先日のTC1000でコーナー1個でダメだと思ったRE-71RSですが,人間の感覚なんて怪しいモノなので,いつもの通りロガーデータで検証してみようと思います.
過去のA052のデータを引っぱり出して比較するのですが,残念ながらここのところ自己ベスト更新に繋がっている
アップデートを行った後のデータがないため,その点を考慮して見る必要がありますが,まぁ,そんなの関係ないくらい明確に差が出るんじゃないかと思います(それくらい体感で違ったので).
まずはサンプルデータ.
【A052(41.747)】
【RE-71RS(41.645)】
今回はどちらも新品時の計測1のデータとなります(A052は
今年5月のデータ).A052の方が0.1秒遅い形となっていますが,これはコンディションの差でしょう.
A052 ・・・ 気圧:1002.3hPa 気温:18.1℃ 湿度:90% 路面温度:22.6℃
RE-71RS ・・・ 気圧:1013.7hPa 気温:17.7℃ 湿度:69% 路面温度:23.1℃
RE-71RSの方が気圧が10hPa高く,10hPa差というと大体0.16秒くらいの差に相当するので(↓),
この点を考慮するとほぼ同タイムかな~と思います(アレ?).
続けてロガーデータ(青:A052 赤:RE-71RS).
ア,アレッ? ほとんど同じですね・・・.もうちょっと明確に差が出るかと思ったのですが,かなり近い波形です.違う点をピックアップしてみると(↓),
ホームストレートエンド(左の緑丸)ではRE-71RS(赤)の方が1.7km/h車速が高いのですが,そこまでの車速推移を見た感じ大きな違いはないので,これは気圧差の影響でしょう.続く1コーナーのブレーキング(真ん中の緑丸)はRE-71RS(赤)の方が早めにブレーキを緩めていますが,コレは進入を若干抑えたので,早めにリリースしてボトムを上げようという意識が働いたからかと.そこから先,体感で最も差を感じた2コーナーの旋回速度は,ア,アレッ? 完全に互角ですね・・・.
えっ!? コレってどういう事? 全然体感と違うじゃん!と思い,ライン取りをチェックしてみると(↓),
RE-71RS(赤)の方がほんの少しなんですが外側に膨らんでいます.やはり2コーナーでアンダーステアであった事は事実のようなのですが,気になるのがその手前の1コーナーのターンイン.よく見ると若干RE-71RS(赤)の方が切込みが早いんですよねぇ(早くIN側に寄っている).このライン取りのせいで2コーナーでは外側に膨らんでしまった風にも見る事が出来ます.
ならば,なぜ1コーナーの切込みが早かったのか?と考えてみると,1つは先述の「ブレーキング」.あまり奥まで突っ込まなかったのでタイヤのグリップに余裕があり,早めに切込めた可能性が考えられます.ただ,ブレーキング開始直後のデータを見てみると(↓),
A052(青)と完全に同等レベルの減速量となっているんですよねぇ.つまり,(車速の絶対値は違いますが)同じようにブレーキングして,同じような制動力を発揮して,尚且つ RE-71RS(赤)の方が早く切り込めている・・・コレってRE-71RS(赤)の方がA052(青)よりもグリップが高いってコトにならないか?
いやいや,この切込みの速さは
ピロボールブッシュ(↓)の効果だよ,
・・・と思いたいのですが.真相は如何に? ちなみに2コーナーでの舵角をチェックしてみると(↓),
【A052】
【RE-71RS】
拳1個分くらいRE-71RSの方が切り込んでいるので,アンダーステアな事は間違いない.ただ,仮にアンダーステアが出ているのだとしても,タイヤのグリップを使って強引に曲げれば同等の旋回速度が出せるのであれば,それはそれでアリなのでは? ふ~む・・・.
ロガーデータに話を戻して他の部分も見てみると(↓),
ヘアピン(左側の緑丸)はA052(青)の方がブレーキングに失敗しているので評価対象外.インフィールド(真ん中の緑丸)はRE-71RS(赤)の方が明確にボトムが落ちていますね.ここは斜めのグリップが一番必要なコーナーなので,やはりRE-71RS(赤)はここで明確に落ちるようです.ただ,その後の立ち上がりを見ると両者に大きな差は出ていないので,弱点である事は事実なんでしょうが,落ちるのは大分狭い領域のようですね.
