うちの大事な家族、セキセイインコのピヨを紹介します。
鮮やかな青色の男の子。
ピヨをお迎えしたのは、2000年の11月。
先代セキセイインコとお別れした悲しみから立ち直った頃だったかな。
会社のお昼休みに近くのペットショップへ遊びに行ったところ、
どこからともなく「ぴーぴーぴー」と鳴き声が聞こえたんです。
鳴き声の場所を探していると、
「先週生まれたばかりのインコの雛ですよ」
と店員さんが話しかけてきたんです。
ダンボール箱の中には10数羽ほどのセキセイインコの雛がもぞもぞしてました。
キャー ちっちゃいピーちゃんがいっぱいいるー!
毛の色は判別できるものの、生まれて間もないのでハゲちょびん。
人の気配を察すると、口を開けて「エサちょーだい」ってぴーぴー鳴くんです。
そういえば、前のピーちゃんの注射器型のエサやりがまだ家にあったよなぁ・・・
雛を眺めながらそんなことを考えていると、
もう連れて帰りたい衝動を抑えることができませんでした。
「雛を1羽ください。」
言っちゃった。
「どの子にしますか?」
えーっと、うちは代々セキセイインコは青だったなぁ・・・と思いにふけっていると、
雛の集団から1羽、もそもそと這い出してジーっと私を見てる子がいました。
「この子にします。」
なんだろう、この子じゃなきゃダメ的な何かあったような気がします。
よく見かける水色の子じゃなくて、海のような青い子でした。
セキセイインコ 雛 1羽:1,000円(笑)
これからピヨと過ごす時間、プライスレス!
ちなみにセキセイインコの雛は、生まれて間もないときは性別の判断が難しいです。
鼻の部分が青いのが男の子、茶色っぽいのが女の子なのですが、
どっちともつかないような色をしているので分からないんですね。
さて、運命的な出会いを感じながら、ピヨをお迎えしてテンションは最高潮。
しかし、落ち着いて考えれば会社から自宅まで電車で1時間。
大 丈 夫 な の か ?
激しく揺らさないように連れて帰ってください、とのこと。
店員さんから渡された移動用のケース、、、
アイスのコーンが入ってそうな細長い長方形の紙箱でした。
そして紙箱を抱えるように細心の注意を払いつつ、自宅まで連れて帰ったんです。
紙箱から出すと、「ご飯ちょーだーい」って口を大きく開けて鳴いていたので一安心。
お腹いっぱいエサをあげて、雛用のケージに入れてあげるとすぐに寝ちゃいました。
セキセインコの雛は、1日に2~3度エサをあげる必要があります。
雛用のエサをお湯でふやかして、注射器型のエサやりを使って口に入れてあげるんです。
このときに人間の手など、人に触れるようにしてエサをあげると人に慣れてくれます。
手乗りにしたい場合は、適度なスキンシップが大事なんですね。
雛のうちから人に慣れさせておくほうが、より人懐っこい子になると思います。
また、ツガイで2羽のほうが寂しくないのでは、と思う方がいると思いますが、
仲間がいるとセキセイインコとして育ってしまうので、
1羽で人間の家族の一員として迎えてあげたほうが、経験上よく懐いてくれます。
しばらくして目がハッキリ見えるようになると、縦横無尽に歩き回ります。
本当に気をつけてあげないと、うっかり踏んでしまいそうになります。
それに狭いところに入りたがる子もいるので、ケージから出すときはちゃんと見てる必要があります。
うちのピヨは、最初は臆病でいつもどこかに顔をうずめて隠れてました。
顔だけ隠してるので、そこから後ろは丸見えなんですけどね。
Yシャツを着たまま横になっていると、胸ポケットに入ってくることもしばしば。
こんな臆病で手乗りになるのか心配したものです。
自分でエサを食べられるようになると、周りの空間に興味津々です。
あっちへ行ったりこっちへ行ったり、毎日が大冒険。
それと心配していた性格ですが、臆病なのは変わらないものの、ちゃんと手乗りになりました。
