
前置きが長くなりましたが、いよいよサーキットで実際にGT3を走らせてみた感想です。
2004年式のGT3(クラブスポーツ)は現在約64000km走行で仕様はフルノーマル、タイヤはネオバ。
ブレーキパッドすら少なくとも10年以上交換されていない(下手すると新車から一度も?)純正のままです。
一言で表すなら、身構えていたのが拍子抜けするほど素直で乗りやすく、めちゃくちゃ楽しかったです。
もっと気難しく、コントロールが難しい車だと思っていました。
まず初めに感じたのが、フルブレーキ時の尋常ではない安定感です。
知識としては知っていましたが、街中で軽く200km/hオーバーからフルブレーキ+シフトダウンをする機会なんてそうありませんので、実際にやってみて鳥肌が立ちました。
インテグラではフルブレーキの際にバタバタとクルマが暴れますし(そもそも加速の際の直進安定性もとても悪い)、その中でのシフトやハンドル、ブレーキ操作はいまだにやりづらい時があります。
それに対してGT3では、まるで静止している車の中にいるが如く、ものすごく楽に余裕を持って各操作ができます。
なんて快適で運転しやすいんだ、というのがブレーキングからターンインまでの率直な感想です。
また、フルブレーキの区間は路面を掴む感覚(という表現が正しいのか分かりませんが)が常にほぼ均等です。
これはABSの性能もあるのかもしれませんが、インテグラでは時間にすると短いタテの制動の中に、ブレーキがよく効いている区間、そうでない区間がまばらに存在するように感じます。
さらに、GT3は車重が重い+パワーもある、かつ純正ブレーキなので、ブレーキングポイントはインテグラよりはるかに手前になると予想していたのですが、実際にはほとんど変わらないところまで詰めることができました。
純正ブレーキ、思いのほか優秀です。
サーキット走行後もフカフカになりませんしね。
立ち上がりでは、心配していたリアの流れ出しに対してカウンターステアを当てるのはすんなりできました。
定常円旋回の時と同じく、意識して当てるというより気が付けば自然に当てている、という感じです。
流れ出す感覚もとても分かりやすく、ある意味怖さはありません。
それどころか、やはり立ち上がりでカウンターを当てるという操作が新鮮で楽しいです。
しかし。
いかんせんアクセルオンですぐにリアがブレイクするので、立ち上がりで全然アクセルが踏めません。
この限界の低さは予想外でした。
ショップで宿題として課されていた現仕様での目標タイム(1分50秒)は切れましたが、同じネオバを履くインテグラとほぼ変わらないタイムであること、さらにストレートでは圧倒的にGT3が有利、進入でも大差ないことを考えると、やはり立ち上がりがかなり遅いという事になります。
特にダブルヘアピンでは、まるでスローモーションで走っているような錯覚に陥ります。
とはいえ、例えばリアの車高を落とすだけでもある程度改善するかもしれませんし、文字通りのどノーマルでここまで何の不安もなく走れてしまうこと自体がすごすぎますね。
サーキット走行後特有の「ヤレ感」も一切ありません。
その一方で快適に街乗りもできてしまうので、やはりメーカー純正としては十分すぎる作り込みだと思います。
セッティングや脚そのもの、タイヤを変えればタイムは一気に上がりそうですが、これまでインテグラでもそうしてきたように、今の脚の限界をしっかり引き出せるようになってから次のステップに進もうと思います。あくまでも自分の腕を上げる方が先決です。
さて、順序は逆になりますが、実はこの日一つだけ走行中のトラブルがありました。
この日は会員枠で30分x3本走ったのですが、1本目を走り始めて数週の時点で、突然3速で5000rpm以上が吹けなくなりました。
全く回転が上がらないわけではないのですが、アクセル全開でも異常に針の上がりが遅い。
2本の長いストレートでも4速に入りません。しかも針の上がり方が不規則。
2速ではそのようなことはありませんでした。
すぐにピットインして1本目はそのまま終了。
2本目も同じく数週走行後に同じ症状が出て、またピットイン。
しばらく休んでピットアウトしようとすると、何やらアイドリングが怪しくエンスト。
再度エンジンをかけようとした時に、5-6回ぐずるようでなかなかかからずに焦りました。その後数週は普通に走れましたが、やはり症状が再発。
ショップの方と電話で相談し、3本目でまた症状が出たらもう走行はやめて下さい、とのことでした。
幸いにも3本目は一度も症状が出なかったので、30分間フルに走り続けることができました。
また後日入庫して検査予定ですが、自分で調べた範囲内では怪しいのはエアマスセンサー?でしょうか・・・(どなたかお分かりの方がいれば教えて下さいm(__)m)
3本目がなければ不完全燃焼でしたが、1本は丸々走れたことでしっかりと満喫できました。
一つ興味深かったのは、サーキット走行の翌日はインテグラではお尻から太ももあたりが軽く筋肉痛になるのですが、GT3走行の翌日は両腕も痛くなったことです。
FFでLSDが入っているインテグラの方がはるかにハンドルが重いにも関わらず、です。
後から考えれば、慣れないカウンターを当てる際、無意識のうちに相当腕に力が入っていたのでしょうね。
いずれにせよ、GT3は純正のままでも十二分にサーキットを楽しめる車であることがよく分かりました。
想像はしていましたが百聞は一走?に如かず、やはりGT3の性能を存分に発揮できる舞台はサーキットです。そして後輪駆動車のコントロールは最高に楽しい!
FF乗りが後輪駆動車を操れないということはなく、以前師匠が仰っていた「どんな車でも基本は一緒、駆動方式の違いなんて微々たるもの」という言葉の意味がようやく分かった気がしました。
長い年月がかかりましたが、思い切ってGT3をサーキットで走らせてみて本当に良かったです。
さらには8年前、朝4時起きで福岡まで行って清水の舞台から飛び降りるつもりでGT3を即決で購入したのは我ながら英断でした。
余計な調味料(電子制御)がなく、良い素材の味を思う存分味わえるのも最高ですね。
こんな楽しい事、やめられる訳がありません。
これからもじっくりとRR、FFの2台体制でサーキットライフを楽しみたいと思います。