出ていたので興味深く読んでました.

よくよく考えてみれば競技が全く違うので,違いがあって当たり前なのですが,どこがどう違うのか?がなかなか面白かったです.



「走りのセオリーに関しては,勿論共通する部分もありますが,ラリーでは基本的に同じコーナーが来ないですし,コーナーによって舗装の種類が違ったりするので,路面のグリップが常に変化し,天候や出走順の違いによっても路面コンディションが大きく変わります」

「出来るだけタイヤを滑らせない方が速いのはサーキットもラリーも同じですが,アプローチは変わってきます.サーキットは,一つのコーナーで0.1秒を詰める作業の積み重ねですが,ラリーでそのようなアプローチを取ると,グリップが低いコーナーが急に出てきた瞬間にクラッシュしたり,立ち上がりでスロットルをオフにしなくてはならなくなって逆にタイムを大きく失う等,リスクが大きくなります.そのため,もう少し大きな幅を持って運転する必要があります」

「サーキットではオーバーステアを出すとタイムロスに繋がり易いので,弱アンダーというか,グリップに合わせてリアがフロントよりも出ないところで,トラクションをかけて立ち上がっていくのが基本だと思います.ターマックのラリーでも,路面コンディションが良くてグリップレベルが高いところでは同じですが,アンダーを出した時のリスクが大きいので,カウンターを当てるまでは行かなくても,少しリアが出るくらいで走る事が多いです」

記事の最後に「ターマックラリーのドライビングは,サーキットよりもグラベルラリーの方が近い」と纏められているのですが,この表現が少し目から鱗でした.確かにWRCの映像を見ると,(外から見る分には)ターマックとグラベルで大きくドライビングを変えているようには見えないのですが,それでもサーキット走行に近い雰囲気なのかなぁ~?と思っていたのですが違いました.

サーキット走行で例えるなら,ウェット路面で走行する感覚が比較的近いんでしょうかね・・・.


この後も色々語られているのですが,その中でWRC独特の「クロスオーバー」の話が面白かったです.

「クロスオーバー(crossover)」とは,「異なる要素がお互いの境界線を越えて交じり合う事」という意味ですが,WRCの場合タイヤでこれをやっているのだそうです.例えば,右フロントと左リヤにレインタイヤを,左フロントと右リヤにドライタイヤを装着する,といった感じで前後左右で異なるタイヤを履くのだとか・・・.なぜこんな戦術を使っているのか?というと,理由は2つあるのだそうです.



1つは,レギュレーションで使えるタイヤの本数が制限されているため(レインタイヤが足りない).
もう1つは,路面コンディションが突然変わっても大失敗しないためだそうです.

ラリーの場合,走り始めの時に選んだタイヤで3~4本のステージを走らなくてはならないのですが,各ステージの場所が離れていたり,天気が不安定だったりすると,路面コンディションが急激に変化してタイヤが合わない可能性が出てきます.そういう時にリスクを減らすために「クロスオーバー」をやるのだそうです.
(考え方としては,やっぱりレースのウェット路面に近いですね.クロスオーバーはさすがにやりませんけど・・・苦笑)


この「クロスオーバー」の時のドライビングに関しても,先述の勝田選手がコメントされていました.

「クロスオーバー時はバランスはとんでもなくて,まず真っ直ぐ走りません(笑).ブレーキングでも真っ直ぐ止まらないですし,右コーナーがドアンダーで,左コーナーがドオーバーになったりもします.水溜まりに入る時も,左右どちらに何のタイヤを履いているのか,ちゃんと頭に入っていないと,攻めても簡単にスピンしたり,クラッシュしたりします.それでも,雪道やウェット路面をフルスリックで走るよりは各段にグリップします」

案外ちゃんと走れたりするのかなぁ~?と思っていたのですが,裏切られました(笑).

「ターマックでは水溜まりでブレーキングした瞬間に何かが起きます(笑).だから基本的に水溜まりは避けるのですが,水が多いセクションでは,抑えるか抑えないかでタイムが大きく変わるので判断がとても難しいですね」

やっぱりラリードライバーって・・・と思わずにはいられない,そんな面白い記事でした.
Posted at 2022/12/04 18:47:46 | コメント(0) | ドライビング理論 | 日記
2022年09月14日 イイね!

バランスアクセルって速いの?

バランスアクセルって速いの?多分「バランス・アクセル」ではなく,「バランス・スロットル」の事だと思いますが,ちょっと見かけたもので・・・.

その話に入る前に,前回のスリッピーな路面の原因,カワイさん説が正しい気がしてきました.走行後,リアタイヤにカスがベットリと付いていたので除去作業をしていたのですが,「フロントは履きっ放しで帰って来たし,大丈夫でしょ~」と思って外して見たら,タイトル画像のような有様でした.