皆から大事にされて育ったせいか、立派な甘えん坊将軍になっちゃいましたけど。
でもね、小さなセキセイインコだからいいんです。
ピヨは好き放題に生きていいんだっていうのが、うちの方針だったような気がします。
そういえば、ピヨが窓から飛んで出てしまったことがありました。
洗濯物を取り込むために窓を開けたとき、それを追いかけてうっかり出てしまったようです。
母を通り過ぎて見たこのない景色にピヨの前に広がり・・・
ギャーと鳴きながら慌てて部屋に戻ってきたそうです。
それ以来、なぜか外へ出ようとすることはありませんでした。
父に何度もピヨを出しているときは、窓を開けるなと行ってきたのですが、
ピヨは外が嫌いだから大丈夫だ、と開け放して植木に水やりをするKYな父。
が、本当に外に出て行かないピヨ。
窓が開いていても知らん顔で、窓に近寄りません。
なぜだか分かりませんが、脱出による突然の別れという可能性がないのは良いことです。
セキセイインコは、人が話をしていると顔を向けてじーっと聞いてます。
たまに首を傾げたり、モゴモゴ言いながら自分も会話に加わるようなことをします。
これがもう、とっても可愛いんですよ。
そしていつしか、「ピヨチャーン、オイデー、ピヨー、モギュモギュ」と急に喋ります。
自分に対しての呼びかけとか、よく聞く言葉を覚えるんです。
イタズラっ子のピヨは、よく母に怒られてるのですが、
この場合「ピヨ、ダメデショー、ダメッテイッタデショー、ウジュー」と喋ります。
いつも人の肩や手に乗って観察しているので、色んなことを覚えます。
例えば、電話がかかって受話器を取ると、
受話器に乗っかって「モチモチー、モチモチー?、モチュー」と喋ります。
シチュエーションも覚えてるんですよ、すごいですよね。
ピヨが喋りたいようなので代わります、と電話に出すと、
ピヨ語で「ピョロロロ ピチュチュチュ ピヨー イイコネー ダイチュキー チュチュチュー」とか喋ってます。
大笑いです。
ケージから出してもらうと、ピヨの大冒険の始まりです。
大好きな家族の誰かにずっと付いて回ってます。
一緒にお喋りして、おやつ食べて、お昼寝して、お腹が空いたらケージに戻ってエサ食べて、、、
そうそう、ケージに戻るときの行動が面白いんです。
私たちが食事の時間は、ピヨはケージにしまってケージの扉を閉めます。
食事中は、自分も一緒に食べたいという感じで箸にまで乗っかる有様なので。
もちろん素直に入るわけがないので、洗面所とかに連れ出して電気を消して捕獲したりの毎日。
そんなわけで「ケージに戻る→しばらく出してもらえない」と理解しており、
ケージの側で周りを伺いつつ、さっと入ってはエサを一つまみ口に入れてすぐ出てきます。
それを何セットか繰り返しているうちに油断してくるんですよね。
次第にケージ内にいる時間が長くなり、そっとケージを閉められてしまうことも。
そのときのピヨの「しまった!」という顔がすごく可笑しいんです。
そして、何事もなかったかのように止まり木で大人しくしているのですが、
食器を洗う音が聞こえると、
「だーしーてー、もういいでしょー、早くだしてー」と
ケージをガジガジ噛んでぴーぴーと鳴きながらアピールしてきます。
そして、そのあとは就寝前の攻防が待ってるわけなんですが。
ピヨは家族が大好きで、誰かに触れていると安心するみたいです。
その割に、触られるのが苦手です(笑)
あと、知らない人も苦手。
手の上に乗ったりするのは好きなのに、手を出して触ろうとすると逃げます。
手を引っ込めると、テテテテと戻ってきます。
この辺は人間と同じで、セキセイインコにもそれぞれ個性があるんですよね。
先代のピーちゃんは、触られるのが大好きで頭を撫でるとコロンと横になっちゃうような子でした。
どっちも可愛いです。
ピヨは肩に乗っているのが好きな子なんです。
なので、肩越しにお話することが多いのですが、前述のようにじーっと聞いてるんです。
で、徐々に近づいてきます。
