
ボクスターを購入してからちょうど6年が経ちました。
通勤で毎日乗ることもあり、購入時48000kmだった走行距離はまもなく14万kmになります。
共にしてきたその年月と距離を経て、これまでボクスターに対して感じてきた事を記したいと思います。
乗り始めた当初は、スポーツカーとして傑出した性能はないものの、特に悪い所もない優等生、という印象でした。
必要にして十分だが尖ったところはない。
一方で、悪く言えばどこか「911の廉価版」というイメージが当時はあったのもまた事実です。
その中で特に気になっていたのはボディ剛性と足回りでした。
今から2年前、走行距離が11万キロに達した頃には足回りのへたりが目立つようになり、リフレッシュするか、車を買い替えるかを検討していた時期がありました。
買い替えるとすれば、候補は予算的に996カレラ、987ケイマン、E92M3、Z33/34、RX8あたり。
しばらく悩んでいたのですが、足回りのリフレッシュでかなりシャキッとするよ!という主治医の言葉もあり、愛着もあったのでボクスターに乗り続けることにしました。
作業一式が終わり車が帰ってきた時、少し低くなった車高の次に変化に気付いたのは、エンジンをかけた瞬間でした。
排気音が静かになっていたのです。
当時アーキュレーのマフラーを入れていたこともあり余計に違いが目立ったのだと思いますが、高低様々な音質が混ざった音が、均一に粒のそろった綺麗な音に変わり、音量も明らかに小さくなっていました。
運転席に座ると、振動の大きさも全く違います。
走り出すとさらにびっくり。
到底同じ車とは思えないほど、しなやかにして確かな接地感に変わっていました。
交換したサスペンションはビルシュタインの B12プロキットという、純正+αの仕様。
サーキットでは役不足だと思いますが、街乗りメインでワインディングを楽しむには絶妙な仕様の脚だと個人的には思います。
さらに、ボディ剛性も随分上がった様に感じましたが、これには補強バーが効いているようです。
本当はフロントにも入れたかったのですが、車検に通らないので断念。
それでも、リヤだけでもコストパフォーマンスは非常に高いと思います。
同時にクラッチ交換もお願いしましたが、まだまだクラッチは残っていました。
純正クラッチの耐久性にもびっくり。
リフレッシュによってボクスターが持っている本来の性能に近づいた結果、その変化に感動を覚えると同時に、これまで自分がボクスターを過小評価していたことを反省しました。
ボクスターはハンドリングが一番の長所だと私は思っていますが、脚が良くなることでさらにコーナリングが楽しい車になりました。体感的には2段階くらい限界が上がったような気がしています。
ストレートでも、アクセルを踏み込んだ際の安定性が格段に向上しました。
986ボクスターの持っている「軽快感」は911には無い良さだと思いますし、旋回性能のポテンシャルでも決して見劣りしないと思います。
それから日々乗り続けることで感じるボクスターの偉大さは、一言で現すなら「ストレスがなく楽しい」ことだと思います。
「ストレスがない」というのはただ単に快適であるとか疲れないというだけではなく、スポーツカーとしての基本がしっかりおさえられていて、走っている上で不満を感じることがない、という意味でもあります。これは車=移動の手段と割り切っている人ならともかく、他の何よりもスポーツカーを愛する人間にとっては実はとてもハードルの高い基準だったりします。
全く気を遣うことなく、ストレスもなく接することができる点である意味空気のようであり、また自分の手足のようでもあり、一方で日々乗る度にでその良さを噛みしめるが如く味わうことができる986ボクスターは本当に素晴らしい車だと思います。
通勤で酷使するのためお世辞にも大事にしてやれているわけではないのですが、故障もマイナートラブルが数回あったのみで、驚くほど頑丈で健気な車です。
このあたりも毎日乗り倒してこそ分かる良さでしょう。
それでいて多くの国産スポーツカーと違い中古車の値段も落ち着いているので、ある程度のリフレッシュを含めたとしても本当にお得な車です。
まだまだこれからも、長い年月と距離を良き相棒と共に歩んでゆきたいと思います。
Posted at 2020/10/25 13:12:27 | |
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ボクスター | 日記