リアタイヤほどではないですが,フロントにも結構長めのタイヤカスがベットリ付いていて珍しい状況.FFのフロントはカスは付いても,すぐに剥がれるものなのですが,ドリフト走行後に似たような平べったくて長いカスが付いているので,路面がゴムで埋まっていた説の可能性が高そうです(AdP●werのせいでなくて良かった・・・笑).


さて,アンダーパネルを付けて以降,前後バランスが後ろ寄りになってアンダーステアが強くなったため,リアの限界を下げる試みを色々とトライしていたのですが,スリッピーな路面に翻弄されて,今後は逆にオーバーステアに悩まされるようになりました(コントロールに失敗してスピンする事↓もしばしば・・・).



オーバーステアの中でスピンしないギリギリを見極めて走らせてみたのですが,向きの変わりこそ良いものの,変わった後のトラクションの掛かりが悪いため,ロスの方が大きく,結局リアが滑り易い中で最もアンダーステア寄りにセットしたものが一番タイムが良かったです(ようは,何も変えない元の状態が一番速かった).

予想通りの結果だなぁ~と思いつつ,その一方で,向きの変わりを私が上手く活かせていないのでは? ドライビングに問題があるのでは?とも思い始めていました.そんな最中で「バランススロットル」の単語を久し振りに聞いたので,ちょっと復習してみようと思います.


「バランススロットル」というのは,言葉の通り,スロットルでバランスを取るテクニックの事です.
何のバランスを取るのか?というと,人によって色んな解釈があるようですが,大別すると,

  ①コーナリング中の車体の姿勢
  ②速度

・・・の2つのようです.


①の車体の姿勢の方は,ブレーキング→ターンインする際に車体が前傾姿勢にならないよう,水平に保つというものです(姿勢の前後バランスをフラットに保つ).


(AUTOSPORT No.1349:日本と世界はどう違う?[特集]スポーツドライビングより)

最近ではめっきり聞かなくなりましたが,一昔前は「日本式」と「欧州式」の違いとしてよく話題に挙がり,これを実現するためにブレーキングで「残す」だ,「残さない」だ,でよく議論になってました.「バランススロットル」はこれの「欧州式」を実現するためのテクニックで,「日本式」よりもリアタイヤが接地し続ける分,4輪合計のグリップが高くなり,より速いコーナリングが出来るというものでした(この話は以前も触れたのでコチラをご覧下さい).


ここで,「リアタイヤが接地し続けたら曲がんねーじゃん!」「曲がんなかったら遅せーじゃん!」という突っ込みを入れる方もいるかと思いますが,それは「日本式」のリアが安定していて,フロントタイヤのグリップで曲げる事を前提にセッティングされたクルマ(アンダーステア寄りのクルマ)でやるからだと思います.

「欧州式」の4輪全てが接地していないと,どこにすっ飛んでいくか分からないようなバランスにセッティングされたクルマ(オーバーステア寄りのクルマ)を前提にして「バランススロットル」使わないと,そりゃ速くならないと思います.




個人的には,オーバーステア寄りにセッティングした状態で「バランススロットル」を使って姿勢を保とうとすると,FFの場合,フロントが浮いて荷重が逃げてトラクションを失うため,FFには不向きなテクニックなんじゃないのかなー?と思っているのですが,バキバキの2Way LSDを入れてフロントを絶対逃がさない!とか,逃げようとするフロントをエンジンパワーで無理やり引っ張る!とか,そういう仕様にすればFFでも使えなくはないので,これはあくまで個人的な意見に留めておきます.

なお,「バランススロットル」を使った場合の副次的な利点として,姿勢をフラットに保つため,最適な空力効果を得られるとか,スロットルを積極的に開けるのでエンジン回転数を高く保ち易い(=高回転NAは向いている)という点もあるようです(詳細はコチラ).


続けて,②(車速).

こちらは「コーナリング中ボトムスピードを可能な限り上げる」という考え方で,最も車速の落ちるエイペックス付近で減速し過ぎないように,アクセルを開けて車速を保つというものです(加速も減速もしないレベルで車速を保つ).


(AUTOSPORT No.1349:日本と世界はどう違う?[特集]スポーツドライビングより)

こう言うと,「そりゃ,一番速度が下がるところでアクセル開ければ速度は維持出来るでしょうよ.でも,一番曲がって欲しいところでアクセル開けたら,アンダーステアが出て曲がんねーじゃん!」と思われるかもしれませんが,これも前提条件がやはり違うのだと思います.

車速維持の観点で「バランススロットル」を使う場合,ステアを切って,アクセルOFFにしたら,そのエンジンブレーキだけで勝手に曲がっていくようなクルマが前提として必要なんだと思います.アクセルOFFだけで勝手に曲がるようなクルマであるからこそ,ちょっとアクセル入れたくらいじゃ,せいぜいニュートラルステア止まりで,だからこそ「コーナリング中にアクセルを開けて速度維持!」なんて考え方が出来るんだと思います.