じりじり近づいて、最終的にピヨのクチバシが私の口についてるわけで。
こうなると、恒例の私の鼻vsピヨが開催されるんです。
鼻でピシピシと頭を撫でると、ピヨがクチバシで応戦してきます。
ひとしきり遊んだあとは、ピヨが顔に擦り寄ってきてエサを口から出して口移ししてきます。
「んー!大丈夫だからー、ピヨのご飯はいらないからー」と丁重にお断りして試合終了です。
このエサを戻して口移しする動作は、セキセイインコの求愛行動です。
うちの家族皆にしてるので、皆がピヨを大好きな気持ちが伝わってるのかな。
食べてあげられないのが残念だけど。
横になってテレビを見ているときに不意に好き好きーされるとビックリします。
そして顔中エサまみれ(笑)
人の側が好きなので、何をしていてもお構いなしに飛んできます。
雑誌を読んでいると、勝手にページをめくります。
しかもクチバシで穴が空きます。
パソコンでメールを書いていると、キーボードの上に乗り勝手にメールを作成します。
ピヨ後のようです、読めません。でも送信。
お茶を注いで飲もうとすると、カップにピヨがとまっています。
まず先にピヨが飲んでます、私は後ですね。
家族が動くとピヨも動く、そしてピヨに合わせる、そんな生活です。
ピヨを迎えて今年で11年。
もうそろそろ12年目に差し掛かるところです。
セキセイインコの11歳は人間で言うところの88歳くらいだそうです。
もうすぐ12年ということは90歳以上ということですね。
さすがに12歳を間近にしているので、動きも鈍くなってきます。
最近ではあまり高く飛べなかったり、飛んだあとに息切れしたりしています。
もう、おじいちゃんだなーという感じですね。
ついこの間のことですが、右足の1本が曲がったままなのを発見しました。
どうも折れているのか、しきりにクチバシで真っ直ぐにしようとしています。
なんだかバランス悪そうにしているので、「小鳥の病院」で診てもらうことにしたんです。
診断結果は「精巣腫瘍」。
4~5歳を過ぎたセキセイインコに多い病気で、
腫瘍が神経を圧迫していることで足が麻痺しているとのこと。
小動物なので手術も抗がん剤も使えないらしく、
完治は望めないが抗生物質と栄養剤で進行を抑えることしかできないらしい。
確かに最近は寝ていることが多いし、飛んで息切れしたりバランス悪そうだけど、
それでもエサもたくさん食べて、いつものようにイタズラばかりしてたのに。
腫瘍と聞かされて動揺する家族一同。
半信半疑のまま、とにかく処方された薬を飲ませることにしました。
それからのピヨは、寝ていることが多くなりました。
じっと力を貯めるかのように昼間はじっと寝ているんです。
そして、夕方過ぎて家族が一人二人と揃う頃にケージから飛び出して遊ぶんです。
ちょっとバランスが悪いけど、ちゃんと飛ぶしエサも食べてます。
でも、誰かの側にいくと安心したようにまたすぐ寝てしまうんです。
日を追うごとに足の麻痺は進行しており、右足の半分は動かないようです。
片足でバランスを取りながら、曲がって動かない足をクチバシで真っすぐに直してます。
飛ぶのも低空で少しの距離がやっとです。
途中まで飛んで、後はテテテテっと歩いて側に寄ってくるようになりました。
手を出すと、ちょんと乗り私の顔をじっと見てます。
そしてまた眠りに。
何か苦しそうにしたり、痛そうに鳴いたりはしていません。
ただ、身体をペタンと床に付けて寝ている姿をよく見るようになりました。
そしていつにも増して、人の側を離れたがらなくなりました。
薬を飲ませて、少しでも良くなるように祈る毎日です。
今日は、朝からじっとケージの前で丸まって寝たまま動こうとしません。
「ピヨ、大丈夫?」と声をかけると、目をパチッとあけてじっと見ています。
そしてすぐに寝てしまいました。
ケージの中ではなく、いつでも遊べるように外で寝ているのは変わりません。
足の麻痺が進行し体力も低下しているようなので、
