
ホンダのクルマに乗っている人間としては,やっぱりホンダに関係する情報が気になる訳で,オートサロンでも自然とそちらに目が行きます.今回,ホンダの四輪用品部門であるホンダアクセスが2台のクルマを展示していました.その中の1台がタイトル画像のS2000.
最初,マツダが先鞭を付け,ホンダもビートで追従した純正部品の再販活動の一環かな?と思って見ていました.S2000は元々ホンダの50周年記念として開発された特別な意味を持つクルマですし,「永く残したい」という"想い"は十分納得出来るな・・・と.
その一方で,理解出来なかったのが,このクルマ.
「CIVIC CYBER NIGHT JAPAN CRUSER 2020」.広報資料にはコンセプトとして,このように謳われています.
"モダナイズ(現代化)"した姿なのは分かるけど,なぜ今EK9・・・? 懐古的な純正ルックでもなく,シビックレースを彷彿とさせるサーキットスタイルでもなく,「CYBER NIGHT」で「夜の街をクールに駆け抜ける」んだから峠をイメージしている訳でもない.「究極のFFテンロク」はその走行性能故だと思うのだけれど,どうもそこをターゲットにしていない様子.
「やっぱり狙いが分からん・・・」と思っていたら,「ビートと同じように,EK9/DC2の部品再販に向けての市場調査のようだよ」という情報を見つけて,ブースの柱に目を向けると,こんなコメントが!
おっと,最後のは違ったか(笑).「ああ~なるほど.このクルマを目玉にユーザーの肉声を集めて,EK9/DC2の部品再販の後押しに使おうというのが狙いか・・・」と納得しかけたところで,ふと疑問が.
「ん・・・? 何でそれをホンダ本体ではなく,ホンダアクセスがやっているんだ??」
ビートの部品再販はホンダ本体がやっていたはず.マツダだって,日産だって,(厳密にはGRはカンパニー制だけど)トヨタだって同様.それを子会社がやるメリットって何だ・・・?
ここで,ちょっと目線を変えて考えてみました.
自動車に限らず,メーカーというのは新型をどんどん売って儲けたいので,ユーザーが少しでも早く旧型を手放すように(表向きそう思わせないようにしながら)色々な手を打ってきます.そのため,昔は「中古」という存在が忌み嫌らっていたのですが(中古車という選択肢があるから新車売れない!という論理),近年は「中古車の相場が新車の販売に影響を及ぼす」という事が明らかになってきて,メーカーも中古車の相場を意識するようになってきました.
有名なのは「
マツダ地獄」でしょうか.中古車の下取り価格が低いと(相場が下がっていると),新車購入に回せる資金も減って,次は安いクルマ(≒利益の低いクルマ)しか買ってもらえず,メーカーはどんどん利益が減っていく・・・という負のスパイラルに陥る話です.これを避けるため,メーカーは中古車の相場が下がり過ぎないように,価格を上げる(価値を上げる)方法を,あの手この手で考えています.
その1つの方法論が「旧車部品の再販」です.例えば,部品が手に入らないと,壊れた時に修理出来ないので,そのクルマ達は中古車市場に流れます(台数が増えて相場が下がる).ところが,部品の再販されて修理出来るようになればオーナー達はクルマを手放さず,中古車市場に流れる台数が減るので価値が上がる・・・というメカニズムです.トヨタがA90スープラを発売した直後に,A70/80スープラの部品を再販した背景には,実はこういった思惑があるんじゃないかと思っています.
「FK8のマイチェンを発表した今だからこそ,EK9の価値向上を狙ったのか!?」と思って,中古車を調べてみたら,
「アレッ? EK9の相場は十分高いんですけど・・・(20年前のクルマが最新のクルマと同じ値段)」
「う~ん・・・違うか」と思い,もう一度,件のEK9を眺めていたところ,「そういえば,このEK9の世界観ってワイルドスピードに近いような・・・」と思ってピンと来ました.
「25年ルールか!」
「25年ルール」というのは,アメリカの規制緩和処置の通称で「25年以上経過した"旧車"であれば,排ガス等の様々な規制の対象外にする」というものです.これにより,本来,右ハンドル車の輸入が禁止されているアメリカでも,日本仕様車を輸入する事が出来るようになります.これにより近年,80~90年代の日本車達が続々と北米に流れています(それを狙った盗難車も増えてる).
そして,先述の「ワイルドスピード」や「イニシャルD」等の影響で,アメリカでは「JDM(Japanese Domestic Market)」が人気ですから市場規模はどんどん拡大しており,これを狙った施策なのかも!?
果たして(一部の州を除き)車検のないアメリカで"修理"という概念が,どこまであるのか分かりませんが,例えば「アメリカ向けで部品を再販するのが,国内にもニーズがあるのか調べよ」とホンダ→ホンダアクセスに指示が出ている構図なら,今回の動きも理解ますね.
そんな事を考えながら,最後,EK9/DC2の25年ルール適用時期を試算してみたところ,
EK9 ・・・ 発売年(1997) + 25年 = 2022年
DC2 ・・・ 発売年(1995) + 25年 =
2020年
おっと! DC2は今年じゃないですか!!
今年となると今から準備しても既に手遅れかもしれませんが,EK9やDC2でも98SPECなら,今から動けば十分間に合う可能性が.もしかしたら,それを狙った今年の展示だったのかもしれないなぁ~等と思いながらブースを後にしました.
Posted at 2020/01/16 02:06:03 | |
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