なお,私はTC1000だと,最終の複合でこの「バランススロットル」を使っていますが,



残念ながら「アクセルOFFだけで勝手に曲がっていくようなクルマ」にまだ仕上げられていないため,アンダーステアが若干残ってます.これを解消するのが直近の命題なのですが,なかなか解決策が見出せませんね・・・.
(勝手に曲がるようにセットしても,その場の向きが変わるだけで,全然曲がんないので・・・泣)


ちなみに,最近追加で調べてみたところ,以前も紹介した事があるドライビング・コーチの中納徹氏がこんな事を仰っているのを見つけました.



「スポーツドライビングとしてサーキットを走ることを考えた場合,『バランススロットル』以外にも考慮しなければならない要素が数多く存在する.基本的にサーキットではストレートを速く走った方がタイムを縮められる.そうするとコーナー出口で速くする必要があり,ステアリングを真っ直ぐに戻し始めるポイントが,コーナー出口のアウト側の目一杯の地点なってしまうのでは遅い.多少入口からクリッピングまでをタイトに曲げてでも,クリッピングからの脱出でタイヤを縦に使えた方が良い.それを実現するためには,クリッピングまでは多少遅くなってもいいから,ラインなり,操舵角なりを変えて,クリッピングから先を浅くした状態で立ち上がる事が大事」

「バランススロットル」だからと言って必ずしも定常円旋回でなければならない事でもないようですね.
加えて,コーナー毎にバランススロットルの使い方も以下のように解説されていました.

  【高速コーナー】
   ・バランススロットルが必要な場合が多い.
   ・なぜならアクセルをOFFにしている間は減速をしてしまうため. 
   ・コーナー毎に性格が違うし,走ってる速度の差もある.
   ・高速コーナーの場合はアクセルを少しでも入れていないとクルマをフラットに保てない.
   ・上記を理由に,アクセルを踏んでいった方が速い場合が多い.


  【中速コーナー】
    ・少しフロントが入りずらいコーナーが多い.
    ・このため,アクセルを踏み始めるポイントと,踏む量を調節しなければならない.


  【低速コーナー】
    ・ターンインからアクセルを踏むと都合が悪い場合が多い.
    ・低速では直線でブレーキを終わらせる.
    ・曲がれる速度まで落としたら,アクセルを入れて速度を維持してコーナーに入る.
    ・それでも上手く曲がれない場合は,いきなりバランススロットルを止めるのではなく,バランス量を変える. 
    ・アクセルをOFFにして減速する時間を作ってあげる. 
    ・量を調節する事で,アクセル踏んでいても減速している状態を作れる.
    ・減速させれば前荷重が増え,フロントが入り易くなる.
    ・それを試してもダメなら,アクセルを踏む量を減らす. 
    ・それでもダメなら,ターンインからアクセルを踏まずに入っていく. 
    ・更にダメなら,ここでやっとブレーキを少し残して入っていく. 
    ・それでもダメなら,ここで初めてブレーキを踏む時間を長くしてクリップに近づけていく.


「バランスをアンダーステア傾向にしたクルマは,ブレーキを残してコーナーに入れば,速く走れる方向に行く.いきなりそれが出来て,その方が速く走れる,という環境が日本では多い.しかし,それをやると手前の走り方という基本がないと,ブレーキを戻そうという発想に至りにくい.ブレーキを残して入るという方法を基本としている人だと,バランススロットルの概念が根幹にない.ブレーキを戻して進入する事が怖いと感じてしまう.『ブレーキをリリースしてステアリングを切る,というのはとても怖いことだと思うので出来ない』という話をよく聞く」


低速コーナーのこれでもか!これでもか!という「バランススロットル」の使い方が興味深いですね.1度やってみてダメだから諦める・・・ではなく,ダメだったらやり方をちょっとずつ変えてみて,「バランススロットル」を使う事自体は諦めない,というのは非常に興味深かったです.

私も「オーバーセッティングをやってみたが遅かった・・・」で終わらせず,これでもか!これでもか!と,ドライビングの面からもっと色々試行錯誤をしてみないとダメですね.勉強になりました.


あ~,ちなみに元の「バランスアクセル」と言っていた件は,恐らくカートの話なんじゃないかと思うのですが,四輪はともかく,カートの場合はオーバー寄り・アンダー寄りってどうやってセッティングするのでしょう? 私はレンタルカートしか知らないので,もし ご存じの方がいたら参考までに教えて頂けると有難いです.
Posted at 2022/09/15 01:24:49 | コメント(3) | トラックバック(0) | ドライビング理論 | 日記

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