外出中にテーブルから落下するのを防ぐため、今日はケージに入れておきました。
夕方、家に帰ってくると「だーしーてー」とケージの中で騒いでます。
昼間ゆっくり休んで、夜元気になる最近のパターンで少し安心しました。
家族が揃い、夕食の時間。
ピヨも一緒になったご飯を食べてます。
もう最近はケージにしまうことはなくなりました。
「ピヨ、いっぱい食べたら、後でちゃんと薬飲もうね」
家族団らんの食事のあとは、母の膝元でお昼寝タイム。
いつもの光景。
「あー!ピヨ!ピヨー!!」
悲鳴のような叫びに慌てて居間へ行くと・・・
ピヨのタオルケットの上で横たわるピヨの姿が。
「どうしよー!ピヨが!ピヨがー・・・」と泣き叫ぶ母。
突然、力なく倒れたらしい。
よく見ると両足共に握ったままの状態で麻痺して動かないようだった。
羽と首を動かして動こうとしている。
混乱する母からピヨを預かり、様子を見るために絨毯の上に置いた。
そして手を離そうとすると、必死に首を伸ばして指にしがみつこうとする。
まるで、「行かないで!」と懇願するかのように。
その姿に絶句し、私も動けなくなってしまった。
とにかく薬は飲ませたんだから、落ち着いて様子をみよう。
大丈夫、大丈夫だから。
ね、ピヨ、大丈夫だからね。
一旦、タオルごとケージに戻して様子を見ようとしたら、
首を羽でもがきながら這い出てこようとしている。
ピヨ、どうしたいの?独りがイヤなの?
母が再度ピヨをケージから出して抱きかかえると、
ホッとしたようにもがくのをやめた。
ピヨを母に戻し、途中だった電話に断りを入れるために部屋へ戻った。
二言三言話したくらいだったと思う。
「ピヨの最期かもしれない」と父が部屋に入ってきた。
居間に戻ると、母の腕の中で横たわったピヨが周りを見渡してた。
揃った家族の顔を見たあと、
一瞬だけクッと尻尾が持ち上がった。
そして、動かなくなった。
安心したときの顔をして、まるで寝ているようだった。
嘘でしょ。
まだ温かいよ、目も開いてるし、ね、ピヨ? ピヨ!!
「ピヨー!イヤだー!ピヨがー!イヤだよー!」
泣き叫ぶ母、ただ黙ってうなだれる父。
大好きだったピヨが死んでしまった。
大好きだった家族に見守られて、眠るようにそっと息をひきとった。
腫瘍と診断されて一週間足らずの出来事だった。
精巣腫瘍は自覚症状があまり見られないために、
末期の状態まで進行して初めて気がつくことが多いらしい。
どんなに元気にしていても病状は進んでいる。
精巣腫瘍になると、ホルモン異常から鼻が青から茶色っぽく変色するので、
雄のセキセイインコと暮らしている家族は注意して見てあげてほしいです。
うちの子は、足の部分麻痺と倦怠感のような症状で、
痛がったり吐いたりするようなことはありませんでした。
最期に元気より歩きまわっていて、
いつものように疲れて昼寝を始めたと思った次の瞬間、
突然全身の力が抜けるように身動きが取れなくなり、
大好きな人に抱かれて眠るように逝きました。
腫瘍が進行してずっと調子が悪かったんだろう。
自分の最期を予感して、少しでも一緒にいられるように側にきてくれたんだね。
少しでも皆と一緒に遊べるように昼間はじっと体力を温存していたんだね。
最期の最期まで元気な姿を見せようとしてくれたんだね。
皆が寂しくないように、皆が帰ってくるのを待ってくれたんだね。
でもね、ピヨ。
すっごくさびしいよ。
すっごくかなしいよ。
だめだよ、死んじゃイヤだよ。
行かないで、行かないでよ。
ほら、皆泣いているよ。
ピヨが大好きだった家族が泣いているよ。
いっぱい頑張ったね。
大往生だよね。
皆がピヨを大好きで、ピヨも皆が大好きだった11年間。
だからね、ピヨ、、、
いっぱい、いっぱい、ありがとう。
ぴよ(享年11歳10ヶ月=人間の年齢で約90歳)
ペットの多くは人間より先に逝ってしまいます。
だから、いっぱい愛してあげてください。
ちゃんと伝わってますよ。