そして,RE-71RS(赤)を投入した最大の理由である最終複合(↓).
おっと! ここではRE-71RS(赤)が明確に上回っています.約4km/hほどボトムスピードが高いですね.ライン取りを見ても(↓),
RE-71RS(赤)の方がIN側に来ており,よく曲がっているのが分かります.残念ながらボトムスピードが高かった分だけ最終コーナーから先でアンダーステアを出して,ゴールラインまでの車速が伸びていませんが,RE-71RS投入の目的である「大舵で曲げる」の対策としては成功だったようです.乗っている時は曲がっている感覚はなかったのですが,やはりここではA052の潰れが影響していた可能性が高いですね.RE-71RSのようにしっかりとタイヤが支えてくれれば,ちゃんとクルマは曲がるという事なんでしょう.
そう考えると,洗濯板を下りた後に起きていたバウンシングは,今まで左フロントのA052が潰れる事で姿勢が安定させていたのに対し,RE-71RSは潰れずに跳ね返すため,ユッサユッサとクルマが左右に振られたんですかね? この日の後半で内圧を下げた状態だと,このユッサユッサした動きは出なかったので,その辺りの影響もありそうです.
最後に,フリクションサークルでの比較です(青:A052 赤:RE-71RS).
ほぼほぼ同じですね.横のグリップ(左右)の限界は同等.加速(下)も凸凹はしていますがほぼ同等と見なして良いでしょう.減速(上)はA052(青)の方が若干突き抜けていますが,これは1コーナーのブレーキングでRE-71RS(赤)の方が手探りだったため.最も両者の差が出ているのは右上のインフィールド.やはりA052(青)の方が斜めのグリップは完全に上のようです.
以上,A052 vs RE-71RSの比較結果でした.纏めると,
・総合的なグリップ(≒斜めのグリップ)はやはりA052の方が上
・但し,タイヤを酷使すれば,RE-71RSでもA052と同等のタイムは出せる(@TC1000)
・そういう意味では,A052とは違った意味で無理の効くタイヤ
・A052は「限界超えてるので潰れますね.ほら,分かりますよね? そろそろ諦めて下さいね~」という感じ
・一方,RE-71RSは「限界超えてるけど耐えてやる.耐えてる間に早く諦めろ!」という感じ
・どちらも無理して耐えてくれる事に変わりはないけど,シグナルの発し方(言い方)が違う
・タイヤと会話しながら走らせると,多分RE-71RSの方が遅くなる(ドライバーが引くので)
・タイヤの言う事を無視して走れば,多分同じタイムを出せる(その分だけタイヤは摩耗するが)
・なお,縦のグリップ,横のグリップ単体の絶対値は両者で変わらない
・違いがあるのは,A052だとタイヤが潰れてしまう領域(=高荷重)
・RE-71RSだと潰れずに耐えてくれるので,その分だけ次の操作に対する反応が早い
・A052だと潰れた分を元に戻している間は待たないといけないので,反応を鈍く感じる
・但し,反応が鈍い=グリップしてない,ではないので話がややこしい(A052の方が斜めのグリップが高いので)
・ドライバーの操作に対して反応が良い分だけRE-71RSは楽(=素直)
・「基本の操作に忠実なのはRE-71RS」という評価も納得出来る
・それと比べるとA052は癖が強い
・恐らくA052は,反応の鈍さを見越してもっと先読みして走らせれば更に上がある気がするのだが・・・
・そんな先読みは私には無理なので(笑),A052の反応=剛性を上げる方法を考えたい
・多分,同じホイールのリム幅だとA052とRE-71RSは互角
・という事は,A052をもっとリム幅の大きいホイールに履かせて剛性を上げてやれば・・・
やはり人間の感覚なんてアテになりませんね.あれだけ曲がらないと思っていたのに,旋回速度が互角なんてショックです(笑).その一方で感覚通りの部分もあったりするので,やっぱり検証は大事ですね.
噂通り,どうやらA052とRE-71RSは互角っぽいですが,それはあくまで100%限界で走った時の話.RE-71RSは相当無理をしないとタイムが出ないので精神的にはかなり辛いです(クルマ・タイヤが悲鳴を上げているのを無視しないといけないので).個人的な好みとしては,そこまでの負担感のないA052の方が,やっぱりいいなぁ~と思いました.